【インタビュー】ベリーグッドマン、デビュー10周年を迎えた3人がぶちあげる壮大な夢物語

■ポンコツ野郎がどんどん大きなことを成し遂げていくって最高
■自分たちが、それをベリーグッドマンに求めているのかもしれない

――甲子園球場ワンマンに向けた「夢物語」がリリースされています。

Rover：甲子園球場に向かって頑張っていく、これから10か月のテーマソングであり、なんていうジャンルの曲なのか、自分たちのやってきたことに誇りを持って歌っている歌です。人に対する感謝の意味合いも込めているけど、自分たちに対する誇りを歌っている、人間賛歌みたいな感じですかね。

――グループの自伝ソングであり、応援歌でもあり、ファン、仲間と共に歩んでいくという絆ソングでもある。

Rover：ですね。

MOCA：甲子園が決まって熱々の状態で、何か曲を作っておきたいという思いから始まった曲です。東京の後輩の、「すごいかもしれん」とかを作ってくれたYUTAくんが“こんなのありますよ”ってトラックを送ってくれて、僕がワンコーラス乗せて、Roverに聴いてもらったのかな。最初にトラックを聴いた時、元気過ぎず、暗すぎず、良い感じだと思って、ある意味何も考えずに、今出るのはどんな言葉やろ？と思って書いたのが僕のヴァースです。“俺、根に持つタイプなんや”とか思ったんですけど。

――いやいや。高校球児だったあの日の悔しさが今に繋がってるわけで。

MOCA：それを聴いてもらったら、“ええやん”みたいな感じだった気がします。でもそういう思いで頑張ってることが、誰かの励みになることもあるし、“諦めんかったらええことあるんや”みたいなことが伝わったらいいなと思います。それをまとめるように、Roverがサビを作ってくれました。逆に、HiDEXが難しかったと思います。HiDEXも壮絶な人生を歩んでいるんで、それをどう歌うのか。


――ヒデさんのパートはエモいです。ぐっときます。そしてRoverさんは、二人の個人的な熱い思いを、大きなメッセージとしてまとめる役割。

Rover：「夢物語」というタイトルは、最初からMOCAが言っていたんです。本来の意味は、人をさげすむような、ネガティブな使い方をすると思うんですけど、だからこそ面白いなと思ったし。人が悩む時って、だいたい寝る前に悶々とするじゃないですか。でも朝パッと起きたら、忘れてスッキリしている。だから一番の冒頭の“果てない空の下、今日も”は朝のイメージで、二番の頭の“ぜったい無理だから”が夜のイメージ。夜はそういうマインドになっちゃうんで、朝のほうが雑念なく頑張れるんですね。僕の場合。

――わかります。

Rover：そういう意味で難しかったのは、サビがめっちゃ時間かかりました。自分たちの歌だから、何を言ってもいいんですけど、共感という意味ではすごく難しかった。

――それは、“バカみたいに信じてこれたこの夢を、こんなにも強く信じてくれた人がいた”のところ。

Rover：はい。それがみんなに共通してることかなと思ったし、たとえば僕も高校時代に、吹奏楽部で朝早くから夜遅くまでやっていたけど、親には助けられていたし、応援されていたなということを思い出すと、誰にでも共感できるワードかなと思ったので。あと、“信じてこれた”と“信じてくれた”とか“小さな夢”が“大きな物語”になるとか、誰に聞かせてもわかってもらえるところかなと思います。



――良い話です。

Rover：考えてみれば、僕たちが子供の頃に好きだった漫画とか、みんなそうなんですよ。ポンコツ野郎がどんどん大きなことを成し遂げていくとか、最高じゃないですか。もしかしたら自分たちが、それをベリーグッドマンに求めているのかもしれない。

MOCA：漫画だからこんな話になるんやろとか、そんなの無理だろとか、今の時代、そっちの人のほうがパーセンテージを占めてるのかなと思うんですけど、でも自分たちも、ファンも、行けると信じてくれているから。こっち側で本当によかったなと思います。それを見て泣ける方が、素敵な人生かなと思うんで。

――間違いない。そして4月からは47都道府県ツアーですよ。また無謀なことを…(笑)。

Rover：けっこうな無謀です。何がキツイって、こんなに詰め込んでライブやったことないんで、いかにモチベーションを更新しつつ、惰性に流されたライブをせえへんか？というのが一番怖いです。真剣にやっているけど、ロボット化されてないか？みたいな。

MOCA：小手先でね。ただ3人おるから、刺激しあってるのは間違いない。

Rover：暑い時期でもありますしね。MOCAはキャンピングカーを買って行く、みたいに言ってますけど。

MOCA：買おうかなと思ったんですけど、移動の行程を見たら到底無理でした。

Rover：全部楽しみですけど、初めてツアーで沖縄に行くんで、それが楽しみです。それがファイナルなんで、最後まで頑張りぬいて、ご褒美的なものだと思うんですけど。

――楽しみです。アルバムの話も最後にしておきましょうか。4月12日リリースのニューアルバム『ピース』。どんな内容になっているのか。

Rover：英語で言うとパズルのPIECEなんですけど、「夢物語」の歌詞の“小さな夢を繋いできた”もそうですし、世界平和のPEACEの意味もあって、あと、僕らいつも、ライブ前にこうやって(両手でピースサインを作って)“ベリーグッドマン！”ってやるんですけど。

――あー。円陣を組んで、気合入れるやつ。

Rover：ライブ前に全員で、ダブルピースを合わせて“ベリーグッドマン、キラキラキラ”ってやるんですけど。あとは、マスターピース＝傑作という意味も込めて作ったアルバムなので、それもあります。事務所の社長は“スルメだね”と言っていました。聴けば聴くほどうまみが出てくる作品かなと思いますし、ツアーとして一番歌うアルバムになるので、一番歌って一番良かった、と言ってもらえるアルバムになればいいなと思いますね。

――すごい1年になりそうです。たぶん今までで一番濃い。

Rover：そうなると思います。

――とにかく体調管理だけは気を付けて。無事ツアーを回ってきてください。

Rover：まさに、体が資本なので。頑張ります。

――そして11月18日、全員で、みんな元気で、阪神甲子園球場で会いましょう。

Rover：はい。全国から来ていただけることを願っています。そして、できればその時、歓声と歌声はOKになってくれてたら最高です。

取材・文：宮本英夫


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