【ライブレポート】INTO1、日本で最初で最後のライブ「これからもINsiderの心の中にいつづけます」

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2021年に中国のサバイバルオーディション番組『創造営2021』から生まれたグローバルボーイズグループ・INTO1。

◆ライブ写真

中国、日本、タイ、ロシアなど世界中から同じ夢を目指した青年たちが集まり、上手く言葉が伝わらないなか、共同生活をしながらミッションを乗り越え、友情を築きながら夢を目指していった『創造営2021』は、参加者の1人ひとりの心情にしっかりと触れ、時に脱落者と残留するメンバーとの物語もドラマティックに描き、ひとつの青春物語として、他のサバイバルオーディション番組とはまた違う感動を与え、今でも多くの人に愛されている。そこでアイドルとしても、人間的にも成長した、ルーツも環境も全く異なる11人は、INTO1として2021年4月24日にデビューを果たした。

日本人メンバーが3名所属、さらに当時、日本で話題だったタイドラマに出演している俳優メンバーも2名所属という話題性もあり、日本でも大きな話題となったが、コロナ禍という大きな壁のせいで、日本から彼らの活躍はほぼ見られないに等しく、多くの日本のINsider(ファンネーム)はずっと切ない思いを胸に抱えていた。そして、彼らに与えられた2年という期間限定の終了期間が迫るなか、ついに日本で彼らのライブが観られるファンミーティングが開催されたのだ。INTO1を遠く離れた日本で応援しているINsiderは、“やっと会えた”、そう思い、感動に震えたはずだ。そして忘れてはいけないのが、この日が彼らの日本で最初で最後のライブとなったということ。そんな複雑な想いが渦巻く中、開演時刻が迫っていた。

会場となったGARDEN新木場FACTORYの前には、メンバーの映像が映されたアドトラックが何台も止められている。会場には大きなフラワースタンドが飾られ、この日をどれだけ待っていたかが手に取るように伝わってくる。


そしてついに日本でのラスト公演となる夜の公演がスタートした。オープニング映像が流れた後、カウントダウンが始まり、白を基調とした衣装に包まれた彼らのその姿に、割れんばかりの歓声が沸く。そして「更酷的世界」が始まると、赤い光に包まれて、伸びやかに、情熱的なダンスを見せたかと思えば、メンバーはアクロバットなパフォーマンスで一気にフロアの温度を上げる。そして「創造営2021」のシグナルソングでもあった「Chuang to-gather,go!」が流れるとさらに大きな歓声が溢れる。彼らのはじまりの曲でもあるこの曲は、INsiderにとっても特別な曲だ。曲の途中からはステージの両サイドにメンバーが行き、それぞれファンサービスをはじめていく。その表情はとてもうれしそうで、幸せに満ちている。ラストにビジョンには“We are Team”と映し出され、その前でポーズを決める彼らは、まさにその言葉通り。彼らはこの2年で大きなチームへと成長した。

自己紹介では、劉宇が力丸と賛多に耳打ちで日本語を教えられているようで、「あ~、まぶし~!」と笑いを誘い、米卡が「みなさん楽しんでますか⁉」と盛り上げ、伯遠は「これが日本でのラストのファンミです。最後まで一緒に盛り上がりましょう!」、張嘉元は「大好きです!」と叫ぶなどそれぞれの想いをぶつけ、AKが「INTO1! 最高!」と煽り、大盛り上がり。その後、劉宇が日本で何を食べたかメンバーに聞くと、パトリックは「寿司を食べました」、林墨は「これまであまりコーヒーをおいしいと思わなかったけどコンビニのコーヒーが美味しかった」とわちゃわちゃ。通訳を待たずにメンバー同士で盛り上がっているところにも、仲の良さがうかがえて微笑ましい。

疾走感あふれるバンドサウンドが印象的な「天生就要飞」では、拳の代わりにペンライトが上がり、フロアを盛り上げていく。途中、周柯宇がいたずらな表情で合いの手を入れると、林墨にたしなめられるシーンも(笑)。オーディション中はどちらかというと、大人しいイメージがある彼が、とてもうれしそうにふざけられるのも、深まった絆があるからだろう。桜が散る街のビジョンの前で、ダイナミックに歌い上げた。

「Together Somewhere」では、メンバーが横一列になり、しっとりと歌い上げる。賛多や力丸など世界レベルのダンサーがいるためダンスパフォーマンスで注目されがちだが、抜群の歌唱力を持つ米卡を筆頭に、実は彼らの歌声はとても優しく、芯が強い。途中、伯遠がみんなの表情を見ながら、ときにじゃれ合いながら歌う姿も印象的だ。高卿塵の伸びやかな歌声と、尹浩宇の透明感溢れる歌声も耳に心地よく届いてくる。フロアではペンライトが左右に美しく揺れていた。

