【インタビュー】超学生、メジャーデビューで「世界が広がっていく」
■再生回数だけを気にしていたら音楽活動を好きにできない
──超学生は、今年“歌ってみた”活動を開始されてから10周年となります。この10年を振り返られてみていかがですか? 他のクリエイターでは経験できないような体験をされた、唯一無二な存在ですよね。
超学生:好き勝手自分のやりたいことだけをやってきただけというか(笑)。
──この10年は、ボカロ文化圏がカウンターカルチャーからメインストリームへ変化した10年とも言えると思います。
超学生:いい時代に生まれたなと思っています。それは歌うことだけでなく、機材の扱いやミキシング、動画を作ることに関しても。昔は動画ひとつ作るのもかなり大変だったみたいですが、今はフリーソフトでも作れちゃうじゃないですか。時代の移り変わりでいうと、モノラルからステレオへの変化もありましたし。そこからさらに、今はステレオから空間オーディオへ時代も動いていますし、この先も楽しみですね。
──あと、作品をリスナーへ届けるところまで自分自身で行うという、ポップミュージックのあり方も変わりましたよね。
超学生:そうですね。それこそ、昔はレーベルや事務所と組むと、だいたいこんな活動をする、という選択肢がある程度決まっていたと思うんですよね。でも今は、アーティストごとに表現手段が異なるんですよ。僕でいうと、自宅で録らせてもらっていることもありますし、場合によってはiPhoneだけで曲を作っちゃうこともある。
──iPhoneのマイク、なかなか良いんですよね。
超学生:そうなんですよ。エンジニアさん曰く、 “うまく聴こえたりする”iPhoneマジックがあるそうで。今は、よりアーティスト主体の時代になった気はしますね。昔を知っているわけではないので、感覚なんですけど。
──そうですね。サウンド面も含め、音作りなど、かつては分業制だったものが、今は自身で全てをこなしてしまうアーティストも増えました。
超学生:そうですね、簡単にプラグインなどで機材を触りやすい時代になったことも大きいですよね。僕も色々なことに手を出してきたので、エンジニアさんとご一緒させていただくときに指示が的確で助かると言われました。高域をもうちょっと飛ばせませんか? リミッターかませないとどうなるんですかね? みたいな具体的な意見ができるんですよ。
──ああ、なるほどね。それは、お互い助かりますよね。
超学生:アーティスト側も“知っている”ことで恩恵を受けられるのかもしれませんね。
──超学生にとってメジャーデビューは、夢のひとつだったりしました? SNSでは目標だったと書かれていましたよね。
超学生:そうですね。大きなプレッシャーがあったわけではないのですが、メジャーデビューは、選択肢を広げる大きなきっかけだと思っています。
──なるほどね。
超学生:大きなハードルを感じているというよりは、どちらかというと世界が広がっていくイメージです。ワクワクしています。
──自分が好きなアーティストがメジャーデビューしてワクワクした……なんて体験もありますか?
超学生:島爺さんですね。当時、あまりメジャーデビューする方は多くなくて。誤解を恐れずにいえば、歌い手でもメジャーにいけるんだってワクワクしましたね。
──切り開いた感じだ。
超学生:その後もluzさんやアンダーバーさんや灯油さんとか続々メジャーデビューされて。僕も目指したいなって思っていました。
──そしてその夢を叶えた超学生の、今後の目標は?
