【対談】千秋(DEZERT) × 智(vistlip)、ツーマン<でざとりっぷ!>開幕直前に語る2023年のイベントの作り方「いわば、補完計画です」

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DEZERTとvistlipによるツーマンツアー<DEZERT × vistlip 2MAN TOUR “でざとりっぷ!”>が、6月1日に名古屋Electric Lady Land、6月2日に大阪ESAKA MUSE、6月11日に恵比寿 LIQUIDROOMで開催される。これまでイベントライヴでの共演はあったものの、両バンドの対バンは今回が初。初ツーマンながら、東名阪ツアーという形で実施されるがゆえ、濃厚な絡み合いも必至だ。ヴィジュアルシーンの中にあって異色な両バンドが交わることで何が起きるのか、期待が高まるところ。

◆千秋(DEZERT) × 智(vistlip) 画像

DEZERTから千秋、vistlipから智、それぞれのヴォーカリストを迎えた対談では、ふたりの接点をはじめ、結成12年目のDEZERTと結成16年目のvistlipの関係性、世代間に流れる指向や価値観の違い、打ち上げの必勝パターン、ヴォーカリストとしてお互いの印象などをディープに語ってもらった。「みんな幸せになればいいじゃないのか…っていう気持ちの第一歩が、このツーマンです」とは千秋の言葉だが、異なる性質を持つ両バンドの核心に迫るロングなトークセッションをお届けしたい。

   ◆   ◆   ◆

■音楽的にも実は近いよなって
■勝手にシンパシーを感じていた


──まずは、おふたりの出会いや馴れ初めから伺いたいのですが。

智:いや、そこがちょっと問題なんですけど、実は“馴れ初め”ってなくて…。

千秋:ま、今日ですね。

智:こうやって会話したの、今日が初めてなんです。

千秋:そう、すれ違ったことしかない。

──ええ! てっきり、どこかで共演したり交流があるのかと。

千秋:いや、ないですね。共演したことはあるんですけど、vistlipが楽屋から出てこないんですよ。海(G / vistlip)さんだけがずっと出てる(笑)。

智:海以外は内気なメンバーたちなんで。でも、俺は最近ちょっと人見知りが直ってきたんで、今日もイケるかなと。


▲千秋 (DEZERT)

──わかりました。では今日、初めて言葉を交わしてみたお互いの印象は?

千秋:…女性にモテそうだなと思いました。

──どのへんが?

千秋:いや、今日の取材に同行した海さんに撮影中、「これで大丈夫?」とかって聞くときの語尾が尻上がりで可愛くて、ちょっと悪い男の匂いがする(笑)。もしかしたら、それも天然な感じなのかもしれないけど。

智:僕は、千秋くんって男らしいなって。それは強烈に感じてます。

──どんなところに男らしさを感じたんでしょう?

智:もう全部。喋り方から何から。

千秋:恥ずかしい!

智:何でもズバッと言うし、そういうところでモテそうだなと。

千秋:かぶせてきた(笑)。

──そういった印象って意外でしたか? それとも予想通りですか?

千秋:思った通りでしたね。これ、悪口じゃなくて…「愛してる」って平気で言える人だと思うんですよ。「愛してる」なんて、俺は半笑いでしか言えないけど、心の底から言える人なんじゃないかっていうイメージは、バンドを見ていてもあったんです。僕らが最初にvistlipを知った2010年代初期って、とりあえず「vistlip好き」って言っとけばいいみたいな風潮が、絶対バンギャ内にあったんですよ。すごくスタイリッシュなバンドで、なんだかストロベリーな感じがする曲がいっぱいあった。その印象は10年経っても変わってないんですよね。

智:逆に、僕はDEZERTを知ったとき、すごく陰湿で暴力的な感じを受けて、千秋くんに対しても“この子は弱いのかな”と思ってたんです。でも、一方的にライヴを観させてもらううちに、どんどん印象が良い方向に変わっていって。だから、今のDEZERTからのギャップはなかったですね。

