【インタビュー】DEZERTの千秋が語る、2023年のヴィジョンと決意「命をかけよう。ここを失敗したら後がない」

■失敗してもいいんですよ
■人生をかける準備をしたかっていうこと

──メンバーへの信頼度は相当高いですね。

千秋：昔、やってきたいろんなことを思い返すと、ひとり辞めちゃったけど、みんなよくついてきてくれたなと。そう思うと、尊さすら感じますよね。2022年、メンバーのパーソナルインタビューをいろんな媒体でやったんですけど、僕にとって衝撃的な話がいっぱいあったんですよ。「え、SORAくんその頃、辞めたかったん!?」とか、読んで初めて知るっていう。すぐにSacchanに電話して、「あの頃SORAくん、辞めたいって思ってたらしいで」って言ったら、「そうやで。まあでも、うまく言っておいたから大丈夫になったんちゃう？」って。Sacchanが裏ですごいフォローしてくれてたんやって思ったら、身の引き締まる思いでした。メンバーに対して、一番他人行儀なんじゃないですかね、僕が（笑）。ありがとうという気持ちもあるし。

──そういうタイミングでもなければメンバーの心の内を知ることって難しいし、メンバー同士が腹割って話す機会も少ないでしょうしね。

千秋：昨年の日比谷野音ライヴが終わって、SORAくんから「ふたりで飲もう」って言われた時は、ちょっとビビりましたけどね。渋谷の居酒屋に行ってふたりで飲んだんですけど、何かすごいこと言われるのかなと思ってたら、「大丈夫だから」みたいなことを言われたんですよ。「大丈夫。絶対に千秋は大丈夫だから、気にしないで。面倒臭いことは、全部俺らがやるから。大丈夫だよ」って。

──その「大丈夫だから」に思い当たる節はあったんですか？

千秋：いや、今でも意味がわかってなくて（笑）。でも「そうか、ありがとう」って。SORAくんから「横浜アリーナも絶対できるから。なんとかする」っていう宣言だったんです。面白かったですね、ありがとうございますって思いながら。そういうこともありながら、本当に牛歩ですけど、進んでいると思います。

──いい話じゃないですか。今、音源の制作にも入っているそうですが、どんな状況ですか？

千秋：今日、ちょうどデモは出して。全部いい曲です。目標に向けて…9月の渋谷公会堂だけでなく、僕らはその先も見据えているので。扉を開けた後、その扉の向こうに対する武器じゃないですか、曲は。それをどういうものにするか。ポケモンでいえば相手が“みずタイプ”やのに“いわタイプ”でいっても仕方ない。今回は“でんきタイプ”かな？みたいなのをちゃんと考えようぜというタームですね。


──まずは、9月の渋谷公会堂ワンマン＜DEZERT SPECIAL LIVE 2023 -DEZERT-＞に向けて、着実に進んでいこうと。

千秋：渋谷公会堂が、ソールドしなかったら考えますね。そのくらい全力で臨んでいる。これまで“人生をかける”って言葉がめっちゃ嫌いだったんですよ。昔、ONE OK ROCKの『人生×僕＝』のドキュメントみたいのを観たら、「人生かけて」ってカッコよく言ってて。“人生かけてなんやねん”って思ってたんですけど。ほんまに今、「人生かけて」って言いたい（笑）。失敗してもいいんですよ。ただ人生をかける準備をしたかっていうところ。今回は言い訳なし。だから、ライヴのタイトルも＜DEZERT＞にしようと。だったら準備をする時間を設けようということで、9月に渋谷公会堂ワンマンをやることを今年初めの段階から発表して。その後に、6月からのツアー＜きみの脊髄と踊りたいんだっ!!ツアー＞開催をアナウンスしたんです。人生かけるための準備がこの6月からのツアーに入っていると。

──そういうプランって、いつ頃から考えていたものですか？

千秋：渋谷公会堂ワンマンは1年くらい前ですね。「どうしても渋谷公会堂でやりたい」ってことはずっとライヴ制作に言っていたんです。2020年のコロナ禍にやった渋谷公会堂ワンマンは、結構ターニングポイントというか、そのきっかけのライヴだったので。もう一回ここでやろうと決めてからは、「命をかけよう。ここを失敗したら後がないぞ」くらいの気持ちで。それは、あえて言ってもいいんじゃないかなっていう感じのプロジェクトになって。だから、みんな本当に来てほしいですね。

──2023年はDEZERTにとって大事な年になりますね。

千秋：スタッフと毎年言ってる気がするんですよね、「今年大事やんな」って。でもそれってすごくないですか？

──「伸びしろ」ですね。

千秋：そう。伸びしろがあるっていうこと。毎年、“来年が勝負”と思ってやってるので。勝負というか、絶対に全員で人生をかけて扉を開けるつもり…って言うと、わりと普通の人になったなという感じで、残念ではありますけどね（笑）。みんなで行こうとか言いはじめてますけど、まあ幸せになりたいのでね。そっちのほうがいいに決まってますから。

取材・文◎吉羽さおり
撮影◎日吉“JP”純平(ライヴ写真)






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