【インタビュー】SG（ソギョン）、SNSを駆使し国境もジャンルも超えるオリジナル曲を連続リリース

■僕はめちゃくちゃメロディオタクでとにかく良いメロディが大好き
■メロディが良くないと聴いてもらえないんじゃないかとも思うんです

――曲作りについても伺いたいのですが、編曲で参加しているJUGEMさんは楽曲制作のパートナーということでよろしいでしょうか？

SG：そうです。彼はもともと大学の後輩で、仲が良くて。僕はDTM力がすごく低いので、オリジナル曲のリリースを考えているときに彼に“こんな曲を作りたいんだよね”と相談をしたんです。そしたらちょうどJUGEMもDTMを真剣に頑張りたいと思っていた時期だったので手伝ってもらって1stシングルの「Lily」ができて、今に至ります。JUGEMは面白い人なんですよ。本人はヴォーカリストとしてやっていきたいんだけど、歌よりも編曲や作曲の才能が長けすぎているから、来る仕事はみんな楽曲制作っていう（笑）。

――あら、うれしいけれど複雑なパターン（笑）。

SG：どんなに楽曲制作の仕事が来ても、“俺は歌いたいんだ！”って言っています（笑）。もちろんDTMも全力で頑張っていますね。曲によってはピアノを弾けるスタッフにピアノを入れてもらっているんですけど、それ以外の楽曲は全部JUGEMと一緒にトラックメイクしているので、頼もしいパートナーです。

――SGさんとJUGEMさんは、音楽のバックグラウンドは近いんですか？

SG：JUGEMも僕もEDMとかが大好きなんだけど、僕がR＆Bとかピースフルな音楽を聴いてきているのに対して、彼はVOCALOIDや洋楽のゴリゴリのハードロックとかを聴いてきていて、オタクカルチャーにも造詣が深いんです。だから僕が出せない音を出せるんですよね。今でも最近よく聴いている曲をプレイリストにまとめてシェアし合ったりして、僕が“こういうアレンジにしてみたいね”と言ったら、JUGEMが“この感じなら俺作るの得意だよ”と言って作ってくれる。SGの楽曲がよくある洋楽っぽい、J-POPっぽい曲にならないのは、彼の影響もあると思います。

――たしかに。SGさんの曲はいろんなジャンルが混ざっていますよね。たとえば“ジャズっぽいフレーズが入ってるのに、こんな曲になるの？”みたいに、どの曲にも意外性があって。

SG：そうなんですよね。それがフックにもなっているし、ちょっとミスマッチだとも思うんですけど、それでも最後まで違和感なく聴けちゃうんです。JUGEMにトラックメイクしてもらうと、狙わずともそうなってしまう。ならそれを貫いていくしかないな、という思いはありますね。

――そのなかでも、SGとして発信する音楽でこれだけは譲れないというものというと？

SG：それはもう、頭に残る、めっちゃ良いメロディですね。僕自身めちゃくちゃメロディオタクで、とにかく良いメロディが大好きなんです。たまんないんですよね！　“良いメロディ”にもリフレインするもの、中毒性があるもの、泣けるものみたいにいろいろありますけど……メロディが良くないと聴いてもらえないんじゃないかとも思うんです。めちゃくちゃ変なメロディに良い歌詞が乗っていても、響かなくないですか？

――確かに、説得力は落ちるかも。

SG：僕も敢えて消費コンテンツを作ることはあるけど、一瞬で消費されるような音楽ではなく、少人数でもいいから長く愛される曲を作りたいんです。そのためには良いメロディは必須だと思っていますね。3rdシングルの「僕らまた」はそこにちょっと近づけたのかなとは思っていて。

――ピアノとグッドメロディに、大切な人との再会に思いを馳せる歌詞。「僕らまた」はサウンドも歌詞も価値観も、時代にまったく左右されていない楽曲だと思います。

SG：すごく個人的な別れを書いた曲なんです。でも聴いてくれた10代の子は“恋愛でお別れになりました”“大好きだった先輩が引っ越してしまった”“好きな人と別の高校になりました”とか。20代の人も“転勤で会えなくなりました”“ペットが亡くなってしまった”とか、3、40代の方だと“おばあちゃんが”“わたしのお母さんが”とか……皆さんそれぞれが大切な人との別れを「僕らまた」に重ねてくださったんですよね。そのとき自分が思っていたことをシンプルな言葉で歌詞にしたぶん、いろいろな世代の人に届けられたのかなとも思って。聴いてくれたみんなの物語が入ったことで、あの曲は完成したんだと思います。



――SGさんはその後もコンスタントにリリースを続けるなかで2022年に活動2周年を迎え、“#SGproject”の始動を発表しました。なぜこのようなプロジェクトを始めたのでしょうか？

