【インタビュー】フリースタイルピアニスト“けいちゃん”、1年半ぶり2ndアルバム完成「ピアノって本当に王様なんです」

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■ピアノ自体がフリースタイルだ
■ということを伝えていきたい

──「Zero Rhapsody」は、先ほどから何度もお話していますが、歌うかのようなピアノをすごく堪能できます。

けいちゃん:演奏者のみなさんも素晴らしい方々で、すごく情熱的なものに仕上がりました。この曲のメロディは、歌でも全然いけるようなものになりましたね。僕、歌うのも好きなんです。小さい頃は、ずっと家で歌っていました。おもちゃのマイクを持って歌っている動画が今でも残っています。大学の時は合唱もいっぱいやっていて、常に歌っていたっていう感じがします。

──“歌が好き”というのも、けいちゃんの音楽の重要な下地なんですね。

けいちゃん:だからああいうメロディが出てくるんでしょうかね。

──“我ながら、いいメロディ書くなあ”って思うことも、よくあるんじゃないですか?

けいちゃん:はい。あまりにも謙遜しないと、ちょっとあれですけど……しょっちゅう思っています(笑)。


──(笑)。「Dear U」も素敵なメロディです。とても温かなものを感じました。

けいちゃん:ああ、これもわりとイメージが明確に浮かんでいた曲の1つかもしれません。クリスマスの頃の恋人たちの愛でもいいし、家族の愛でもいい。そういう愛をテーマにしました。後半の盛り上がるところからメロディが浮かんできたんですけど、馴染みやすいものにしたいと思っていて。クリスマスっぽい曲だからオーケストラサウンドとか、豪華な感じにしたいというのもありましたね。ケンタッキーのCMみたいな感じというか。優しさもテーマです。

──ピアノの音色も優しいですね。

けいちゃん:音色にもこだわってレコーディングしました。ピアノは、“小さい音でどこまで表現できるか?”がすごく大事だと思っているので、大きい音よりも小さい音のほうに神経や集中力を使うんです。

──鍵盤が沈み切るまでの間に様々なニュアンスがあるのも、ピアノの奥深さですよね。

けいちゃん:そこまで話しちゃいます(笑)? 押すだけで音が出る楽器ではあるんですけど、数センチ上から叩いて出す音と、指が鍵盤に触れている状態から押し込んで出す音、ここにも違いがあるんです。あと、ピアノって鍵盤を押すと一旦止まるところがあるんですよ。さらに押し込むと下までいくんですけど。その引っかかるとこからスッと下に押し込んで出す音もあったり。タッチによって無限の種類があるんです。



──様々なニュアンスや音色を的確に操って表現するのが、ピアニストの腕の見せどころというわけですね。今作も、各々の曲ならではのニュアンスがありますね。クラブミュージック的なアプローチの「R-101」は、デジタルな音色や和楽器とピアノの融合の仕方が刺激的です。

けいちゃん:タイトルは“対象年齢101歳”っていう意味です。未来人に向けたダンスミュージック、ピアノテクノみたいな感じで、且つ和楽器サウンドも取り入れました。3つの基軸が合わさった化学反応の曲ですね。こういうガチガチに機械のテクノサウンドにも合うので、ピアノって本当に万能に対応できる楽器なんです。

──先ほど「ピアノは、幅広い音楽に合う」とおっしゃっていましたが、その点が示されている曲でもあると思います。ピアノは究極のミクスチャー対応楽器ですね。

けいちゃん:僕はフリースタイルピアニストと名乗っているくらいなので。ピアノっていうもの自体が本当にフリースタイルで、どんなものにも対応できて、どんな色にも染まれるっていうのを伝えていきたいんです。

──「がぶ」も、ピアノの汎用性を示していますね。

けいちゃん:この曲のテーマは、“ザ・ロック”です。ピアノは、ロックにも合うんですよ。グランドピアノの形や仕組みは、300年くらい前に生まれた当時からあまり変わっていなくて、これで完成し切っているんです。

──ギターを弾いているのは、深沼元昭さんですね。さすがのプレイです。

けいちゃん:“ギターに押されるんじゃないか?”と思って、頑張って弾きました(笑)。参加してくださった全員が本気で、いい意味で周りのことは一切考えずに全力で没頭している曲です。ライブ向きの曲ですね。バトルみたいになりますよ。

──この曲の後に「is Life」が始まるのが気持ちいいんですよね。

けいちゃん:“歩んでいく”みたいなイメージで作りました。

──朝の通学や通勤時に聴くと、会社への足取りが軽くなるかも。

けいちゃん:明るい気持ちになっていただけたらいいですね。聴いた後にポジティヴになれたり、元気を出したい時の手助けになるような曲を、なるべく多く書きたいんです。


──このアルバムを締めくくる「かげおくり」は「明確なストーリーや風景が浮かんだ」ということでしたが、ミュージックビデオも素敵でした。セリフの音声がなくても、父と娘の物語が曲と共に伝わってきました。

けいちゃん:あのミュージックビデオのふたりのセリフも、みなさん各々で自由に想像していただければと思っています。

──室内楽テイストのサウンドが、オーケストラ的に変化していくのも気持ちいいです。

けいちゃん:サウンドがどんどん広がっていくのが、物語の展開にも合っているのかなと思います。テーマは“成長”でしたね。成長の中にある寂しさ、儚さ、尊さみたいなことを表現したかったんです。

──完成したアルバムと向き合って改めて感じることはありますか?

けいちゃん:僕にしかできない音楽、ピアノでしかできない表現が上手く合わさって、いろんなみなさんの助けもあって、いい作品になったと思います。ひとりでも多くの人に聴いてもらえて、ひとりでも多くの人にとっての助けにもなれたら嬉しいです。ピアノの魅力が激詰まりのアルバムです。

取材・文◎田中大
撮影◎緒車寿一

■フルアルバム『聴十戯画』

2022年12月14日(水) リリース


▲アルバム『聴十戯画』初回限定盤


▲アルバム『聴十戯画』通常盤

【初回限定盤(CD+DVD+MINI PHOTO BOOKLET)】TKCA-75098 ¥5,000(税込)
※三方背ケース
▼DISC-2 DVD ※初回限定盤のみ
01. Zero Rhapsody (Music Video)
02. Zero Rhapsody (Music Video) & Photo Session Making Movie
03. かげおくり (Music Video)
04. Edo (Music Video)
05. Edo (Music Video) Making Movie
06. Improvisation (Live Movie) on 2022.8.12
07. Zero Rhapsody (Live Movie) on 2022.8.12
08. Photo Session Making & Special Interview Movie

【通常盤(CD)】TKCA-75099 ¥3,000 (税込)
▼DISC-1 CD ※初回限定盤/通常盤 共通
01. Edo
02. Lv.OFF
03. 人間失格
04. Freestyle Piano Etude
05. Zero Rhapsody
06. Dear U
07. R-101
08. がぶ
09. is Life
10. かげおくり

■リリースイベント

【東京】
12月15日(木)19:00~ タワーレコード渋谷B1F CUTUP STUDIO
※ミニライブ&特典会
12月24日(土)17:00~ イオンモールむさし村山 1Fセンターコート
※ミニライブ&特典会

■デジタルシングル

▼「Zero Rhapsody」
配信開始日:2022年9月7日(水)
https://tjc.lnk.to/ZeroRhapsody

▼「かげおくり」
配信開始日:2022年10月26日(水)
https://tjc.lnk.to/kageokuri


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