【対談】千秋(DEZERT) × 智(vistlip)、ツーマン<でざとりっぷ!>開幕直前に語る2023年のイベントの作り方「いわば、補完計画です」
■今後の動員に繋がるとかどうでもいい
■来てくれた人がどう感じるか?
──ツーマン<でざとりっぷ!>のオファーも海さん伝いで?
智:メチャクチャ海でした。最初は「へぇ、ツーマンやりたいんだ? なんでだろうね?」ってくらいだったんですけど、だんだん外の世界に視野が広がってきたタイミングでもあったんですよ、バンド的に。今までは本当に自分たちのことだけを考えて、“自分たち対世界”でやってきたのが、いろんな人に興味を持ち始めたというか。たぶん海がサポートギターとか、周囲のいろんなバンドにお世話になる中で観る機会も増えたし、すごく広がってきたんだと思うんです。その中で、タイミングよく実現したのかなって。
千秋:ただ、vistlipとのツーマンに関しては、よくある化学反応がどうだとかっていう、いわゆる打算的なものは一切ないんですよ。単に、僕が“やりたかった”というだけで、もしお客さんがしらけたとしても楽しいし、むしろ俺が“どうvistlipのライヴに乱入してスベるのか?”っていうワクワクもある(笑)。逆に、去年やったdeadmanとのツーマンとかだと、セトリもメッチャ考えるわけですよ。ド先輩だし、もし客がシーンとなっちゃったら、もう心が折れるレベル。でも、今回はあんまり深い意味はないんですよね。本当は土曜日の東京1本でいいところ、名阪を入れたのも、単に楽しそうだから僕が勝手に進めただけだし(笑)。だって平日の名阪なんて、相当好きな奴しか来ないじゃないですか。 だから、ツアー前のプロモーションであるこの対談でこんなこと言うのはアレですけど、僕は“来てくれた人がどう感じるか?”でいいと思ってる。
──「来てほしい」ではなく、「来てくれた人がどう感じるか」が重要だと。
千秋:そう。ライヴレポートとかがあっても、そんなの別に読まなくてよくて(笑)。東名阪3公演に来てくれた、延べ千人ちょっとがどう思うかが重要で。それが今後の動員に繋がるとかはどうでもいい。今の僕のモードとして、他人とイベントを作るっていうのは意味があることだから、まずはDEZERTを知らん人に音楽を届けていきたいし、それこそ僕のことを陰湿だと思ってるvistlipのファンの人も絶対いるだろうから、もうすっげぇ可愛い感じでいこうかな(笑)。どんどん企画も思い浮かぶし、絶対vistlipのメンバーも楽しくなるって信じてるんですよ。
智:個人的に、DEZERTのファンは間近で見てみたいですね。
──どういう意味ですか?
智:いや、熱いところはすごく熱いじゃないですか。例えば「「殺意」」とか、ああいうノリって僕らが普段あんまり目にしないものなんで、間近で体感してみたかったり。
▲智 (vistlip)
──ちなみに、千秋さんがvistlipのステージに乱入してくるのはOKですか?
