遂に会えた世界のスーパースターたち。2023年も待望の来日公演が続々

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<ビリー・アイリッシュ「ハピアー・ザン・エヴァー・ワールドツアー 2022」>2022年8月26日(金)@東京・有明アリーナ 撮影◎Kazumichi Kokei

新型コロナウイルス感染症のパンデミック以降、再び海外アーティストの来日公演を次々と体験できた2022年は、そういった意味でとても感慨深い1年だった。海外アーティストも招聘した3年ぶりの“いつものフジロック”の初日、WHITE STAGEにジェイペグマフィアが現れた瞬間の感激を筆者は生涯忘れないと思う。本稿では、そんな久々の来日公演を振り返るとともに、2023年に予定されている来日公演をピックアップする。

8月26日に東京・有明アリーナにて、一夜限りの特別公演を行ったのがビリー・アイリッシュ。ライブ冒頭には「スマホから一旦離れて、“いまここにいる”自分に集中して」と導くなど時代のアイコンの待望の来日に沸いた。なおこの日は、東京ガーデンシアターにシガー・ロスが降臨した。また、9月3日と4日に埼玉・ベルーナドーム(西武ドーム)で8年ぶりに来日公演を行ったのは、レディー・ガガ。2020年発売の最新アルバム『クロマティカ』のリリースに伴うワールドツアー<クロマティカ・ボール>の一環として開催されたわけだが、終演後には大雨の中、最寄り駅へと向かうファンたちの前に傘も差さず衣装のまま登場したというエピソードも、親日家のガガらしい。

<ビリー・アイリッシュ「ハピアー・ザン・エヴァー・ワールドツアー 2022」>2022年8月26日(金)@東京・有明アリーナ

ブルーノ・マーズは、東京ドームと京セラドーム大阪にて合計5日間にわたる初ドーム・ツアーに21万人のオーディエンスを集めた。あのさいたまスーパーアリーナ4days公演から4年ぶりに実現した今回の来日も、圧倒的なエンターテイメントでオーディエンスを楽しませた。また12月に、マルーン5も東京ドームと京セラドーム大阪にて初のドームツアーを開催したばかり。派手な演出よりも、あくまで楽曲のパフォーマンスで魅せ続けたステージは世界的ポップ・バンドとしての覚悟がうかがえた。

<Bruno Mars Japan Tour 2022>2022年10月30日(日)@東京・東京ドーム

<Maroon5 WORLD TOUR 2022>2022年12月3日(土)@東京・東京ドーム 撮影◎Travis Schneider

そして2022年、若いリスナーも含めて日本でも旋風を巻き起こしたのがアヴリル・ラヴィーンだったと思う。アヴリルは、11月に8年ぶりのジャパン・ツアー<AVRIL LAVIGNE Love Sux TOUR 2022 JAPAN>を開催。2019年のアルバム『ヘッド・アバーヴ・ウォーター』に伴うツアーの一環として20年5月に予定されていたのが今回の来日だが、22年2月に最新アルバム『ラヴ・サックス』がリリースされ、さらにファースト・アルバム『レット・ゴー』発売20周年というタイミングと重なった。「THE FIRST TAKE」ではデビュー・シングル「コンプリケイテッド」をアコースティック・アレンジで披露した。ヒット曲満載のベスト盤を引っ提げて、11月に4年ぶりに来日公演を開催したのは、フランツ・フェルディナンド。もちろん、Netflixの人気アニメシリーズ『サイバーパンク エッジランナーズ』のOPに起用されリバイバル・ヒット中の「This Fire」も披露した。

<AVRIL LAVIGNE Love Sux TOUR 2022 JAPAN>11月7日(月)@パシフィコ横浜 国立大ホール 撮影◎MASANORI NARUSE

また、10月に愛知県のAICHI SKY EXPO 野外多目的利用地にて開催された<WIRED MUSIC FESTIVAL’22>でザ・キッド・ラロイがヘッドライナーとして初来日を果たした。福岡PayPayドームで12月に開催された<WIRED MUSIC FESTIVAL FUKUOKA>にはジー・イージーやCLも来日。さらに、リル・パンプが4月に1 OAK TOKYOで、キッド・カディは10月に東京・豊洲PITにて、ヒップホップ・ファン待望の初来日公演を行っている。

