【インタビュー】Atomic Skipper、メジャー1stフルアルバム『Orbital』発売「これを聴いてもらえたらAtomic Skipperがわかる」

■「ココロ」は、これからのAtomic Skipperを引っ張ってくれる楽曲になる

── では、制作はどういった流れで進んでいったんでしょうか？

神門：まず「ココロ」ができた時に、フルアルバムの全体像がだんだん見え始めたというか。そもそも、「ココロ」は最初「Orbital」という曲名だったんです。

── あっ、そうだったんですね。

神門：歌詞も「Orbital」という言葉に凄く沿ってるというか。軌道上を1周まわってきても、そのまわった経験は消えないということを書いていて、自分の中で凄くしっくりきたので、どうしても外せない考え方だなとなり、フルアルバムのタイトルにしたんです。そうすると、作品に必要なエッセンスが見えてきて、新曲の制作を進めていきました。だから、すでに配信でリリースしていた曲の立ち位置が難しかったなと今になって思います。


── だからと言って、すでに配信した曲たちを外すという選択肢はないわけですよね。

神門：そうなんですよ。CDが好きなんで、そこにも収録したいですから。

── でも、配信した曲が全体に散らばってるような印象はありませんでしたよ。

久米：神門は立ち位置が難しいって言ってましたけど、僕はそれぞれの楽曲に親和性があるし、相乗効果というか、そういう絡み方もしてるなと思いました。だから、曲順を決めるときも楽しかったですね。

── 中野さんは楽曲が出揃ったときの印象はいかがでしたか？

中野：素晴らしいフルアルバムになったな、と感じました。これを聴いてもらえたらAtomic Skipperがわかる、そういう1枚になってると思います。あと、「ロックバンドなら」という楽曲の再録がアルバム最後の締めくくりになっているんですが、やっぱり今までやってきた中でも大切にしてきた楽曲でもあるので、その流れも美しいなと。

── それこそ、曲調だけなら、その前に位置する「もう帰ろう」で締めくくるのもいいかなと思いました。

神門：実はめっちゃ僕もそう思って。でも、「ロックバンドなら」で終わらす美学みたいなところもあって、満を持してのCD化だったのでそうしました。その両方の楽曲を活かす為に、そこだけ曲間をめっちゃ長くしてるんです。Atomic Skipperのやってきたこと、やりたいことを上手く融合させられたんじゃないかなと思ってます。


── 作品全体としては、冒頭を飾る「ココロ」が軸であり、切り開く楽曲になっているなと思うんですけど、できたときからそういう存在になる予感はありましたか？

神門：どうかな……作ってるときはめちゃめちゃ自信がなかったというのもあって。逆に、メンバーの方が思い入れがあったんじゃないかなと思います。

中野：私は正直、これはきたな！っていう感覚でした。これからのAtomic Skipperを引っ張ってくれる楽曲になると感じたし、最初からそういう向き合い方をしてましたね。

── 今ぐらいの時期だと、新生活を始めて楽しいけれど、どこか不安もあるような人も多いと思うんです。そういうときに支えになるエネルギーがあるなと感じました。もしかしたら、メジャーというフィールドへ踏み出したAtomic Skipperの境遇とも重なるのかな、と。

神門：僕、自分の内々に向けてる感情、怒りや上手くいかない悔しさみたいなモノを楽曲にするのは凄くスムーズなんです。ただ、「ココロ」は最初は内向きだったのをそこからかなり外へ向けていった曲だったんで、良し悪しの判断が自分ではできなかったんですよね。変な言い方をすれば身から出た錆だし、素直な言い方をすればホントに思ってることの集大成。故に、コロナ禍を経た今、メジャーへ行くAtomic Skipperの境遇というのも、少なからず内包された楽曲になってると思いますね。

── 大丈夫なんだと力強く歌う中、＜今だけ手を引いて月に背を向けて／踊って忘れてもいいよね？＞という歌詞があるじゃないですか。これが凄くいいなと思ってて。

神門：ありがとうございます。そのフレーズはいちばん最初に作った部分なんです。いろんな人のアドバイスもあって歌詞は7回か8回ぐらい書き直したけど、その＜今だけ手を引いて月に背を向けて／踊って忘れてもいいよね？＞だけはどうしても外したくなくて、ずっと残してたんですよね。

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