【ライヴレポート】有村竜太朗、バースデー公演で「声出しに感動！ 膝が崩れそう（笑）」

Plastic Treeのボーカリストにして、ソロアーティストの有村竜太朗が3月6日、東京・Spotify O-EASTにてソロ公演＜有村竜太朗 BIRTHDAY LIVE 2023 -ROOM306-＞を開催した。同公演のオフィシャルレポートをお届けしたい。

◆有村竜太朗 画像

自身の誕生日である3月6日は、ソロとしての足跡をかみしめつつ、ファンと共にライヴでお祝いする日でもある。＜有村竜太朗 BIRTHDAY LIVE 2023 -ROOM306-＞と銘打った公演は、今年も会場をホテルの特別な部屋に見立て、そこにお客様を招待するというユニークなコンセプトで実施された。果たして、2023年のおもてなしはいかに。

場内が暗転し、オープニングとしてホテルの館内をイメージした映像が映し出される。その後、おなじみのDEMONSTRATIONsのメンバーである鳥石遼太(B)、高垣良介(Dr)、野村慶一郎(Manipulator＆Key)が登場。また、本編前半のゲストである悠介(G：lynch. / 健康)もスタンバイした。大きな拍手に迎えられ、最後に有村竜太朗がステージへ。ピアノに歩み寄ると、静かなトーンでインスト曲「幻形テープ/genkeitêpu」を弾き始める。おごそかな滑り出しが会場を幻想的な空気に包んだ。


2曲目の「浮融/ fuyuu」では悠介のギターがジワジワと存在感を発揮。エッジの効いたサウンドに煽られて、場内が熱を帯び始める。曲が終わると、拍手だけでなく、「竜太朗！」と名前を呼ぶ声が混ざった。有村竜太朗は最初のMCで声出し解禁ライヴであることに触れ、久々に体験する通常のライヴへの期待を滲ませた。

3曲目以降は「くるおし花/kuruoshibana」や「猫夢/nekoyume」など、アッパーなナンバーを連発。声出し解禁の影響か、観客のノリも明らかに違う。突き上げる手も身体の動きも、生き生きとしているようだ。「魔似事/manegoto」「色隷/sikirei」と、曲は進み、前半のラスト曲「19罪/jukyusai」へ。浮遊感のあるギターから、記憶の奥底をえぐるような、優しくもノイジーなサウンドが広がっていく。ここに有村竜太朗の繊細な声が乗ることで、郷愁感が増幅された。

「19罪/jukyusai」のギターの残響音が消えぬまま、ライヴは後半へ。ステージ背後には時計が映し出され、秒針の音が場内に響く。ライヴは再びゆったりと動き始め、「鍵時計/kagidokei」「円劇/engeki」へ。優しく沁み入る2曲に、観客は身動きできない。また、本編後半のゲストには生熊耕治(G：cune / BLUEVINE)が参加。キレのあるギターがバンドに鋭さを加える。


「声出しに感動！膝が崩れそう（笑）」と2回目のMCで語った有村竜太朗。客席からの声援に表情をゆるませていた。そして、会場であるSpotify O-EASTについては、亡き親友に思いを馳せた。

「昔からお世話になってます。大好きな会場であります。hiro(2021年11月に急逝した有村竜太朗の盟友であり、teのギタリスト。DEMONSTRATIONsのメンバーでもあった)と一緒にセッションで出演したこともある。今日、たぶんhiroも来てると思う。絶対来てるね！」──有村竜太朗

その後、ノスタルジックに響く「ザジ待ち/zajimachi」やキャッチーな「憑影と月風/tsukikagetotsukikaze」でセットリストに緩急が描かれた。そしてライヴは佳境へ。憂いと儚さが共存する「また、堕月さま/mata,otsukisama」、エモーショナルな演奏で酔わせる「日没地区/nichibotsuchiku」は、本編ラスト間近のメニューを熱く盛り立てた。その火照りを落ち着かせるように、切ない喪失感を歌った「恋ト幻/rentogen」を熱唱し、クロージング曲の「幻形フィルム/genkeifuirumu」が場内を“静”の空気に戻した。

本編が終わると、有村竜太朗から嬉しい知らせが告げられた。7月3日にリアレンジアルバム『≒demo』がリリースされることと、これに先がけて3月7日の「≒nekoyume」を皮切りに4ヵ月連続配信リリースを行うというものだ。さらには＜有村竜太朗 + demons TOUR2023「≒demo」＞の開催も決定。この嬉しい知らせに観客から歓喜の声が上がった。


その後、「アンコール！」の声援が手拍子とともに飛んだ。生声に応えて、ステージに戻ってきた有村竜太朗は「アンコールの声、すげ～嬉しいです！」と告げた。やはり生声のパワーには感極まるものがある。

アンコールはリアレンジバージョンの「≒nekoyume」を披露。そして、ダブルアンコールで、メンバー紹介の流れから、前もって座席に用意されていた小さなLEDキャンドルを灯し、ピアノ演奏をキッカケに観客がバースデーソングを合唱するというサプライズ。これには「嬉しいです！ ありがとう！」と有村竜太朗も大感激。声出し解禁だからこその感動的なプレゼントとなった。

有村竜太朗は感謝を込めて、「日没地区/nichibotsuchiku」と「鍵時計/kagidokei」のリアレンジバージョンをプレイ。ここでは本日のゲスト、悠介と生熊耕治の2人が加わり、ギター競演も華やか。コロナ禍を経て、新たに歩み始めた有村竜太朗を告げる一夜となった。