さらに、レジェンドたちも続々と来日公演を開催。バンドにとって最後のワールド・ツアーの一環として11月30日に一夜限りの東京ドーム公演をこなったのはキッス。会場には昔からのファンのみならず、若い世代や子供連れの姿もたくさん見受けられ、このバンドが日本に根付かせたものの素晴らしさ、偉大さについて改めて実感させてくれた。アルバム『危機』リリース50周年記念来日公演を行ったのはイエスだ。また今回のジャパン・ツアーは、5月に亡くなったアラン・ホワイトに捧げられた。そして、2017年1月以来、約5年10ヵ月ぶりに来日したのはガンズ・アンド・ローゼズ。さいたまスーパーアリーナ2daysのみというコンパクトなジャパン・ツアーであったが、歴史と現在とが同居する今のガンズの姿を披露してくれた。

<END OF THE ROAD WORLD TOUR>2022年11月30日(水)@東京・東京ドーム 撮影◎Masanori Doi

8月には、世界的名プロデューサーであるデイヴィッド・フォスターがビルボードライブに初登場した。さらに2023年3月には、ASKAとの夢の共演をぴあアリーナMM及び兵庫県立芸術文化センターで行うことも発表されている。また、グランジ〜オルタナ・シーンを牽引してきたピクシーズも来日公演を開催。5年ぶりに来日公演を行ったノラ・ジョーンズは当初、アルバム『ピック・ミー・アップ・オフ・ザ・フロア』をリリースした2020年の秋に来日を予定していたが、デビュー20周年の節目の年でもある2022年に開催が実現した。

クラブミュージック界の大物も来日。アンダーワールドも5年ぶりに来日公演を開催。東京ガーデンシアターでカール・ハイドは、「ここは私たちにとって第2のホームのようなところなんだ」と日本のファンに向けてMCも。さらにこのタイミングで、サカナクション(岩寺基晴、草刈愛美、江島啓一、岡崎英美の4人によるDJセットで出演)とのダブルヘッドライン公演も行った。他にも、東京・渋谷Contactクローズ前に8月に緊急来日したジェフ・ミルズ、また、Spotify O-Eastで10月に開催されたスクエアプッシャーによるジャパンツアーの振替公演は、真鍋大度とビジュアル面でもコラボレートし、さらにスペシャルゲストはハドソン・モホークというスペシャルな空間となった。また、サンダーキャットのジャパン・ツアーも5月に2年越し実現した。

2022年は大型フェスにもたくさんの海外アーティストが参加した。<フジロック>はヘッドライナーとしてヴァンパイア・ウィークエンド、ジャック・ホワイト、ホールジーが登場し、またトム・ミッシュ、ムラ・マサ、アーロ・パークス、シド、ジョナス・ブルーのパフォーマンスを見ることもできた。<サマーソニック>でもTHE 1975、ポスト・マローンを筆頭に、マネスキン、ミーガン・ジー・スタリオン、セイント・ヴィンセントら世界のスターが次々と登場し、リナ・サワヤマやリンダ・リンダズはこのステージを機に更なる人気を呼ぶことになる。他にも、<TONAL TOKYO>にはチャーリー・XCXやジェイミーXX、<Download Japan>にドリーム・シアターやブレット・フォー・マイ・ヴァレンタインが出演。改めて、海外アーティストも招聘するフェスの存在意義を痛感する1年となった。なお、THE 1975は2023年3月にぴあアリーナMM、Aichi Sky Expo、大阪城ホールにて、2016年以来の単独来日公演も控えている。

何かと暗い話題の多い近年において、ハイレベルのエンターテイメントを提供し世界中のファンを熱狂させているのがK-POPシーンだ。TWICE、SEVENTEEN、Stray Kids、ATEEZなどが来日公演を開催し、待望の日本デビューを飾った9人組グローバルガールズグループKep1erがデビューショーケースをおこなったり、ENHYPENは日本1stアルバム発売記念のショーケースイベントを開催。7月に行われたアメリカのフェス<ロラパルーザ>にK-POPグループとして初出演も果たしたTOMORROW X TOGETHERは、前述の<サマソニ>にも出演した。初ワールドツアーの日本公演を開催したのは(G)I-DLE。

