【インタビュー】deadman、リテイクアルバムにバンドの20年と現在地「生きている。生身だっていう感じがあります」
■遠い未来かもしれないですけど
■新曲だけのアルバムを作っても
──今回、全曲でカラオケというかインストバージョンも収録されていますが、あえてそれを収録したのも、このバンドサウンドも聴いてほしいという思いからですか?
aie:今回のツアーで無料配布する新曲「rapid dog」があるんですけど、それを短冊形の8cm CDにしたかったんです。1990年代くらいまであったやつですね。で、短冊形シングルでパッケージデザインをしているときに、昔の8cm CDを調べたら結構な確率でカラオケバージョンが入っていて。
──シングルのカップリングといえばカラオケバージョンでしたね。
aie:じゃあ、“(笑)”になるかもしれないけどカラオケ入れようかってなったんですけど、それが意外といいかもと思って。生のバンドだからこそ、オケだけで聴いたらこんなことやっていたんだ!?とかもわかるし。人によってはカラオケの上から歌ってもらってもいいし。今はSNSでいろんなトラックの使い方もできるんじゃないかなと思って。実験的ではあるんですけど、これで反響をみて、今後どうしていこうかというのはあるんですけどね。
▲眞呼(Vo)
──歌の世界観があって全体で曲を捉えていたと思うんです。あえてその歌がない状態で、実はこんなことになっていたんだというアイディアや、バンドアンサンブルの強みが出ています。
aie:あとずっと感じていたのが、コピーバンドとかいるじゃないですか。MUCCのコピーバンド、Cali≠gariのコピーバンド、MERRYのコピーバンド、DIR EN GREYのコピーバンドってよく見るんですけど、deadmanのコピーバンドってあまりいないなと思って。「フォロワーです」と言ってくれる人がいるわりに、誰もコピーやらねえなと思ってたから。今回はヒントとして、これでコピーしやすいでしょうっていう。
眞呼:これでもする人が…。
aie:いないかな(笑)。
──deadmanをコピーしようにも、このバンドだからこそのこの空気感なんだろうなって聴いている人も多いと思うんですよね。
眞呼:そうなんですけどね。それは、Merry Go Roundもそうだと思うんですよ。年末にやりましたよね、僕ら。
aie:僕らがMerry Go Roundのカバーして、もうひとつがdeadmanのコピーバンドという対バン企画を実施したんですけど、それを見るのは新鮮でしたね。演奏する人が違うとこんなに変わるんだとか。一流の人たちでそれをやったから、それぞれ“自分”を持った4人のプレイヤーが集まってやっているからこそ面白かったんですけどね。ギターがMERRYの結生くんだったんですけど、ちゃんと結生くんっぽいし。ベースが人時さんで、ちゃんと人時さんなんだけど、やってる曲がdeadman、みたいな。あれはいい刺激になりましたね。
──それを、これからバンドやりたいっていう子たちにも味わってもらえたらと。
aie:deadmanコピーすると面白いと思うですよね。難しそうに聴こえて別に難しくないんだとかもあると思うし。コピーは楽しいと思いますね。
▲東名阪ツアー<deadman 2023 tour「Rabid dog walking a tightrope」>
──バンドのいろんなルーツも紐解けそうですしね。では、新曲のお話も聞きたいのですが、「Rabid dog」はどんな感じで曲作りがスタートしたんですか?
aie:遠い未来かもしれないですけど、そろそろ新曲だけのアルバムを作ってもいいんじゃないですか?みたいなところから、じゃあ何曲か手をつけましょうかというので2〜3曲やった中の1曲ですね。これをやりはじめた頃から、今回のツアーが決まってきて。取り急ぎ、ライヴで1曲無料配布しましょうというので「Rabid dog」を選んで。そこからちゃんとアレンジをしていったという流れでしたね。
──不思議な曲ですね。エッジあってパンキッシュですけど、パンクだけじゃない、いろんな要素が混じり合っている曲で。
aie:そう。シングルっぽくない曲で(笑)。
──シングルっぽくない、一筋縄でない曲ですけど、これはdeadmanの曲だなというのもあるし。
aie:そうなんです。我々っぽい。サビはどれ?みたいな。そういうのは狙いましたね。これは、いいものできたなっていうのは、バンドでもありました。でもはじめは全然違う形であったんです。GジャンGパンのアメリカンロックンロールみたいなのを試しにやってみようってはじめたら、やっぱり全然違うものになって。
眞呼:はははは。
aie:最初の予定は、ヴァン・ヘイレンみたいな感じだったんですけど、「あかんあかんあかん!」って。この曲をよりdeadmanぽくするには、ここをこうしていこう、ガンガンテンポもあげちゃいましょうっていうので、今の形になっていって。そうしたらすごく良くなりましたね。
──アメリカンロックだったとは、今の形からはまるで想像できない(笑)。
眞呼:そのGジャンも袖がないタイプのやつですからね。筋肉質の人が着てるような。
aie:バンダナ巻いてっていう。
眞呼:でも大体、「これはあかんあかん」って言ってるのはaieさんだけなんですけどね。
aie:なんか、あまりハマりがよくなかったんですよね。今までやってこなかったメタル系とかも一回試してみたいなとか思ったんですけど、結局言うだけで、完成してみたらまったく違うものになっていることも多いので。今回もそのパターンですね。
▲aie(G)
眞呼:ただ今回は私も、「ここはこうしたいです」とか「Bメロは小節数を変えませんか」とかがあったので。
──そうなると必然的に爽快なアメリカンロックではなくなっていったという。
aie:はい。それで結構変わって、ビートも変わって。確かにスタート時のものは何一つ残ってないですね。
──最初のイメージはきっかけに過ぎなかったと。
aie:きっかけだけです。でもいいんです、全然(笑)。
──aieさんとしても、結果的にカッコいいものになればいいということなんですね。
aie:そうです。あの変なサビだけはやりたいなと思っていて。
──英語詞のところですか?
aie:そのあとのラップっぽいところですね。あれをサビの位置に持ってくるというのはやりたかったんですよね、サビがふたつある感じで、すげえ気に入ってますね。
──ラップなのか語りなのか歌なのか、不思議なニュアンスがあるパートですね。
眞呼:私的にはラップなんです。言葉のイントネーションや抑揚がメロディになると思うんですけど、似たものにならないラップのメロディラインがやりたくて。そういうつもりで、ラップっぽくないと捉えていただけたらいいんですけどね。ただ、ラップじゃないというわけじゃないんです(笑)。こういう感じもあるでしょっていう。
──攻撃性がぐっと高まるパートでもありますしね。
眞呼:こうじゃなきゃいけないっていうものじゃないんですよね、ラップも。
──その前の英語詞のパートもまた印象的で。こちらはメロディアスで、かつ非常にメッセージ的でもあります。
眞呼:歌詞的には、どちらの置かれた状況でも言えることを言っていますね。例えば、加害者と被害者、そのどちらの立場でも言ってる感じというか、どちら側でも捉えてほしいという感じにはしていますね。
──曲の構成としては、どのような感じでこのパートが生まれているんですか?
aie:Aメロが攻撃的でいて、そこからパッとシーンが変わったように美しいメロディがあって。よくわからないサビにいくようなことはやりたいと思っていたんです。ここで、“サビで歌っちゃう感じだと飽きちゃうかもな”というのはありましたね。例えばシングルのプレゼンにかける場合だったら、これはダメな曲なんです。だけど、タダで配るんだから誰も文句はないだろうと思って。こっちの好きにさせてくださいという。でも非常に不思議な曲で、でもdeadmanぽいなというものになりましたね。
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