【インタビュー】The BONEZ、5年ぶりフルアルバム完成「『Yours』と名付けた時点で、オマエらを信じているんだよ」
結成10周年を迎えたThe BONEZが、4月19日にリリースした『Yours』は『WOKE』から約5年ぶりとなる4thフルアルバムだ。もちろんコロナ禍でも彼らは「We are The BONEZ」「Rusted Car」「That Song」「Numb」などデジタルシングルの配信リリースを続け、2022年4月にはBOX仕様の組立式ミニアルバム『LAB』をリリースしたほか、精力的にツアーを開催するなど、世の中の閉塞感を木っ端微塵に吹き飛ばす痛快で爽快な活動を続けてきた。
◆The BONEZ 画像 / 動画
そして完成した4thアルバム『Yours』の完成度が凄まじい。待望のニューアルバムだったことは、リリース直後のチャートアクションをみても明らかであり、タイトルに冠された“Yours=君のもの”というワードからは、The BONEZの深く熱いメッセージが伝わるというもの。このアルバムを持ってThe BONEZは、自身最大規模の47都道府県ツアー<10th Anniversary Tour “47 AREAS”>で、君の街へ、突き抜けるポジティヴなサウンドを鳴らしに行く。全50ヵ所に加え、自身初の東名阪ホールツアー<The BONEZ presents LIVE TONIGHT with>が今夏開催されることも先ごろ発表となったばかりだ。
BARKSはアルバムリリース直後、47都道府県ツアー開催直前にThe BONEZの4人に話を訊いた。昼間が似合うアルバムの理由、驚くべきJESSEの作詞方法、KOKIの初作曲ナンバーが裏付けるThe BONEZ愛、そして2024年まで続くツアー<47 AREAS>への意気込みなど、熱く、笑い多めに語ったロングインタビューをお届けしたい。
◆ ◆ ◆
■勢いってのは今回
■俺らが一番大事にしたもの
──『Yours』は5年ぶりのフルアルバムです。ただ、2022年にはミニアルバム『LAB』をリリースして様々な音楽的実験や挑戦などもしていました。
JESSE:ダウンチューニングもあったりね。
──その『LAB』を作ったことで、新たに見えたものも相当ありました?
ZAX:実験や挑戦もしたけど、あれも俺らやからね。
▲JESSE (Vo, Gt)
JESSE:話はもっと遡るけど、2020年にツアー<re:BIRTH>をまわろうと思ったとき、実は今年5月から始めるツアー<47 AREAS>みたいなことやろうとしてたんだよ。
T$UYO$HI:そう、小箱をまわるっていう。
JESSE:47都道府県の小箱を思いっきりグワーッとまわるツアーをね。ところがコロナ禍で開催できなくなって、どういった作品を出すかも分からない状態となり…。そうなったときに、“逆にこういうのは今じゃないか”って2022年に『LAB』を作った。だから『LAB』は『LAB』で、あれで完結させたよね。
T$UYO$HI:そうだね。
JESSE:もちろん『LAB』を出したことで、その後のライブやツアーを通して見えていったものは確かにあるかもしれない。『LAB』をリリースしたときは、ライブもソーシャルディスタンスを保って観てくれていたけど、去年の暮れぐらいからガイドラインも緩和されて歓声も出せるようになり。“お客さんはこの曲のここで声を出すのか”とか“こうやってノるんだ”とか知ったことも多くて(笑)。リリースして時間がしばらく経っていたから、不思議な感覚をこっちは味わっていたよね。
──ようやく『LAB』という作品を噛みしめるような?
JESSE:そう。それで今回、勢いってのは俺らにとって一番大事にしたものかな。それも眉間にシワを寄せた勢いじゃなくて、風通しの良い勢い。アルバム完成後にメンバーと話してて思ったのは、“昼間が似合うアルバムになったな”と。イッシー(T$UYO$HI)が主に作曲しているから、昼間に合うアルバムというイメージはちょっとあったかもしれないけど。
ZAX:うん、夜中じゃないよな。夕暮れまでかな。
JESSE:別に時間帯を限定したアルバムじゃないよ、これ(笑)。
──自分らを改めて探った『LAB』を経たから、と言っていいのか分からないんですけど、『Yours』は解放感に溢れているんですよね。“俺らが得意なのはこれだ”というような爆発力と解放感を感じました。
JESSE:それです!