千秋:ちなみに僕、人生で二回しかやってないセッションで、vistlipの曲をやってますからね。セッションってメジャーなバンドしかやったらあかんって風潮があったのに、たしか当時、そこまで知られてなかったvistlipの「EVE」をやった。それくらいvistlipの曲調が好きだったんです。

智:今回対談するにあたってDEZERTの曲を聴いてきたら、歌の中で千秋くん、ちょっと可愛いんですよ。でも、やっぱり暴力的でもあって。そのギャップを持っているんだなって理解しましたね。「可愛い」と言われて、嬉しいのかわからないけど…。

千秋:メッチャ嬉しいです! 可愛いは正義だと思ってる(笑)。

智:なんか、“いちご倶楽部。”とかいうのもありますよね?

千秋:あれはコンセプトバンドであり、一応僕たちじゃない体なんです…。

智:ああ、なるほど(笑)。今回のツーマンツアーのタイトル<DEZERT × vistlip 2MAN TOUR “でざとりっぷ!” >とかを見ても、なんとなく楽曲と合致したというか。ちょっと可愛いところがあるんだなと思いました。

千秋:メッチャ考えましたけどね! “でざとりっぷ”か“でざーぷ”か、ずっと議論してた。

智:去年末の日本武道館イベント<V系って知ってる?>(2022年12月27日開催)で観たときも、すごく笑顔がありましたし。 “あ、この人は、人を引っ張れる人だな”って、男らしさを感じたんです。


▲智 (vistlip)

──おふたりとも非常に客観的かつ的確に互いのバンドを認識し、分析しているんですね。

千秋:それ、“ヴォーカルあるある”なんですよ。やっぱり分析できちゃうんです。勝手に“この人、こういう人なんだな”って見ちゃうの、ありますよね?

智:ありますね。

千秋:伝わるんですよね。“こいつ絶対嘘ついてる”とかもわかる。“こんなこと絶対思ってへん”って。

──ここまで通じ合っているのに、これまで交流がなかったというのが本当に驚きです。

千秋:たぶん、歩んできたシーンが違うんですよ。世代も正直違うし。俺たちからしたらvistlipって全然上の世代で、対バンできるバンドじゃなかったんです。事務所関連のつながりもなかったから、まぁ、至極当然に関わりがなかったって感じですよね。

智:たとえば、僕らが以前やっていたフォーマン<均整を乱す抗うは四拍子>のメンツ(己龍 / BugLug / R指定 / vistlip)を見ても、DEZERTよりちょっと世代が上なんですよね。逆に今、DEZERTと肩を並べてやってるキズだったりアルルカンは、僕的にも“下の世代だな”って思っちゃう。そもそも海も、みんなのことを「後輩」と言ってるし。

──千秋さんがvistlipをツーマンに誘ったのは、その世代の壁を超えたかったからなんでしょうか?

千秋:いや。もともと「vistlipの曲が好きだ」って話を、ずっと海さんに言ってたんです。イントロがカッコよくて、Bメロもカッコよくて、サビでバーッと開けるっていう。要はシンプルなんですよね。僕もそういう曲の作り方をずっとしてきて、音楽的にも実は近いよなっていうのがあるんですよ。もちろんバラードのシンセの入れ方とかは違いますけど、曲の構成だったり激しい曲の作り方だったりは、勝手にシンパシーを感じていて。今となっては別に俺らも陰湿じゃないし…。

智:ははは!

千秋:昔から陰湿じゃないんですけどね、僕からしたら。

──どちらのバンドも、曲の作りは良い意味で王道ですよね。

智:確かに。DEZERTの話はずっと海がしてたから、千秋くんが「曲が似てる」と言ってたって話も聞いていて。最初は「へぇ、似てるわけないじゃん」とか言ってたんですけど、実際に聴いてみたら、“確かに近いものはあるのかも”と思ったんですよね。だから、ツーマンの相手として、DEZERTは選びやすかったんです。DEZERTとだったら、いいものになるだろうなって。

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