ファンミーティングらしく、トークコーナーも充実。告白大会では、今まで言えなかったこと、いまだからこそ言いたいことを隣の人に言うということになり、みんなが照れるなか、劉宇が「賛多にいつもハグ(お姫様抱っこ)をされているけど僕はしたことがない」と告白し、小さな身体で大きな賛多をひょいと抱き上げ、みんながビックリ。賛多は米卡に対し、「ずっと一緒にいるから、やってないことないよね?」と確認すると米卡も「ないね」と即答。が、「あ! 頭をさわったことがない!」と思いつき、坊主の頭をさわると「芝生!」と大興奮。対する米卡は林墨に「寂しいときに、いつも近くにいてくれた」と話し、「林墨が中国語を教えてくれたから、上手くなることが出来ました。卒業したらI miss youだと思います」と感謝を届けると、林墨も嬉しそうに肩を抱いた。

林墨は、張嘉元に、「かわいいけど、たまにクレイジー」と暴露したあと、たくさんのデモテープを聴かせてもらっていたことを話し、「とてもカッコよかった」と話し、伯遠は高卿塵に「彼は笑うのが好きな人。でもプレッシャーを感じていたと思う。そういうときこそ、笑っていたのかなって思う。プレッシャーをプラスに変えられる人」と話すと思わず高卿塵が泣いてしまい天井を見上げると、他のメンバーが「泣いた⁉」「泣いた⁉」と近寄って顔を確認する姿は少年のようで愛らしい。周柯宇がAKに対し「AKはラッパーだからカッコいいけど、とってもカワイイ!」と話し、INsiderのみんなで「AKちゃんかわいいです!」となぜか叫び、大盛り上がりしていた。


後半は「就这样长大」からスタート。ボーカルを繋ぐようにエモーショナルに歌い上げていく。さらに「没有拥抱的合照」ではこれまでの彼らの集合写真やアーティスト写真が次々と映し出され、彼らが歩いてきたこの2年の軌跡が映し出されていく。この曲は、それぞれメンバーのルーツの中国語、日本語、タイ語がミックスされた、INTO1だからこそ歌うことができるメッセージソング。まさに世界中から、同じ夢を目指し、1つのグループで活動した、奇跡の時間を凝縮したようなこの曲、この瞬間を、会場にいたすべての人が心に強く刻んでいた。さらに全員が横並びに座って歌った「I Hate Goodbyes」では、どうしても迎えてしまう卒業を目の前に、少しでもポジティブに捉えようとする彼らの歌声が優しく、温かく響いていた。

ラストの挨拶では、劉宇が「INTO1の海外公演はこれが最後となります。私にとってINTO1は、一生残る僕の青春で、もっともロマンチックなものです。これからもINsiderの心の中にいつづけます。愛しています」と話し、賛多は涙を抑えながら感謝を述べると、メンバーみんなとハグがしたいと告白。周柯宇に「もっと泣いちゃうよ」という忠告を貰うも、1人ひとりを熱いハグをして号泣。「この泣いているのは、ありがとうの涙です」と話した。力丸は、ケガで一緒に居られなかった期間のことを振り返り、「隙間を感じたときもあったけど、いま、ようやく話せるようになってきたおに終わっちゃうのが悲しい」と話し、米卡は「本当に卒業したくないです。でも、そうしなければなりません」と話すと、メンバーみんなが次々と涙が抑えられなくなり、ナインはすでに涙をボロボロと流しながら、「グループであるとともにファミリーです。メンバーに中国語を教えてもらわなかったらここまでいま、言うことはできなかった…。だから本当に卒業したくない! 長くみんなに会えなくなっちゃうから…!」と溢れる涙を抑えられずにいた。林墨は「この情熱、熱血、ロマンは、ボケてしまったとしても忘れません」と彼らしい言葉で表した。

伯遠は、これまで何度の挫折を乗り越え、ついに掴んだINTO1での日々を「夢の様な日々でした」と、胸を張って話し、張嘉元は、しっかりとスタッフやINsider、メンバーへ「本当に感謝しています」と口にし、パトリックも「卒業したくない気持ちです。みなさんが必要なんです。ずっとそばにいて下さい」と話すと、周柯宇は21歳になったことを話し、「もっとも貴重な時間でした」と言うと、AKはINTO1を桜で表現し、最後には「INTO1最高! INsider最高!」とテンションをあげ、しっとりとした空気を鮮やかに変えていった。

そして最後の曲は彼らのデビュー曲である「INTO1」。『創造営2021』のラストでも歌われたこの曲は、希望に満ちていて、とても力強い。会場でも合唱が起こるほど、彼らが愛されていることが伝わってくる一幕だった。

最後に彼らが1列になり、深く深くお辞儀をすると、鳴りやまない「INTO1!」というコールが響き渡る。彼らは容赦なく、この4月で活動を終える。しかし、この2年で得た経験と輝きは、今後も彼らひとりひとりの自信と誇りになり、それぞれがさらなる活躍を見せてくれるはずだ。そして、私たちが今後、“INTO1”という言葉を見る度に、優しさと強さ、相手を思いやる気持ち、そして駆け上がる伝説を思い出すことだろう。

取材・文◎吉田可奈

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