【コラム】milet、羽生結弦にインスパイアされた「Fly High」とコラボ曲「おもかげ」紅白歌唱で締めくくる充実の2022年
miletの2022年は、全国ホールツアー<milet live tour “visions” 2022>そして2ndアルバム『visions』のリリースでスタートした。デビュー・アルバム『eyes』から約1年半、その間には大型フェス出演や東京オリンピック閉会式で東京スカパラダイスオーケストラの演奏で「愛の讃歌」を歌唱しと、スケールアップした舞台でその歌声を響かせた。多くのドラマや映画等の主題歌にも起用され、そのなかにはエッジィなトラックにのせアグレッシヴで挑発的なボーカルを聴かせる「checkmate」(『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』主題歌)のような新境地を見せる曲も増え、またデビュー後初のツアーを体感した喜びや楽しさを曲にフィードバックした熱量の高い、アンセミックな曲も増えた。モダンでいて、同時に懐かしさや郷愁をも誘うアイコニックな歌声で、豊かに広がっていくサウンドを包みmiletというひとつのジャンルに落とし込んだアルバム『visions』は、リスナーの裾野を広げ、アルバムチャートを好発進するとともに長く愛される作品となっている。
その後に続いた、アルバムを携えた全国ツアー、デビュー3周年を記念した<milet 3rd anniversary live “INTO THE MIRROR”>開催や、初の全国ZEPPツアーなどライブの機会が増え、<サマーソニック2022>では以前からファンだと公言していた英国ロックバンド、クーラ・シェイカーのステージにサプライズ登場をして共に「Govinda」を歌った。憧れのバンドと、アーティストとしてステージを共にした時間はまた、今後の活動へのインスピレーションや栄養になっていくのだろう。
クーラ・シェイカーとの共演のもよう@サマーソニック2022(photo by Mitch Ikeda)
アルバムのリリース以降も、EP『Flare』をはじめ、「Walkin’ In My Lane」(ドラマ「やんごとなき一族」主題歌)や「Always You」(映画『TANG タング』主題歌)、そして「Final Call」(『七人の秘書 THE MOVIE』主題歌)といった楽曲達が発表され、いずれも映画やドラマ主題歌として作品を彩ってきた。充実感の高いこの2022年の締めくくりは、今年で3回目の出演となるNHK「第73回紅白歌合戦」だ。miletは、「Fly High」と、milet×Aimer×幾田りらによるコラボ曲「おもかげ」を披露する。
アルバム『visions』にも収録されている「Fly High」は、NHKウィンスースポーツテーマソングに起用された。初公開されたのは、2021年11月に放送されたNHK総合テレビ「NHK杯フィギュア中継」のなかだった。曲の制作においては、スキージャンプはじめ、様々なウィンタースポーツを参考にしたそうだが、今年の紅白歌合戦に審査員のひとりとして出演する羽生結弦が特にインスピレーションの源になったという。フィギュアスケート男子66年ぶりの五輪連覇がかかった平昌オリンピック(2018年)での演技、軽やかでいながら、芯のある美しいジャンプにサビのイメージが重なり、またそのときの青と白の衣装が思い描いていた曲の世界観ともハマったという。miletにとってここまで直球の応援歌は初となった「Fly High」。力強いビート感を軸に、伸びやかなボーカルが映える。高く飛ぶため、目標を超えていくためのダイナミックな跳躍をみせるサビでのメロディは、高揚感に満ちている。その高揚感の内側では、理想を描き、時に孤独に積み重ねてきた途方もない紆余曲折の時間が渦を巻いていることも描かれる。様々な感情が練りこまれたその渦が大きくうねりを帯びるほど、心地よい緊張感と自信が芽生え、感覚が研ぎ澄まされていく。何かに立ち向かう瞬間の凛々しさを切り取った曲だが、そこに至るドラマをしっかりと感じさせてくれる。パワフルに響く歌声も、その変化に富んだドラマを内包しているからこそ強さを増す。miletの声の表情、エモーショナルな表現が冴える1曲だ。アスリートたちの背中を見て制作された曲だが、日々のファイトソングとしても体温をあげてくれる曲だろう。この「Fly High」は、アルバムに収録された他に、NHK交響楽団とコラボしたバージョン「Fly High -Orchestra Ver.-(milet with NHK交響楽団)」があり、EP『Flare』に収録されている。こちらはファンタジックな印象で、歌の醍醐味を味わせる仕上がり。紅白歌合戦でこの「Fly High」をどういったアレンジで聴かせてくれるのかも楽しみだ。
一方、YouTubeの人気チャンネルTHE FIRST TAKEのアーティストコラボレーション企画で生まれた、Vaundyが作詞・作曲・プロデュースを手掛け、milet、Aimer、幾田りらという“今”を感じるボーカリスト3人がそろい踏みしたのが「おもかげ」。音楽ファンが思い描いた“こんなのあったらいいな”が実現してしまったとでもいうコラボレーションで、2022年12月末現在でYouTubeでは4,400万回再生を超え、楽曲の総再生回数は1億回を超える2020年代を代表する曲にもなった。この「おもかげ」では、miletのグルーヴィなボーカルも際立つ。海外で暮らし、洋楽に親しんできたバックボーンもあるからだろうか、miletはメロディや日本語詞を歌うノリ、拍のとりかたに独自のリズムがある。キャッチーだが、メロディの抑揚の幅が狭くリズミカルに聴かせる「おもかげ」ではより、miletのボーカルの軽快なグルーヴや低音の響きが、Aimerと幾田りらの歌声と有機的に絡み合っているのが面白い。今回の紅白歌合戦では、milet×Aimer×幾田りらによる「おもかげ」が生で聴けるだけでなく、プロデュースを手掛けたVaundyが加わったスペシャルなバージョンで見せるという。miletは「おもかげファミリーが愛で満たす音楽で、皆さんの心とぎゅっと繋がれます様に。大晦日、紅白をごらんのみなさんが笑顔でノリノリになれるような、あたたかく楽しいステージにできればとおもいます!」とコメントしている。2022年の締めくくりにふさわしいステージになりそうだ。
そして2023年5月には、初となる日本武道館公演<milet Special Live IN 日本武道館>が決定した。1曲、 1曲、ひとつひとつの活動を大事につなげながら歩んでいるmilet。その歌がこれからどんな景色を見せてくれるのかも楽しみだ。
文:吉羽さおり
<milet 日本武道館公演>
2023年5月21日(日)東京・日本武道館 OPEN 15:00/START 16:00
公演に関するお問合せ:
[問]キョードー東京 0570-550-799
[問]クリエイティブマンプロダクション 03-3499-6669
※チケット販売に関する詳細は各プレイガイドでご確認ください。
特設サイト:https://www.milet.jp/budokan/