【ライブレポート】WATWING、NOA、BUDDiiS、ドラマの共演を超えた信頼関係

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2022年10月から12月にかけて放送されたTBS系火曜ドラマ『君の花になる』。同作に登場した7人組ボーイズグループ・8LOOMが、ドラマを飛び出して期間限定のボーイズグループとして実際にデビューし、楽曲リリースや物語と連動したライブ、イベントなど多岐にわたる活動をしたことも記憶に新しい。

8LOOMのメンバーには俳優だけでなく、すでにアーティストとしてデビューしていたメンバーも在籍した。それがWATWINGの八村倫太郎、BUDDiiSの森愁斗(SHOOT)、NOAの3名である。音楽を軸に表現を突き詰めてきた彼らの存在があったからこそ、現実世界でも8LOOMがアーティストとしての支持を得たと言っても過言ではない。そんな切磋琢磨した3名の共演が実現したのが、WATWING主催のツーマンライブイベント<HELLO! SMILE PARADISE 2023 SPRING>。第1部にはNOA、第2部にはBUDDiiSが登場した。WATWINGの「HELLO WORLD」、BUDDiiSの「SM:)LE」、NOAの「Paradise」をジョイントさせた公演タイトルからもわかるとおり、ドラマでの共演を超えた3組の信頼関係に満ちた1日だった。

第1部はNOAのバックDJを務めるHITOMI SETOが爆音を轟かせ、黒い衣装で統一したWATWINGの6人が登場。オープニングパフォーマンスとして、クールでアダルティなダンスでもって会場の高揚を高めていく。そこに白で統一したストリートファッションに身を包んだNOAが登場し、ステージから去る6人とハイタッチ。ダンサーたちと共に「Just Feel It」、「Don't Waste My Time」などを畳み掛ける。憂いを帯びながらも華やかな彼の佇まいは、たちまち観客のハートを掴んでいった。



この日はNOAの1stフルアルバム『NO.A』のリリース日。同作に収録された楽曲を中心にセットリストを展開する。クールな楽曲たちは、NOAの持つアンニュイな雰囲気と憂いをより際立たせた。「Bad At Love」ではラフな雰囲気で身体を動かして観客の目を見つめながら歌い、「TAXI」ではビートに身体を預けるようにダンス。“皆さんと一緒に踊りたい”と呼び掛けた「Paradise」では曲中にWATWINGが登場し、曲のラストではNOAと八村が肩を抱くシーンも。両者の柔らかい表情からも、気心知れた様子が伝わってきた。

ファンへの感謝の気持ちを込めた「Purple Sky」を歌う前、NOAは、この日会場に向かう車の中で同曲を聴きながら韓国から日本に戻る時の心境を思い出し、ファンに支えられていることをあらためて噛み締め涙を流したことを明かす。“ほんとになかなか泣かないんですけど、この曲を聴きながら今日は車のなかでひとりで泣いちゃいました”と照れながら微笑む彼は、これからもファンとずっと一緒にいられたらうれしいと真摯な思いを歌声に乗せた。ラストは久しぶりに披露するという「Highway」。観客の存在、ポップで晴れやかなサウンド、爽やかに輝くミラーボールやレインボーの照明が、この先の彼の人生を明るく照らしているようだった。



後攻のWATWINGは、最新シングルの表題曲「The Practice of Love」で自身のステージの幕を開ける。ほの暗いイメージを与えるサウンド、あふれ出す情熱を抑え込むようなスリリングなヴォーカルとダンスで、一気に楽曲の世界へと引き込んでいった「With You」では広い空を感じさせる開放的なアプローチで魅了。NOAが自身のムードをより濃厚に表現していくアーティストならば、WATWINGは6人で力を合わせて楽曲の世界観を鮮明に表現していくことに長けているのかもしれない。様々なジャンルやサウンドの楽曲を実現させられるのも、そのスキルを磨き続けているからだろう。









MCでは、髙橋颯が声を出せない観客を慮り“見えてるから自信持ってね。可愛いよ。好きだから大丈夫! 安心して”と呼び掛けると、八村がすかさず“きゅんきゅんしちゃうわい!”と笑う。小気味よいテンポのトークを繰り広げた後は、迫力あるラップの自己紹介ソング「WATW“ing”」になだれ込む。エモーショナルな爽快感で溢れた「Honey, You!」、観客もメンバーとともに腕を左右に振るなどしてビートを感じた「WAIT A MINUTE!」と、楽曲ごとに異なる表情を見せていった。また、この日は福澤希空の19歳の誕生日。八村が“希空のバースデーをこの曲でみんなで祝っちゃおう!”と告げるとパーティーチューン「Waves」をアグレッシヴに届け、「WINGS」で伸びやかなヴォーカルで観客をあたたかく包み込んだ。

NOAとBUDDiiSを迎えてイベントを開催できる喜びを語った八村が、“めっちゃ大切な仲間だけど、これからも一緒に音楽を盛り上げていくライバルとして、競い合って愛し合っていきたいと思います。そんな2組に捧げるラブソングです”と告げ披露したのは「Runway」。和太鼓のように重いビートとあふれ出す闘志を、全身で表現するようなダンスとヴォーカルは非常に勇敢だった。ラストの「HELLO WORLD」では曲中でNOAが登場。プレミアムなコラボレーションステージに、ハッピーチューンがより輝きを放っていた。



NOAは“WATWINGと一緒に作り上げたステージだからこそすごく気持ちもこもったし、何よりも最高に熱かった”とこの日を振り返り、八村は“今日この日がNOAの1stフルアルバムのリリース日であり、うちの希空の誕生日なんてすごいよね。だから今日はノアの日だ。本当に最高の1日になりました”と感慨深げに話す。NOAとして、WATWINGとして共演できたことは、彼らにとって大きな財産になったのだろう。