SG：ほんと純粋に“こういうことしたら楽しそうだなあ”というのが動機です。SGとして活動を始めて、いろいろな出会いがあったんです。Novel CoreくんとトラックメーカーのYackleくんとの出会いをきっかけに、一気にいろんなことが広がったんですよね。

――Novel Coreさんとはどういう経緯で交流が生まれたのでしょう？

SG：Coreくんが僕のSNSをフォローしてくれていたんです。それでフォローのお礼と挨拶を兼ねたDMを送ったら、Coreくんは僕が「Lily」を出したタイミングから好きでいてくれて、その時からフォローしてくださっていたみたいで……。

――フォローしてもらったときには気付かなかったんですね（笑）。

SG：気づいたのがめちゃくちゃ遅かったです（苦笑）。それで“ごめんなさい、気付いていませんでした”と返信をして。そのときにCoreくんから“アルバムを作るので参加してくれませんか？”と声を掛けてもらったんです。それまでロック畑にいたのでフィーチャリングの経験がなかったんですけど、やってみたいと思って。それで出来たのが「LOVE SONG feat.SG」（※Novel Core『A GREAT FOOL』収録）です。そこでフィーチャリングの面白さを知って、Coreくんに“よかったら僕の曲でもフィーチャリングで参加してよ”と頼んだんですよね。そしたらいろいろな人に声を掛けたくなって。



――それが“#SGproject”発足のきっかけであったと。

SG：そうです。まず仲の良い鈴木鈴木に連絡しました。その後にCoreくんのライヴにゲストで出させてもらって、そこで出会ったのがAile The Shotaくんでした。そこでShotaくんに“曲一緒にやりたいです”と言ったら快諾してもらえて、Yackleくんのやっていたタカラトミーの“MUGENYOYO”プロジェクトに参加して出会ったのがRude-αと吉田凛音でした。だから今発表されているアーティストは、SGとして活動を始めてから出会った人ばかりだし、今後発表されるアーティストも含めてみんなジャンルが違うんです。







――確かに。そうですね。

SG：みんな全然違う界隈で活動しているけど、SGという1アーティストを介してひとつに集まれる。それは僕がジャンルにとらわれずに音楽を作っているからだと思うんです。

――SGさんはひとつのジャンルに根を張るアーティストではないし、ソロアーティストでもあるから、どんなジャンルの人にもリーチできるということですね。なんだかSGさんの人生みたいだなと思いました。誤解を恐れずに言うと、SGさんは恐らく“ここが自分の居場所だ”と感じられる場所もなくて、孤独を感じてきたんじゃないかなって。

SG：ああ、そうです。韓国でも日本でも引っ越しをたくさんしてきたから、地元と呼べる場所は韓国にも日本にもないんです。

――だからこそ、ひとつの場所にとどまらずにいろんなところに飛んでいけるんですよね。SGさんの多彩な音楽性は、これまでSGさんが歩んできた人生が呼んできたものなのかもしれないなと、お話を聞いていて思いました。

SG；なるほど……勉強になります。

――でも2022年11月にリリースした最新曲「断捨離」は、ある意味SGさんの出生地ではないでしょうか。かなりストレートなロックチューンに仕上がっています。

SG：いろいろな音楽性を楽しみながらも、なんだかんだ言っても僕はロック畑の人間だなとは若干思ったんですよね。「君に会いたいと願ったって」（※2022年8月リリース）がロックに仕上がったので、SGとしてこの方向性をもう少しこじ開けたくて作ったのが「断捨離」です。やっぱり、ロックなギター1本で鳴らすからこそ、届くものはあるんすよね。



――そうですね。

SG：ああいう胸をえぐるような歌詞は、チルいビートよりも8ビートでガッとかき鳴らした方が伝わりやすいと思ったんです。歌詞には失恋を書いているんですけど、“君のためにやっていたことが、何かのきっかけで全部君のせいに変わってしまう”と気付いた瞬間に、あー……って思ったんですよ。そうだよな～って。

――何か心当たりがおありで（笑）。

SG：考えただけで“うわあ～！　つらいつらい～！”って（笑）。《君がいたはずのこの場所には/味がしなくなったガムみたいな私が残っている》とかやば～い！とか言いながら歌詞を書いていました（笑）。すごく良い曲になったと思います。

――年内まで“#SGproject”も続きますし、休む間もなく2023年に突入しそうですね。

SG：ほんと年内にも来年にもいろいろなことを計画していて、間違いなく皆さん驚くと思いますね。言えないのがもどかしいなあ……。というわけでこれからも発表が続くので、ぜひ皆さんにSGの活動をチェックしてほしいです。

取材・文：沖さやこ


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