【インタビュー】TOSHI-LOW、成熟と変わらない価値観「音楽はカウンターカルチャー。世の中の正しい動きと同じでなんかなくていい」

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■ BRAHMANはいいんですよ、もっと右往左往してて

── では、OAUが旧名OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUNDだった頃は、アコースティックへのこだわりがあったのかと思いますが、今はどうでしょうか。

TOSHI-LOW:こだわりをつけとかないと何をやっても自由になっちゃうから、制約をつけちゃったんですよね。もちろんBRAHMANもあるから、そこと被ってもしょうがない。同じ人間がやってるから引き出しが限られてるけど、それも違う方向から開ければ、同じ人間でも違う発想ができるんじゃないのっていう狙いがあった。でも今は、自由なんですよ。いろんな引き出しがいっぱいあるから、制約もいらなくなってきた。

── OAUのスタイルが出来上がってきたということでしょうか。

TOSHI-LOW:バンドとしても個人としても、成熟してるってのがあるんじゃないですか。決まり事って未熟なものに対して必要じゃないですか。フェスとかも、なんであんなにがんじがらめのルールがあるんだろうって。それは、それを守らない、それやったら秩序成り立たないじゃんっていうことをしちゃうバカがいるから、あんなにルールでがんじがらめのつまんないフェスがあるわけで。書いていいですよ。だって物の分別がわかってれば、ルールなんて本当はいらないし何も制約なんていらない。それはバカがいるから。何回もバカって書いていいですよ、太字で(笑)。

── (笑)いろいろ新しいトライアルをした今回のレコーディングは、どうでした?

TOSHI-LOW:OAUの制作はずっと続けてきたから変化が急に起きたわけではないし、変化と言えば、1個前のアルバム『OAU』の方が完全にやりたいことができたなって思う。そこから、自分たちの音楽としてもっと深いところに行きたいと思った。それはプレイヤーとしても深いところなんだと思うし、自分たちの音楽がより深化するように追求していくのがバンドの本当の面白みだと思うんですよね。今それがすごいできてる。メンバーひとりひとりの楽器の役割をよく理解したという部分がすごいでかくて、曲作りしてからも展開が早い。今まではあれもこれも全部試さないとベストにたどり着かなかったけど、今はOAUに関しては、これがどのぐらいになればいいか、みたいな曲作りの的確な判断が皆とても早くなりました。


── それで新作リリースが数年に一度のBRAHMANに比べ、OAUはテンポよくリリースできているんですね。

TOSHI-LOW:そう、確かにねえ。BRAHMANどうなんだって言われたら、(コンスタントなリリースは)逆にないんですけど(笑)。BRAHMANはいいんですよ、もっと右往左往してて。役割がもっとグチャグチャなんですよ。もっと衝動的であっていいし感情的であっていい。軸にあるのが音楽理論とかじゃないんで、もっとめちゃくちゃでいいし、もっとラディカルでいいしノイジーでもいいし。でもそれって、もっと難しいんですよ。OAUは音楽の手本がしっかりあるので、トラディショナルという言葉も当てはまると思う。だけどBRAHMANのように何もないところから作るっていうのは難しい。でも、そのどっちもやれるのはむちゃむちゃ面白いですよ。

── TOSHI-LOWさんの中で両者のバランスはどうなんですか。

TOSHI-LOW:どっちも楽しんでますよ。もちろんOAUでやってることもBRAHMANでフィードバックというか役立ってるし。役に立ってるんだけど、OAUの方法論をBRAHMANで使おうとは思わないですよね。(BRAHMANは)もっと奇妙奇天烈でいいから。でもまあ両方を、このレンジの広い音楽をやれてるっていうのは、俺はミュージシャンとしてめちゃめちゃ面白いと思う。何か一つの色でしかできない、キャラを守らなきゃいけない人とかいるじゃないですか。例えばハードな音楽性だからソフトな音楽やっちゃいけないとか、ポップだったらアンダーグラウンドのほうには来れないとかよくあるけど、俺たちはそんな中で、ライヴハウスでやってるバンドからポップシーンの人まで、いろんな人とやれる。それって本当に面白いなと思ってる。しかも同じメンバーで。ソロならいると思うけど、同じメンバーでこれだけの振り幅って他にいないと思う。きっと、メンバーはみんなそれなりに努力したと思うんですよね。だって今回改めてレコーディング見てて、みんなうめえなーって思ったんですよ。あんまり思ったことなかったけど、「俺以外うめー!」って。

