【ライヴレポート】ヘイルストーム、3年ぶり来日公演に満ちたポジティヴな楽しさ

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2月7日、Zepp DiverCity Tokyoにてヘイルストームの東京公演が実施された。

◆HALESTORM 画像

紅一点のリジー・ヘイル率いるこの4人組が前回日本にやって来たのは2019年12月のこと。その翌年春からは言うまでもなくコロナ禍が続いてきたわけだが、ようやく従来のようなライヴの日常が取り戻されつつあるなかで実現した今回の公演は、彼ら自身のライヴ・バンドとしての屈強さについて改めて実感させられるのみならず、観客側の“ライヴを存分に楽しむ歓び”が強く感じられるものとなった。


会場内での常時マスク着用が求められる状況は変わっていないが、一時は椅子が並べられていたZepp DiverCityのフロアはオール・スタンディングという本来の姿に戻り、しかも満員に近い状態。場内のBGMがスレイヤーからAC/DCに変わり、開演が間もないことを予感させるなか、開演定刻の午後7時をほんの少し過ぎた頃に場内は暗転。生々しく迫力のある演奏と、それをさらに上回る強力な歌唱。手加減とは無縁の熱っぽいパフォーマンスにオーディエンスもすぐさま同調し、極上の一体感が作りあげられていく。その瞬間から約90分にわたり、その熱が途切れることはなかった。

2月9日には大阪公演も控えているだけに、この記事内では具体的な演奏曲目などについては触れずにおき、セットリストも掲載せずにおく。ただ、2022年5月に発売された現時点での最新作にあたる第5作『バック・フロム・ザ・デッド』をあくまで軸としつつも、従来のキラー・チューンの数々が随所に配置された演奏プログラムは、まさに“痒い所に手が届く”といえるものだったし、このバンドならではの緩急の豊かさ、静と動というよりも柔と剛というようなダイナミックなコントラストも存分に発揮されていた。バンドの看板であるリジーの歌唱にしても、大迫力で豪快なばかりではなく、細部にまで神経の行き届いた繊細さを持ち合わせている点が圧倒的だ。


しかもリジーのステージ上でのたたずまいや発言からは、力強さのみならず彼女自身のチャーミングさ、やさしさが伝わってくる。だからこそ彼女は、多くの憧れの視線を集める存在になり得たのだろう。それを象徴するような場面がショウの序盤にあった。フロアの最前列でバンドへの愛情を思いきりアピールしていた女性ファンをステージに上げ、マイクを握らせて、予定外の共演というハプニングが起きたのだ。感激を露わにしながら見事にリジーと歌声を重ねた彼女は、なんとLOVESTORMというトリビュート・バンドのフロントを務めている人物だった。フロアの最前線から発されていた憧れの熱視線をバンド側が感知したからこそ実現したこの場面は、ヘイルストームとファンとの結びつきの強さを物語るものだといえるはずだ。

ちなみに2019年12月の来日時、東京公演の開演前に筆者がインタビューした際に、リジーは「前回は握手ぐらいまでだった人たちと、今回はもっと深いところまで行けるんじゃないかな」と、その夜のライヴに向けての期待感を口にしていた。当然ながらその夜のライヴも素晴らしかったが、それから3年と少々を経て実現に至った今回のライヴでは、バンドとオーディエンスの相思相愛の関係がより深いものになっていることを感じさせられた。だからこそ筆者はすでに今の時点で次の再会が楽しみでならないし、ポジティヴな楽しさに溢れたこの機会を大阪のロック・ファンにも逸して欲しくない。

取材・文◎増田勇一
撮影◎Jason Stoltzfus

■<ヘイルストーム 来日公演>

2月7日(火) 東京・Zepp DiverCity(TOKYO)
open18:00 / start19:00
・1F : スタンディング ¥8,000 (税込/別途1ドリンク代)
・2F : 指定席 ¥9,000 (税込/別途1ドリンク代)
※未就学児(6歳未満)入場不可
(問)ライブネーション・ジャパン info@livenation.co.jp

2月9日(木) 大阪・BIGCAT
open18:00 / start19:00
・スタンディング ¥8,000 (税込/別途1ドリンク代)
※未就学児(6歳未満)入場不可
(問)キョードーインフォーメーション 0570- 200-888


■アルバム『バック・フロム・ザ・デッド』|『Back From The Dead』

国内盤CD:2022年5月11日(水)リリース
WPCR-18504 ¥2,860(税込)
※ボーナストラック2曲収録
配信/CD購入:https://halestormjp.lnk.to/BFTDPu
▼収録曲
01. Back From The Dead / バック・フロム・ザ・デッド
02. Wicked Ways / ウィッケッド・ウェイズ
03. Strange Girl / ストレンジ・ガール
04. Brightside / ブライトサイド
05. The Steeple / ザ・スティープル
06. Terrible Things / テリブル・シングス
07. My Redemption / マイ・リデンプション
08. Bombshell / ボムシェル
09. I Come First / アイ・カム・ファースト
10. Psycho Crazy / サイコ・クレイジー
11. Raise Your Horns / レイズ・ユア・ホーンズ
▼日本盤ボーナストラック
12. Back From The Dead (Unplugged) / バック・フロム・ザ・デッド (アンプラグド)
13. Back From The Dead (Live) / バック・フロム・ザ・デッド (ライヴ)

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