【速レポ】<中津川ソーラー>DAY3、奥田民生(MTR&Y)「やっと現場に来られたので、これからは毎年、来たいと思います!」

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「イージュー★ライダー」をSEに観客の手拍子に迎えられた奥田民生(Vo,G)は、ギターをかき鳴らすと、まるで気合を入れるように「おおぉ~いえ~!」と声を上げ、バンドとともに1曲目の「KYAISUIYOKUMASTER」になだれこんだ。コードのリフで聴かせるガレージ・ロックは無骨な演奏に加え、言葉の意味よりも響きを楽しませる歌詞も心地いい。そして、ギター・ソロをばちっとキメた奥田は、「えいえい! 中津川!」とまた声を上げ、早速、2曲目の「快楽ギター」になだれこむ。ピアノがコードを刻むロックンロールが観客の体を揺らす。その光景に奥田もゴキゲンだ。

◆奥田民生(MTR&Y)画像

「ありがとうございます。こんにちは。奥田民生です。よろしくお願いします。(中津川に来るのは)初めてですからね。今日が初めてのはずが、ちょっとフライングで、昨日、FLYING KIDSでアコギとタンバリンをやってきました(佐藤タイジ、FLYING KIDSの浜崎貴司と共演した“SOLAR SPECIAL SESSION”のこと)。(前回出演のTHE SOLAR BUDOKAN 2020は中野)サンプラザでしかやらせてもらえなかったですけど、ようやく、ね」



奥田が語ったその前回は、自由気ままな弾き語りをのんびりと楽しませたが、中津川初遠征となった今回はMTR&Y名義の出演だ。サディスティック・ミカ・バンドをはじめ、華々しいキャリアを持つ小原礼(B)を筆頭に湊雅史(Dr)、斎藤有太(Key)というベテランが2005年、奥田の元に集結。4人の下の名前の頭文字を並べたMTR&Yをバンド名に掲げ、たびたびツアーを行いながら、バンドのグルーブを磨き上げてきた。




そういうメンバー達とステージに立っているせいなのか、このバンドでは真面目にやると決めているせいなのか、それとも時間が限られているせいなのか、今回は奥田らしい人を食ったユーモアは封印して、「トリッパー」「荒野を行く」とソロ名義でリリースしてきた曲を粛々と繋げ、ストイックに演奏そのものの熱度を上げていく。「愛のボート」「イナビカリ」ではステージ最前に進み出て、長尺のギター・ソロもキメたのだった。



ボーカルを務めるのは奥田だが、もちろん奥田1人だけが主役ではない。「愛のボート」では斎藤、ディスコ・ビートが観客の体を揺らした「御免ライダー」では小原も長尺のソロを演奏に加え、観客を沸かせる。「やっと現場に来られたので、これからは毎年、来たいと思います!」奥田による突然の宣言に観客が色めき立った。



「残り10分! あと2曲!」奥田が声を上げ、ハード・ロッキンなリフを鳴らした「最後のこれから」では4人の演奏が白熱。奥田が弾きたおした渾身のソロに観客が大きな拍手を送る。その熱気のままなだれこんだのは「さすらい」だ。ラストを飾るにふさわしいアンセムを、今回は声を出せない観客の代わりにメンバー全員が声を重ね、披露した。観客全員の手が上がり、大きく揺れる光景は、まさに壮観の一言だった。

ステージを降りる直前、よっぽど中津川が気に入ったのか、奥田は「また来年会いましょう」とダメ押しするように言ったのだった。マジか。もしかしたら、来年は「さすらい」をシンガロングできるかもしれない!

取材・文◎山口智男
撮影◎柴田恵理


【REVOLUTION STAGE】セットリスト

01. KYAISUIYOKUMASTER
02. 快楽ギター
03. トリッパー
04. 荒野を行く
05. 愛のボート
06. イナビカリ
07. 御免ライダー
08. 明日はどうだ
09. 最強のこれから
10. さすらい

■<中津川THE SOLAR BUDOKAN 2022>

日程:2022年9月23日(金・祝) 、24日(土)、25日(日)
会場:岐阜県中津川公園内特設ステージ

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