【速レポ】<SAI 2022>DAY2、THE BACK HORN「最高の時間になってます、どうもありがとう」
<SAI>の初開催から5年、ACIDMAN結成25周年イヤーに開催される<ACIDMAN presents「SAITAMA ROCK FESTIVAL “SAI” 2022」>は初めての2日間開催。会場にはまだ前日の祝祭感がほんのりと残っている感覚で、さらに開演前から早々と集まっている観客の熱気がそこに加わっている。朝10時。フェスとしてはやや早いスタート時間だが、この2日目の幕開けを担うのはTHE BACK HORNだ。
◆THE BACK HORN ライブ写真
SEが流れ、観客の大きな手拍子に迎えられてブルーに染まったステージに登場した、山田将司(Vo)菅波栄純(G)、岡峰光舟(B)、松田晋二(Dr)。手を振ったり自らも手拍子をしたりと笑顔での登場だったが、「<SAI 2022>、2日目。最高の1日にしようぜ」という山田の言葉からノイジーにスタートした「刃」からは一転、一息でボルテージがマックスになった鬼気迫るアンサンブル、パフォーマンスでフロアを圧倒していく。
まず、朝のテンションとは思えない。フロント3人がステージ最前線へと飛び出して、ステージ上で生まれた熱を熱波師のごとく会場に送る。喉が千切れんばかりに歌い、ラストは全能感たっぷりに両手を広げて、観客が掲げるコブシをさらに上げさせる山田。そのままの勢いで、「シンフォニア」に突入し、4人はバンドのぶっといグルーヴを会場中で駆け巡らせる。観客は容赦なくその灼熱のグルーヴに飲み込まれ、なすがままにコブシを振り、手拍子をし、興奮を全身で表現する。マスク着用・会話程度の声量といった制限付きながら歓声がOKとなったこともあって、フロアのあちこちから次々に声が上がった。
怒涛の2連投から一息ついて、「改めまして、こんにちは。<SAI>2日目、トップバッター仰せつかりました、THE BACK HORNです。一発目からお集まりいただきましてありがとうございます」とあいさつした松田。ACIDMANに<SAI>の開催と結成25周年を祝福し、そして「僕らTHE BACK HORNはACIDMANとは20年の付き合いになります。対バンをしたり、打ち上げしたり…打ち上げしたり、打ち上げしたり。いろんな思い出たくさんありますけど、今日はそんなACIDMANへの思いと、ACIDMANの仲間で集まった今日、SAIの2日目が素晴らしい1日でありますように。THE BACK HORN、全力で演奏していきたいと思います。盛り上がっていきましょう」と続ける。
観客が、ともに青春時代を駆け抜けた両バンドの関係性を想像してあったかな気持ちになったのも束の間、鋭いギターリフが空気を切り裂く「罠」へとなだれ込んでいく。ヒリヒリとした緊張感をたたえた音で、そのアンサンブルは激しさと静けさのコントラストで観客の体を緊縛する。と思えば、続く「空、星、海の夜」はTHE BACK HORNの歌心を、エモーショナルなバンドサウンドでじっくりと重厚に描く。情緒が忙しい。
「最高の時間になってます、どうもありがとう」と、山田は笑顔を見せる。そして、「こんな素晴らしい場所を作ってくれたACIDMANに改めて大感謝です。はじまったばかりだけど、くれぐれもケガのないように。普段のモヤモヤとか全部ここに置いていって、それを爆音でかき消してくれる人たちがいっぱい出てくるから。最高の1日にしようね」といってプレイしたのは、「希望を鳴らせ」。サビ部分、菅波と岡峰がシンガロングする《希望を鳴らせ》のフレーズに、明るい照明がフロアを照らす。バンドと気持ちも鼓動も一緒に、力強いキックに合わせて会場内が高揚していくのを感じる。
会場の密度がぐっと高くなったところでラストに放たれたのは、「コバルトブルー」。山田は、歌詞にある《くだらねえこの世界》を吐き捨てるように、観客の持つ憂いをも背負ってぶん投げるような豪快さで歌う。重量感のあるビート、メロディックなベース、鮮烈なギターリフはそんな負の感情を木っ端微塵にしていく勢いだ。30分と短いステージだが、そこに1ミリの後悔も落としていかない、“THE BACK HORNのライブ”。そのドキュメントを見せてくれた。
取材・文◎吉羽さおり
撮影◎AZUSA TAKADA
セットリスト
2. シンフォニア
3. 罠
4. 空、星、海の夜
5. 希望を鳴らせ
6. コバルトブルー
■<ACIDMAN presents「SAITAMA ROCK FESTIVAL “SAI” 2022」>
2022年11月27日(日) さいたまスーパーアリーナ
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