超学生:ありがたいことに最近は、言ったそばから夢が立て続けに叶っていく環境で。音楽以外だと、ボイスアクターもやってみたいなって思っています。たとえば『SING』という映画があるんですけど、最近だとBiSHのアイナ・ジ・エンドさんが参加されているんです。僕もチャレンジしてみたいですね。
──超学生は、チャンネル登録者数や再生回数がいま、とんでもない数字となってきていますが、さらに、コメント数も多くって。この事実は、10年間のアーティスト活動の成長スピードに大きな影響を与えているのではと思うのですが、いかがですか? もちろん大変なこともあると思うのですが、マイナス意見もいち再生数には変わらないですよね。
超学生:たしかにそうですね。でも、再生数のためだけに投稿はしないと決めています。もちろん、いただいた再生数には感謝していますが、僕の場合はやりたいことがたくさんあるので、再生回数だけを気にしていたら音楽活動を好きにできない。
──うんうん。
超学生:再生数は取れなくても、自分がやりたいことをやらせてくださいって思っています。それでも聴いて、観ていただけていることに感謝ですね。あと、コメントには、とても成長させていただいています。それこそ僕の歌声を“がなりヴォイス”と表現していただくことがあるんですけど、こういう歌い方になったのも、コメントでの反響がきっかけなんです。
──そして、今後気になるのが超学生によるライブ活動ですね。
超学生:はい、ちょっと前は動画コンテンツを成長させたいと思っていたんですが、最近の心境は、生のライブでみんなとやりとりしたいという方向になっています。
──おおお。
超学生:ただ、これまでと別物の活動にはしたくなくて。まさに画面から出てきたようなライブをしてみたいなと思っています。
──今後も、ボカロ文化圏でのコラボレーションも続けていくのでしょうか?
超学生:それは続けていきます。世界観を固めていく活動方針ではなく、常にいろんなことをやり続けていきたいなと思っています。みんなを振り回すことになるかな(笑)。
──頼もしいですね。作品ごとに、役を演じていくみたいな感覚ってあるんですか?
超学生:まさにその通りで。曲の主人公にならないと、歌うのが難しかったりするんです。タイアップでの主題歌をいただくとしたら、作品の主人公の気持ちを理解するところからはじめますね。けっこう、オタク気質なところがあるので、たとえばどこで髪を切っているのかなとか、意外とタバコ吸うのかななんて、いろんなことを考えちゃいますね。
──おもしろいですね。
超学生:歌ってみたをやるときから、それは大事にしていることです。歌う際、動きを取るので、キャラクターのクセとか、普段何をしているとかまで入れ込んでいないと入り込めないんですよ。
──そこは、超学生の表現者としての大きな軸なのかもしれませんね。では、最後に音楽以外にどんなことがお好きだったりしますか?
超学生:その質問を聞かれるたびに困っちゃうんですよ(苦笑)。
──ああ、やっぱり?
超学生:う〜ん、あ、最近は、Kindleを買ったので電子書籍を読んでいます。移動中やお風呂でも読めるので。あと、映画をいっぱい観ています。ホラー映画が好きなので。
──そうなんだ。
超学生:ホラー映画を観ながら、ピッチの直しとかしているとはかどるんですよ。
──すごいなあ。集中力が上がるのかな?
超学生:映画の方で、すごいことが起きていると、こっち(現実世界)は平和だなみたいな。
──平和を実感できるんだ。
超学生:ははは(笑)。小説だと、星新一先生が昔から好きです。
──刺激を受けますよね。
超学生:短編集で読みやすいので、僕の生活スタイルにあっているんですよ。マンガだと最近は『光が死んだ夏』が好きですね。あと最近アニメ化が決まった『アンデッドアンラック』や『チェンソーマン』が好きです。
──おお、いろいろありがとうございます。最近、プライベートで聴いていて好きな音楽は?
超学生:YouTubeで公開プレイリストを作っているんですが、日本のアーティストだとyamaさんの新曲「それでも僕は」が好きですね。歌詞が素敵だなと思って。あとは、K-POPでIVEさんの「After LIKE」が好きです。
──超学生の、いろんな側面を垣間見れたと思います。今後のご活躍を引き続きめっちゃ楽しみにしてますね!
超学生:よろしくお願いします!
取材・文◎ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)
写真◎いわなびとん
Prime Video『仮面ライダーBLACK SUN』
オフィシャルサイト:https://www.kamen-rider-official.com/blacksun
◆超学生 オフィシャルサイト
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