── OAUの場合は、これだけ成熟したことに対してMARTINさんの存在も大きいのでは。

TOSHI-LOW:MARTINはもともと音楽家としてちゃんと音楽をやってきた人間で、俺たちみたいに人に習ったことのない人間ではないからね。だからMARTINが持ってくるアイデアはとても音楽的であるし、しっかりしてる。でもそこに足りないもの、面白さであったり、他との切り口の違いであるとかがMARTINには必要で、それが俺たちにあるんだと思うんですよ。それが混ざると、ちょうどいい、ありそうでない、なさそうである、みたいなOAUの音楽ができあがる。



── 『Tradition』を完成させて、手応えは?

TOSHI-LOW:特にないです。バンドの作品として、面白いなあとは思う。バンドとしての成熟を感じるし、改めてバンドが好きでよかったと思うことがいっぱい詰まってるだけ。

  ◆  ◆  ◆

取材・文:今井智子
撮影:大橋祐希

アルバム『Tradition』

2023年4月12日(水)発売

収録曲 全14曲
01. Old Road
02. セラヴィ -c'est la vie-
03. 夢の続きを
04. Time's a River (New Acoustic Camp 2022 テーマ)
05. 世界は変わる (映画「追想ジャーニー」主題歌)
06. Homeward Bound
07. Blackthorn's Jig
08. 月だけが
09. Whispers
10. Family Tree
11. Linden
12. This Song -Planxty Irwin-
13. Without You
14. 懐かしい未来 (J-WAVE「HEART TO HEART」テーマ)
 
初回生産限定盤(CD +DVD) ¥4,000(税抜)TFCC-81013~81014
初回仕様限定通常盤(CD) ¥3,000(税抜)TFCC-81015
完全限定盤(LP2 枚組 33 1/3rpm) ¥5,000(税抜)TFJC-38116~38117
 
初回生産限定盤DVD
・OAU「New Acoustic New Year 2023」Billboard LIVE TOKYO (2023/1/21)
1.Apple Pie Rag 2.Thank You 3.Hold Your Head Up High 4.Follow The Dream 5.夢の跡 6.世界は変わる 7.Peach Melba 8.Again 9.Time’ s a River 10.Making Time 11.This Song -Planxty Irwin- 12.Change 13.帰り道
全13曲

・OAU「New Acoustic Camp 2022」(2022/9/17) 
1.Old Road 2.こころの花 3.Peach Melba 4.Making Time 5.Midnight Sun
全5曲
 
■予約:https://oau.lnk.to/tradition

<OAU Tour 2023「Tradition」>

・6/3(土)北海道 札幌サンプラザホール
開場17:00/開演18:00
(問)スマッシュイースト TEL 011-261-5569 HP https://www.smash-jpn.com/

・6/7(水)大阪 サンケイホールブリーゼ
開場18:00/開演19:00
(問)グリーンズ TEL 06-6882-1224 HP https://www.greens-corp.co.jp/

・6/9(金)岡山 ルネスホール
開場18:30/開演19:00
(問)夢番地岡山 TEL 086-231-3531 HP https://www.yumebanchi.jp/

・6/14(水)愛知 名古屋市芸術創造センター
開場18:00/開演19:00
(問)ジェイルハウス TEL 052-936-6041 HP https://www.jailhouse.jp/

・6/23(金)宮城 トークネットホール仙台 小ホール
開場18:00/開演19:00
(問)ノースロードミュージック TEL 022-256-1000 HP https://www.north-road.co.jp/

・6/30(金)福岡 電気ビルみらいホール
開場18:00/開演19:00
(問)キョードー西日本 TEL 0570-09-2424 HP http://www.kyodo-west.co.jp/main.php

・7/5(水)新潟 新潟市音楽文化会館
開場18:00/開演19:00
(問)キョードー北陸 TEL 025-245-5100 HP https://www.kyodo-hokuriku.co.jp/

・7/8(土)東京 昭和女子大学人見記念講堂
開場16:30/開演17:30
(問)スマッシュ TEL 03-3444-6751 HP https://smash-jpn.com/
ホットスタッフ TEL 03-5720-9999 HP https://www.red-hot.ne.jp/

Album「Tradition」
封入シリアルナンバー・チケット先行
4/12(水)昼12:00〜4/19(水)23:59にて期間限定受付
CD盤/LP盤ともに封入あり
http://oau-tc.com/

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