【ライブレポート】Subway Daydream、「大きな自信と勇気と希望をもらった」
2月11日、大阪発の4人組ロックバンドSubway Daydreamが、<“RIDE”Release Party -like a daydream->を渋谷WWWにて開催した。
本公演はオルタナティブロックをよりポップに昇華した1stフルアルバム『RIDE』を引っさげたリリースツアーのファイナル。そのカラフルなサウンドアプローチに魅せられたオーディエンスのみならず、多くの関係者も詰めかけ、ロックシーンにおいて今、大きな注目を集めていることがライブ前から伝わってきた。
◆ライブ写真
まず、ゲストとして登場したのはYAJICO GIRL。その期待に応えるべく、序盤から気合いの入った真っ向勝負。いいバトンを渡そうとビートとリズムをしっかり効かせつつも、心地よい風で包み込んでいくのだ。四方颯人(Vo)がSubway DaydreamのKana(Dr)とは大学の軽音サークルの先輩・後輩の仲であったという秘話を明かし、いつもは関西でしかプレイしないという四方の大学時代の思い出を歌った「チルドレン」を披露する等、この日ならではのムードが生まれていった。
そして、本日の主役であるSubway Daydreamの登場を待ちわびていると、ステージ袖から大きな掛け声が聴こえてくる。おそらく、メンバーで気持ちをひとつにしたのではないか。そう思うほど、姿を現した彼女たちは初っ端からいいテンションでまずは挨拶代わりにと「Skyline」を放つ。やはり、リリースツアーはその作品の1曲目で始まるのがグッとくる。ギターのフィードバックノイズに歪み、照明も暗く、オルタナティブロックな匂いが漂い、深く深く潜るようではあるが、そこで突き抜けてくるたまみ(Vo)のハイトーンヴォーカル。サポートベースを含めた音の絡み方もいい。マニアックにならず、ポピュラリティ溢れるロックサウンドを構築するSubway Daydreamらしさをしっかりと突きつけてくるのだ。
たまみの「始めましょう!」という呼びかけでフロアからは拍手が起こり、軽快なロックチューン「Freeway」になだれ込み、たまみの輪郭のはっきりした声と藤島雅斗(G,Vo)の雰囲気のある声とのコントラストも良く、より惹きつけていったところで「Dodgeball Love」へ。藤島裕斗(G)も体を仰け反らせながらギターをかき鳴らし、たまみはパワフルに時にキュートに歌い上げる。そのステージから発せられる熱がオーディエンスにも伝わっていったのだろう。ポップなノリの良さを持つ「Timeless Melody」では多くの拳が高く突き上げられていく。その反応にたまみが思わず笑みをこぼすシーンも見受けられた。
ここで「私たちの大切な日に、みなさんが集まってくれて嬉しいです」とたまみが感謝を述べ、「たくさん曲をやって帰ります」と足早に「シュガードーナツ」へと入っていく。この日は終盤になって雅斗や裕斗が溢れ出す想いを語る場面があったが、基本的にはとにかく曲を、というスタンス。せっかくの機会、1曲でも多くオーディエンスと楽しみたいという姿勢はライブを愛するロックバンドだからこそに違いない。披露した「シュガードーナツ」は彼女たちならではのバランスが感じられた1曲。ゆったりと舞うようであり、Kanaのコーラスも味わい深いのだが、そこに飛び込んでくる裕斗のギターフレーズが存在感抜群で、いい意味で落ち着かせてくれない。そのスパイスの加え方が素晴らしかった。
Kanaの力強いカウントとバスドラから始まったのは「Teddy Bear」。無理にテンポを上げずとも増幅するロック感が秀逸だった。続けた「Canna」もそうだったが、揺るがないたまみの歌声は他にはない大きな武器。沈み込むようなグランジアプローチで雅斗も裕斗もおもいっきりギターを鳴らすが、その歌声がど真ん中にあるからこそ、決してありきたりなテイストにはならないし、ポップミュージックとして成立しているのだ。
雅斗が改めてYAJICO GIRLへの謝辞とリスペクトを述べ、「Pluto」、「Fallin’ Orange」に「Twilight」と中盤戦に入っても淀みなくライブを展開した後、雅斗からTVアニメ『もういっぽん!』のオープニングテーマに「Stand By Me」が抜擢されたという、嬉しい報告がされる。自然と湧き上がった大きな拍手を浴びながら、裕斗が「好きなことをやってるときって、それ以外のことは考えられない。ただただ好きなことにまっすぐな女の子たちの物語なので、キャラクターと自分たちの音楽への想いを照らし合わせながら歌詞を書いた」と語り、期待感が高まった中へ、その「Stand By Me」をドロップ。
キレッキレの爽快なロックチューンであり、その純粋な想いが綴られたリリックが響けば、たまみの「熱い気持ちになりましょう!」と声なんていらないぐらい興奮したフロアは揺れに揺れ、ともに声を上げる。そんな流れから、激しいアンサンブルと潰されないグッドメロディーとのマッチングが鮮やかな「Yellow」に屈指のキラーチューン「Radio Star」へ続けていくのだから、会場のボルテージは上がりっぱなし。雅斗、裕斗、Kanaもアイコンタクトで喜びを共有し、たまみは両手を広げてフロアからの歓声を受け止め、もっともっと激しく歌声を轟かせる。ライブだからこその美しいシーンだった。
「大好きなみんなとバンドができて幸せです」と裕斗が喜びを爆発させ、本編ラストはそんな気持ちを噛み締められる「The Wagon」を奏でていく。音を大切に紡ぎ、しみじみと広がる温かさ。曲が終わった瞬間、「ありがとう!」と声を上げながらも終わってしまった寂しさを噛みしめるようなたまみの表情がとても印象的だった。
万雷の拍手でステージに呼び戻され、裕斗が「やってみたかった」、雅斗が「大阪で練習してきました」とはにかみながらグッズを紹介し、「これからもSubway Daydreamを続けていく大きな自信と勇気と希望をもらった」とたまみが話した後、アンコールとして「ケサランパサラン」をセレクト。リラックスムードで奏でつつ、ラストは痛快にスピードアップし、見事に締めくくった。彼女たちの音楽性はもちろん、キャラクターもバンドへかける想いにも触れることができ、次への期待がどこまでも広がるライブだった。
取材・文◎ヤコウリュウジ
写真◎Kana Tarumi
セットリスト
2.Freeway
3.Dodgeball Love
4.Timeless Melody
5.シュガードーナツ
6.Teddy Bear
7.Canna
8.Pluto
9.Fallin’ Orange
10.Twilight
11.Stand By Me
12.Yellow
13.Radio Star
14.The Wagon
15.ケサランパサラン
◆Subway Daydream オフィシャルリンク集
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