智:あ、全然大丈夫です。でも、さっき海とSORA (Dr / DEZERT)は考えてましたよ。あのふたりも千秋くんと同じくらいの熱量で、どう成功させるか?っていうところを考えてるんで。
千秋:僕の乱入も普通のやり方ではいかないですけどね。東名阪3公演で全部のパートできへんかな?と、今、考えてるところ。
智:あ、ギター弾きますもんね。
千秋:海さんより上手く弾ける…自信はないですけど(笑)。
──ツーマンになると、それぞれがお互いの曲をカバーし合ったりとかもありますよね。
千秋:それはやめてほしい(笑)。本当に好きでやってくれるならいいんですけど、そうじゃないときって、わかるんですよ。だったら、うちがうちの曲をやってるときに呼ぶから、vistlipはvistlipの曲をやってほしいです。
──ということは、智さんがDEZERTのステージに乱入ですね。
智:そうっすねぇ…乱入、恥ずかしいですね。
千秋:いや、そこは僕の腕なんですよ(笑)。
智:だから“千秋くん、すごいなぁ”と思いながら、今、聞いてましたね。メンタル強い。
千秋:メンタル、メチャクチャ弱いんですけど、ライヴだったら大丈夫です。でも、vistlipはあと3人関門が居るんですよ。あの楽屋の開かずの扉…心の扉を開けてやるぞっていうことで、あえて今回は名古屋→大阪の順番でツアーを組んだんです。普通は大阪→名古屋で組むんですけど、それだとvistlipはたぶん終電で東京に帰っちゃうだろうから、帰らせない。名古屋→大阪にすれば泊まるしかないから、打ち上げしようよと。
智:確かに名古屋終わりだったら、たぶん終演後に帰っちゃいますね。
千秋:僕も名古屋なら帰るんですよ。でも、大阪にすると帰れないから、ファイナル前に打ち上げもできるなって。
智:メンバーに伝えておこう、「打ち上げあるよ」って。
▲千秋 (DEZERT)
──伝えたら、なんて言いますかね。
智:たぶん「それ、全員参加?」って言われます。
千秋:怖いよ(笑)!
──「希望者のみ」と答えたとしたら?
智:「ああ…」って、たぶんそこで会話が終わります。
千秋:やっぱり、俺が心の扉を開けにいくしかないですね。希望者のみじゃなくて全員参加にするしかない。「先に帰っていいので、一回参加しません?」って。「ぜんぜん朝までとかじゃなくていいんで」って。
智:ああ、それなら行くかも。
千秋:僕の中では3種類くらい打ち上げの方向性があるんです。ひとつは“チャラチャラした感じで好きなことやるパターン”、ひとつは“ある意味、仕事の延長上”、そして“様子を見るパターン”。どれになるのか当日乾杯するまでわかんない。だから大阪がいいんです、僕、地元なんで。臨機応変に対応できる。
智:へぇ。ウチにはふたり、全然飲めない奴がいるからな…。
千秋:一滴も飲めないんですか?
智:一滴くらいは飲めるけど、一杯飲んだらもう真っ赤みたいな。昔はなぜかみんな頑張って飲んでいたものの、そういう行為も大人になって削いでいった感じ。まぁ、僕はこの対談取材が終わったら、たぶん帰りに買って帰りますけどね(笑)。
千秋:そっち系ですか。俺も今日ワイン飲もうかな。味、よくわかんないですけど(笑)。
──しかしvistlipのみなさんは、何故そんなに心の扉が閉まっているんでしょうか?
智:本当に人が得意じゃないんじゃないかなあ。でも、徐々に心を開いていくんですよ、ちゃんと。ただ、初対面だと割とシャットアウトしてますね。僕はだんだん人見知りが直ってきて、今日もこうやってオープンに喋れるようになってますけど、まだ、そうじゃないメンバーもいるので。
──フロントマンは取材の機会も多いし、完全にシャットアウトというわけにはいかないですよね。
千秋:いやいや、フロントマンはシャットアウトする奴ら多いですよ。だって。ギター会とかドラム会とかパート同士の飲み会ってあるけど、ヴォーカル会だけないですからね。
智:あ、確かにないね。
千秋:ヴィジュアル系だろうがロックだろうが、ヴォーカル同士で話すことってあまりないですよね。
智:うん。なんか触れるべき場所でもないんですよね。ヴォーカルの世界観とか。
千秋:ドラムだったら「どんな機材使ってる?」とかあるけど、ヴォーカルは「どのマイク使ってる?」とか話さないですもんね。僕も好きじゃない人間に対しては、シャットアウトどころか攻撃するタイプですし。後輩だろうが何だろうが、ムカつくこと言われたらチクチク攻撃する。心ちっちゃいんで(笑)。
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