<TWICE 4TH WORLD TOUR 'III' IN JAPAN> 撮影◎田中聖太郎

大阪・京セラドーム大阪で開催された世界最大級のK-POP授賞式「2022 MAMA AWARDS」にも多くのアーティストが出演し、ソロで出演したj-hopeは今回も大賞を受賞したBTSを代表してトロフィーを受け取った。有明アリーナで10月14日から16日まで開かれた韓国カルチャーのフェス<KCON 2022 JAPAN>には、既に世界中のK-POPファンの心を鷲掴みしているNewJeansや逆走クイーンことBrave Girlsなどが出演した。また、8月27日から29日まで東京ドームで開催された<SMTOWN LIVE 2022 - SMCU EXPRESS @TOKYO>には、NCT、Red Velvet、aespa、SUPER JUNIOR、BoAらSM ENTERTAINMENTのアーティストが集結。LE SSERAFIM、IVEが今夜放送のNHK「紅白歌合戦」に初出場するというニュースも、K-POPファンを沸かせた。また、aespaが2023年3月より初の日本ツアーを開催、そしてBLACKPINKの3年ぶりの来日公演が4月に東京・東京ドームで、6月に大阪・京セラドーム大阪で開催されることも決定している。

2023年の来日公演も実に楽しみ。アークティック・モンキーズ9年ぶりとなる来日公演が3月に東京と大阪で開催。デビューから3作連続で全米チャート初登場1位を記録した初のUK出身男性ソロ・アーティストという快挙も達成したハリー・スタイルズも、東京・有明アリーナ公演を2days開催する。2017年の<フジロック>出演以来、6年ぶりに来日公演行うビョークは最新型のcornucopia(コーニュコピア)と古典的なorchestral(オーケストラル)という2つコンセプトを掲げているということ。さらにディープ・パープルの来日公演が、2023年3月に東京と大阪、広島、福岡で開催されることも決定している。なお、ギタリストのスティーヴ・モーズが闘病中の妻に付き添うためバンドを離脱し、9月にはモーズに代わりツアーに参加してきたサイモン・マクブライドの正式加入が告知された。





さらに、ジョン・フルシアンテの復帰を記念するワールドツアーの一環としてレッド・ホット・チリ・ペッパーズが16年ぶりの単独来日公演を2月に東京ドームと大阪城ホールで行う。また、バックストリート・ボーイズも来日。アルバム『DNA』のリリースに伴い2019年秋に来日したバックストリート・ボーイズは、埼玉と大阪の2か所でライブを行う予定だったが、埼玉公演は台風の影響により開催中止に。今回は同じく<DNAワールドツアー>の一環として、2月14日と15日、16日の3日間、関東エリアでは約10年ぶりとなる公演を行う。日本武道館公演を含む6年ぶりの来日公演を2月に開催するのはメガデスだ。スティングは3月に広島を皮切りに大阪、東京、名古屋を巡る全国ツアーを開催。さらに、エリック・クラプトンは海外アーティスト初の日本武道館100回公演に向けて、4月に来日公演を行う。3月〜4月にBillboard Liveの15周年を記念して、リチャード・カーペンターの来日公演も決定している。




5月に大阪・なんばHatchと東京・立川ステージガーデンにて来日公演を行うのはミーカ。シガレッツ・アフター・セックスの来日公演は、2023年2月に東京と大阪で開催。コナン・グレイは初のジャパンツアーを行う。アッシュは結成30周年を記念した来日公演を2023年3月から4月に開催。新世代ポップシンガー/ラッパー、アシュニコ初のジャパンツアーも予定されている。さらにフェニックス、ブライアン・アダムス、フーバスタンク、ジャクソン・ブラウン、ケラーニ、ボノボなどなども来日公演を開催する。なお、ロバート・グラスパーはロバート・グラスパー・トリオの名義で来日し12月30日(金)から2023年1月7日(土)まで、東京・ブルーノート東京で8日間にわたるカウントダウン&ニューイヤー・ライヴを開催中だ。まもなく1月にスーパーオーガニズムが行うZEPP DiverCity公演にCHAIがゲスト・アクトとして登場。フェスやイベントも開催が待ち遠しい。1月28日(土)・29日(日)にさいたまスーパーアリーナにて行われる<GMO SONIC 2023>には、マシュメロやザ・チェインスモーカーズが登場する

世界の音楽シーンの胎動をリアルに感じると共に、一流のエンターテイメントを体験できる貴重な場である来日公演の価値を、改めて感じる昨今。2023年も、時代の目撃者としてたくさんの来日公演に立ち会いたいと思う。

文:堺 涼子

◆BARKS<2022年〜2023年>年末年始企画まとめページ
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