T$UYO$HI:『LAB』を作ったときから存在してた曲もあるんだけど、敢えて『LAB』には入れなかったというか。ヘヴィなものは『LAB』に集中させようって気持ちがあって。次のアルバムではスカッといきたい気持ちが、俺にはすでにちょっとあった。昼間が似合う曲がいいというよりは、The BONEZ自体、俺は昼間が合うバンドだと思っていたから。The BONEZというバンドの存在自体がね。俺の中ではすごく色があるバンドな気がして、モノトーンじゃなくてさ。あと風だったり海だったり、自然な環境のもとにいてもおかしくないロックバンド。野外フェスもそうだよね。密室の中で鳴らしている音じゃないバンドがThe BONEZのような気がしている。そういう方向の曲が集まればいいなって思いで、作曲に着手していったかな。
JESSE:その発言だと暗い時間帯の野外フェスに呼ばれなくなりそうだから(笑)。The BONEZは夜も星空も似合いますよー、トリも合うよ。
KOKI:そりゃ、間違いない。夜中のクラブでも合う。
──勢いあるバンドらしく、勢いよくフォローが飛び交い始めてますけど(笑)。The BONEZはいろんな時間帯どころか、いろんな世代にも合う。ライブに来た小学生や中学生にも、JESSEがステージから熱く語って、子供たちの気持ちも高ぶらせるから。
JESSE:うん。5〜6年後にヤツらは中学生や高校生になって、10年もしないうちに社会人になる。時代に変化を与える可能性がある年代になっていくわけじゃん。柔軟性があって感受性の強い子供たちにメッセージを届けることが、俺にとっては現実的というか。
▲KOKI (Gt)
──メッセージを受け取って噛みしめる前に、今回の『Yours』は身体が勝手に反応するんですよ。こういうのを求めていた。
JESSE:なるほどね。「You and I」の曲間を決めたときのことなんだけど、“タカタカタカ”ってフィルですぐに次の曲にいくじゃん。iTunesでもそうなっていて、超嬉しかった(笑)。
ZAX:仕上がって、一番最初に確認したのが、そこやから。
JESSE:エンジニアから「レイテンシーが生じて、イメージ通りになるかわからない」って言われてたからね。
ZAX:でも、“おっ、大丈夫やな”って。ライブ感がある。
T$UYO$HI:勢いのまま次の曲につなげているからね。
JESSE:そうそう。インキュバスの『S.C.I.E.N.C.E.』なんかそうだったじゃん。今、ポップパンクのブームがまた再来している中、たまたまそれが俺らは得意なだけで(笑)。RIZEはRIZE、P.T.P.はP.T.P.で、お互いに違うところでやっていたけど、いざ、みんなで集まったとき思ったんだよ。やっぱ、いろんなヘヴィな経験していないと、ヘヴィな音って出せないと。
──リアルさが違う。JESSEはすごいヘヴィな経験してるし(笑)。
JESSE:ウッセーよ(笑)! とにかくうちらはいろんな経験してきてさ、いろんな悲しさを歌うことも、それを音でリアルに鳴らすこともできる。でも俺らを求めてる人たちって、明るくスッキリしたいだろうし、「イェー! 楽しい!!」って言いたい人じゃん。そういうところに俺らは辿り着いてるんだよ、10年やってきて。一番自慢できるアルバムになったかな。
──なるほどね。
JESSE:KOKIも、いいヤツっぽく見えてると思うんだけど、不良がいっぱいの九州の街で育って、いろんなものを見てきたと思う。痛みを知ってる人の優しさと、叱られたことのない人の優しさでは、全然質が違うでしょ。KOKIは痛みも悲しみも知っているから、こういう明るさと優しさのある性格になったんだと思う。そこに行き着く人が正解なんだなって俺は思うんだよね。だから『Yours』も、“明るいじゃん” “ポップじゃん”というのが入口で入ってきてもらってもいい。でも分かる人は、ここに行き着く過程の階段や、いろんなダウンヒルを感じてくれてて。「それがいい」って言ってくれる人もいっぱいいるんだよ。「いろんなことあるけど、結果、大丈夫だよ!」って明るく言われる感じっていうかさ。俺も『Yours』を聴いていて、気分がアガるし。
──挫折を知らなきゃ書けないリリックやメッセージではありますからね。
JESSE:そうやって言いたいわけじゃないんだけどね。でも結果、辿り着いたのがこういうアルバムになって良かったと思う。
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