【インタビュー】アイドルでもある演歌歌手・望月琉叶、5人のボカロPとタッグ「自分にしかできないことをするのが使命」

■みんながやらないことも率先してやる

──望月さんはオンの自分とオフの自分の距離を近づけたい気持ちはおありなのでしょうか？

望月：差がありすぎるので、距離は絶対縮まんないと思ってます（笑）。本当の自分はできるだけひっそりと暮らしていたいし、もし劇に出るなら石の役がいい。でも友達から「絶対琉叶ちゃんは人前に出る仕事をしたほうがいいよ」と言われてひょいひょいその道を志して、学生時代に「歌うまいんだからオーディション受けたらいいじゃん」と言われてその言葉の通りオーディションを受けて……というのを繰り返していたらあれよあれよと大きなステージに立たせていただく機会をもらって。どんどん差は大きくなるばかりなんです。

──なるほど。その差があってこそ、望月琉叶が作られるのかもしれませんね。

望月：そうですかね……。そういうことにしときましょうか（笑）。


──ははは。スイッチオフの望月さんが、スイッチオンの望月さんを見て「かっこいいじゃん」と思えたらいいですね。

望月：そうですね。あと、スイッチオンの自分が、スイッチオフの自分を認められるといいなとも思います。民族ハッピー組の活動ではダンスもするので、ダンスを間違えたりするとオンの自分がオフの自分に「もっとちゃんと練習しろ！」って爆弾を投げるので（笑）。

──練習はオフの望月さんが担当してらっしゃるんですね。

望月：そうです（笑）。レコーディングは曲としっかり通じ合えていないときにオフになっちゃうときがあって。オフになると全然ちゃんと歌えないんですよ。だから演歌歌手でいられるのは、間違いなくオンの自分がいるおかげでもあるんですよね。今はオフの望月がしゃべっているので、あんまりおしゃべりがうまくないんですけど……。


──とんでもない。でもそういう二面性というか、オンとオフのギャップという望月さんのリアルな姿を楽曲にできたことは、望月さんにいい効果が生まれそうですよね。

望月：オンとオフの自分がずっと混戦し続けているような感覚で何年も過ごしてきていて、その感覚が詰まった楽曲をjon-YAKITORYさんに作っていただいて。それをオンの自分が歌って、それを聴いたオフの自分が「ちょっと歌い方が派手すぎやしないかな？」と思ったりもして……（笑）。でも結果、飽きずに聴いてもらえる曲ができたのかなとも思います。やっと本当の私のことがわかったか！という気持ちです（笑）。

──それこそオンの望月さんとオフの望月さんが協力し合った楽曲かも。

望月：そうですね。演歌の場合は、恋愛経験がほとんどないので想像で歌うことが多かったんです。なんとか自分の境遇と近いものを探しながら恋愛の曲を歌い続けていたところに、自分自身の心情が反映された「MONSTER」を歌うことができたので、タイミングも良かったのかなと思います。

──「MONSTER」を機に、オンとオフのご自分同士で歩み寄ってみるのもいいのではないでしょうか。

望月：んー、まだまだしばらく格闘技が続きそうです（笑）。これはずっと変わらないんじゃないかなあ……。性格はなかなか変えられないじゃないですか。

──かもしれないですけど、経験が増えると視野も広がりますし、捉え方も変わってくるんじゃないかなとも思います。それこそ、演歌の世界は年齢を重ねるごとに歌えなかった歌が歌えるようになる世界ではないでしょうか。

望月：ああ、たしかに。もう26だから変わりようがないと思ってたけど、どうなるんだろう。

──そんな26年の人生が表れた楽曲が「MONSTER」なのだろうなと思いました。それにしても演歌歌手とアイドルとグラビアアイドルの三刀流や、VOCALOIDクリエイターとの5ヶ月連続タッグなど、これだけ大胆な動きができるオンの望月さんは、かなりエネルギッシュなんですね。

望月：わたしチョロいんで、「これは君にしかできないよ」と言われると、じゃあやる！ってなるんです（笑）。自分にしかできないことをするのが使命なのかなと思いながらずっと生きてきたんですよね。みんながやらないことも率先してやる。「グラビアも演歌もできるなんて、君くらいじゃない？」と言われたら、やる以外の選択肢がないんですよね。

──VOCALOIDクリエイター書き下ろし楽曲が歌えるのも、VOCALOID楽曲に慣れ親しんできた望月さんでないとできないことですしね。

望月：ありがとうございます（笑）。今回わたしがjon-YAKITORYさんの曲を歌うことで若い人にも演歌に興味を持ってもらえるきっかけになれたらうれしいですし、今後発表する曲にはわたしと同年代の人にも共感していただける曲があるんじゃないかと思います。ボカロ曲を聴いてきた昔のわたしみたいに、わたしの曲で気持ちがスッキリする人がいるかもしれない。わたしの活動がいろんなことのきっかけになってくれたらうれしいです。

取材・文◎沖さやこ

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