第2部ではオープニングでBUDDiiSとWATWINGSが一斉に登場。カラフルかつオーバーサイズの衣装を纏った前者と、黒い細身の衣装の後者で、ダンスバトルのように交互に迫力のパフォーマンスを見せてゆく。SHOOTがKEVIN作詞作曲による「OZ」を歌い出すと、2組がハグをしたりハイタッチをするなどしてWATWINGがステージを後にし、BUDDiiSのライブがスタートした。













BUDDiiSは10人という大所帯を強みにしたステージを展開する。舞台上をフルに使用したフォーメーションもゴージャスで、歌をフィーチャーしたポップソングではメインヴォーカル陣のハーモニー、ラップもアクセントに。10人の力を持ち寄って作り出す、エンターテインメントに特化したグルーヴィーな空間は、まさに“DIY”ダンス&ヴォーカルグループの異名に相応しい。

FUMINORIがWATWINGと親交が深いことを明かすと、“お互いに刺激し合えて、アーティストとしていい関係を築けている”と敬意を示す。その後もチルナンバー「ON & ON」、ダンスのフォーメーションも目を引く「BEAST2」、ライブの定番ジャンプ曲であるWAZZ UPのカヴァー「ALRIGHT」、キュートでスウィーティーなラヴソング「The One」、心地よいトロピカルなトラックの「Under The Sea」などで観客をパワフルかつスマートに巻き込んだ。













ラストの「SM:)LE」では曲中でWATWINGが登場。16人で足並みを揃えてダンスをしたり、SHOOTと八村がラップの掛け合いを見せるなど、この場でしか実現できない幸福感を作り出した。FUMINORIはメンバーを代表して“これからもお互い切磋琢磨しながら成長していけたらなと思います”と思いを告げると、客席からは大きな拍手が湧いた。

WATWINGは6人一斉にステージに出てくるや否や観客へクラップを煽り、第1部同様に「The Practice of Love」でライブをスタート。続くファンキーなナンバー「Turn it up」ではダンスとヴォーカルで展開の多い楽曲をキャッチーに見せていく。サビへと駆けあがる高揚感や、八村、古幡亮、福澤でつなぐマイクリレーのラップパートはライブをより鮮やかに彩った。また自己紹介MCでは、桑山隆太がBUDDiiSの「OZ」を歌い出し、“大好きなMy Buddy、とWindy〜”と自分たちのファンネームも付け加えるなどの茶目っ気を見せる。八村は“BUDDiiSと一緒にやった「SM:)LE」が楽しすぎて最高だった! こんなにコラボができるライブはなかなかない”と意気込んだ。

その後は第1部と同様のセットリストを展開するのだが、ゆえにひとつ発見できたことがあった。WATWINGは競演相手によってアプローチに変化が出るのだ。NOAとのツーマンでは楽曲の世界観を細部まで表現することに従事していたのに比べ、この時は6人の気魄が織り成すグルーヴで観ている人々の意識を引き付けていった。この日2ステージ目であるがゆえかもしれないが、あれだけBUDDiiSが10人だからこそできるステージを見せた後だ。彼らからの影響は否めない。恐らくWATWINGは対抗心も強いグループであり、それは相手にリスペクトを持っているからこそ自分たちも抜群のパフォーマンスを見せたいという、アーティストとしての矜持のような気がした。









5曲パフォーマンスすると、6人はBUDDiiSとのリハが盛り上がったこと、“FUMINORIが高橋に冷たく当たる”というノリがあるという話題に花を咲かせる。途中、進行役の八村が席を外すと、福澤と鈴木曉が独特のムードとワードチョイスでトークを展開。ちょっと風変わりな空気感ではあるものの、妙に心地がいい。ある意味これもこの6人だから成し得るグルーヴなのだろう。その後も6人全員は迷いのない堂々としたパフォーマンスで会場をあたため、ラストの「HELLO WORLD」へとつないでいった。1番のサビが終わったタイミングでBUDDiiSのメンバーが登場するとWATWINGの6人は袖に下がり、BUDDiiSのみで2番をパフォーマンス。これだけのコラボレーションが実現できるところに、2組の強固な結束が垣間見えた。2番のサビが終わるとWATWINGも合流。途中で八村とSHOOTがハイタッチから手を握る瞬間も胸を熱くさせた。

FUMINORIは“仲間ってこういうことだなと思う。めちゃくちゃ楽しかった”、SHOOTは“友達とライブできて最高。アーティストやってる者同士が(ドラマで出会って)、その後にそれぞれのグループとしてライブができるって激アツだよね”とこの日の喜びを語る。八村も“SHOOTと俺の出会いからWATWINGのメンバーとBUDDiiSのメンバーを巻き込んで一緒にライブを届けることができて、そこにバディのみんなもWindyのみんなも来てくれて、2月22日にこんな素敵な日を迎えられて幸せです”と晴れやかな表情を浮かべた。そして合同の記念撮影をしていたところに、BUDDiiSのメンバーからバースデーボーイの福澤にサプライズでケーキとヴォーカル3人による歌をプレゼント。予想だにしない展開にWATWING一同目を丸くしながらも、BUDDiiSの心意気に感謝の意を示した。





ドラマの世界や8LOOMの活動を超えて開催された同イベントは、お互いのリスペクトがなければ成し得なかっただろう。3人が出会う前から3組それぞれがポリシーを持ち、自身の表現を追求してきたからこそ、3人が出会った後も3組全員がお互いの存在に刺激を受けていることがうかがえた。これからも続く3組の物語を眺めていたい。あわよくば時にはその道が交わってほしい。そんな清らかな情熱が湧き上がる、歓喜に満ちた1日だった。


取材・文:沖さやこ
撮影:Ryuya Amao

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