【コラム】SixTONES、ドラマ『だが、情熱はある』を濃縮圧縮した「こっから」の楽曲とMVの楽しみ方
いつから、誰もが“何者かにならなくてはいけない”と思うようになったのだろう。何者かであることは、誰かよりも秀でていて、誰かよりも、才能にあふれていて、天才であること── 。でも、そんな人はごく一部。いつしか、自分は決して何者でもなく、ただの人であることを実感し、自分なりの道を歩んでいくのだ。しかし、そんなごく一部の人に選ばれていないことを認めることを恐れ、抗い、何者かになっている人に劣等感や怒り、嫉妬をぶつけ、さらに自己肯定感が低くなってしまう人も多い。まさに、そんな想いが沸々と湧き上がり、もがいている最中の人生を描いているのが、ドラマ『だが、情熱はある』だ。オードリーの若林正恭と、南海キャンディーズの山里亮太の半生をドラマ化し、若林をKing & Princeの高橋海人が、山里をSixTONESの森本慎太郎が、完全にふたりに憑依したかのように演じている。そして、そのドラマを濃縮圧縮したような主題歌が、SixTONESの新曲「こっから」なのだ。
6月14日にリリースされるSixTONESの10thシングルの表題曲である「こっから」は、ドラマでの2人の心境をそのままぶつけたかのような、平凡を嫌い、たとえ天才でなくても、掲げた夢をかなえるためにどんな壁もぶち壊して進んでいくという力強いエールソングになっている。ただ、ポジティブで爽やかなエールソングと違うのは、内面をすべてさらけ出しているということ。自分がうまくいかないのは誰かのせいと思うこともありながら、それをダサいと跳ね飛ばし、“悔しさで黒く燃える腹ん中”と歯を食いしばって、爆発しそうな己を抑えながらも、それをすべて力に変えて、ネガティブもすべて燃料にして“こっから始まんだ”と歌い放つこの曲は、きれいごとをすべて払拭し、聴き手の胸ぐらをつかんできそうなほどの勢いを持つ。夢は叶うものではなく、掴んでいくもの、だからこそこっから踏み出せと背中を思い切りたたくこの曲は、多くの人の力になるに違いない。そんなメッセージを乗せるサウンドが、ヒップホップとブレイクビーツのミクスチャーサウンドというのも素晴らしい。決して泥臭くなりすぎず、軽やかなホーンがいいバランスを取って、気持ちよく聴かせてくれるのだ。
▲シングル「こっから」通常盤
さらに、その心の黒い部分、そしてそれでも信じたいまっすぐでピュアな気持ちをそのまま握りつぶしてラップにしたかのような言葉たちを、SixTONESの6人は吐き出すようにマイクにぶつけていく。いまやトップを走り続け、東京ドーム公演を成功させている彼らも、決して順風満帆だったわけではない。デビューまで長い時間を費やした彼らは、自分たちが一体何者なのか、はたして何者かになれるのか、さらに、もっと上に行けるはず、いつか抱いた夢は叶うはず、と想いを抱いていたに違いない。そんな彼らだからこそリアリティのあるこの曲は、きっと多くの人の心に叱咤激励として届くはずだ。
5月12日に公開されたミュージックビデオは、駄菓子屋、喫茶店、コインランドリー、ボウリング場と、下町情緒あふれる場所で撮影されている。どこかヴィンテージ感のあるスタイリングと、街並みの雑踏はとてもいいリンクを見せ、楽曲の世界観とはまた異なる、懐かしさあふれる映画のような質感で魅せてくれる。サビでは、シャンデリアが印象的な昭和のダンスホールのような場所で、ホーンが気持ちよく響き渡る生バンドとの共演も見どころ。バンドの前で軽やかにダンスパフォーマンスをする彼らは必見だ。ダンスブレイクではそれぞれが楽しそうにステップを踏んでいるが、ライブなどでこのダンスブレイクはどのようなパフォーマンスとして魅せてくれるのか、楽しみになる仕上がりとなっている。何より、たたみかけるラップとリンクした激しいカメラワークと遊び心あふれるギミックは、何度見ても楽しめるはず。楽曲とMV、それぞれの楽しみ方をしてもらいたい。
14日のドラマ『だが、情熱はある』では、ついに森本演じる山里がしずちゃんとコンビを組み、伝説の一歩を踏み出し、高橋が演じる若林は、初めてのテレビ出演へと向かう。彼らの未来を知っている私たちだからこそ、安心して見ることができているが、未来が見えない当時の彼らの不安、嫉妬、劣等感は計り知れない。しかし、たとえどんな状況であっても、この「こっから」は真っ直ぐに教えてくれるのだ。“どんなことがあったとしても、すべてはこっから始まるんだ”と。そのために、もがけ、抗え、そして進めと──。
どうしたって、誰もが何者にはなれないかもしれない。でも、誰もが何者になろうとすることは決して悪いことではない。その原動力が、彼らのように、大きなものを生み出していくのだから。その可能性は、誰にも平等にあるはずだ。そう信じさせてくれるこの曲は、そんな人たちのお守りにもなることだろう。
文:吉田可奈
※高橋海人の高は、はしご高が正式表記。
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シングル「こっから」
<初回盤A>(CD+DVD)
SECJ-69〜70
¥1,760(税込)
スリーブケース仕様
【CD】
01.こっから
02.雨
【DVD】
こっから -Music Video-
こっから -Music Video Making-
こっから -Music Video Solo Movie-
<初回盤B>(CD+DVD)
SECJ-71〜72
¥1,760(税込)
スリーブケース仕様
【CD】
01.こっから
02.Medley from「慣声の法則」at 横浜アリーナ (S.I.X ~ Special Order ~ フィギュア ~ RAM-PAM-PAM ~ WHIP THAT ~ Outrageous)
【DVD】
Medley from「慣声の法則」at 横浜アリーナ (S.I.X ~ Special Order ~ フィギュア ~ RAM-PAM-PAM ~ WHIP THAT ~ Outrageous)
<通常盤>(CD+DVD)
SECJ-73
¥1,100(税込)
初回仕様:スリーブケース仕様+フォトブック20P
【CD】
01.こっから
02.FIREWORKS
03.Tu-tu-lu
04.ABARERO -Dark Electro Rock Remix-
05.こっから -Instrumental-
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