【コラム】Da-iCE、SNSバズを生み出した「スターマイン」。曲に込められた真意について考えてみる

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Da-iCEのニューデジタルシングル「イマ」が8月22日にリリースされた。その表題曲である「スターマイン」がSNSを中心に、大きな話題となっている。

◆ミュージックビデオ

「スターマイン」は、Da-iCEが“イマ”を魅せるとっておきの夏曲、とのこと。結成から11年経ってメンバーも大人になったからこそ、「海・太陽・クラブ」という弾けた夏のイメージではなく、「夜・花火・浴衣」という大人が肩の力を抜いて楽しめる夏をイメージした楽曲に仕上がっている。作詞作曲は、リーダーの工藤大輝が手掛けており、一度聴いたら忘れられないメロディと歌詞でリスナーの心をワクワクさせている。

一方で、「大人な夏曲」と謳っているがダンスはかなり激しめ。振付を担当したのはs**t kingz・shojiで、Da-iCEの良さを引き出しつつ、その上でshojiらしさも感じられる秀逸な振付となっている。花火を彷彿させる激しい振付は、和田颯が「今回のミュージックビデオ撮影は過去一疲れた」と語るほど。しかしその激しさ故に一瞬だが全力で燃える花火がイメージされ、夏曲らしいお祭り騒ぎ感が楽しめる。

歌い方も然り。かなり喉を使う歌い方が採用されており、いつも以上にテンションが高い歌声になっている。加えてがなり声やファルセットなども多様されており、ボーカルの花村想太、大野雄大のテクニカルな歌声がこれでもかと言うほど楽しめる。8月29日に公開されたミュージックビデオでも、セットやプロジェクションで花火が表現されており、直接的に花火の映像を使わないところにDa-iCEらしさとオシャレさが感じられる。



一度聴いたら覚えてしまうメロディと、洒落の効いた歌詞が印象的な「スターマイン」。聴けば聴くほど癖になり、何度も聴きたくなってしまう不思議な楽曲である。そして、工藤が「SNSのことを考えて複合的に楽曲構成をしたりとかもしている」と語った通り、SNSで大バズりをしているというわけだ。

とくにTikTokにおいて盛り上がっているのだが、事の発端は3人組クリエイター・ローカルカンピオーネ。彼らは「スターマイン」においてDa-iCEとタッグを組み、音源の事前リークを実施。一気に拡散され、リリース前から多くのUGC(ユーザー生成コンテンツ)が投稿されていた。その勢いは留まることを知らず、現在もTikTokではトップクリエイターたちが次々に投稿をしている。

例えば、徳川家康の名前で知られる加藤乃愛、YouTuber・コムドットのあむぎり、女子高生クリエイターのむめいなど、誰でも知っているクリエイターたちもオリジナル要素を加えつつ投稿している状態だ。それがさらなるバズりに繋がり、TikTok人気楽曲1位にチャートインするという現象が巻き起こっている。

「CITRUS」や「Promise」が「THE FIRST TAKE」で披露されたというような大きなトピックがない「スターマイン」が、なぜリリースから早い段階でこれほどまでにバズったのだろうか。もちろん、トップクリエイターたちの拡散力が起因したことは間違いないのだが、まずは真似しやすい振りが付いたことが理由の1つにあるだろう。

Da-iCEがパフォーマンスで魅せるダンスは、ダンスをやったことがない人にとってはとても真似できるものではない。しかし、「スターマイン」は歌詞をなぞらえた誰でもできる振りが誕生している。言うなれば、かつての“恋ダンス”や“TTダンス”のようなイメージだ。しかも、Da-iCE本人ではなく、ローカルカンピオーネという第三者発信というのも取り入れやすさにつながっている。単にBGM的に楽しむ楽曲から、ユーザーが気軽に参加できるコンテンツになったと言えるのではないだろうか。



2つ目の理由には、「キャッチーな歌詞とメロディ」を挙げたい。ORANGE RANGE・HIROKIが9月5日に投稿したツイートの中でも言及しているが、「スターマイン」には数字を絡めたワードが多々出てくる。“一発じゃたりないのかい 二発目をおかわりしたい 三度目の正直なんて無い 四の五の言うなよ ロクデモナイ”、“人生は七転び八起き 急展開”と、ある種の言葉遊びのような要素も含んでおり(もちろん別の意味もしっかり込められている)、ついつい口付さみたくなる。そんな歌詞が一度聞いたら忘れられない特徴的なメロディに乗っているともなれば、注目されないはずがない。

しかも、アコースティックギター1本で始まる歌い出しも印象的で、イントロをカットして楽曲の肝となるフレーズから始めるという構成も時流に合っている。TikTokのような短い映像を作るのにぴったりだ。そして、これらを計算して制作した工藤大輝のセンスと才能に改めて脱帽する。

こうして、SNSを中心に話題になっている「スターマイン」だが、ファンにとっては別の角度から捉えることもできる。タイトルの「スターマイン」とは、連続で打ち上げられる花火のこと。この花火を「楽曲」と捉えることで、Da-iCEメンバーの思いが伝わってくるのではないだろうか。例えば“露出ばかり増えるんじゃ意味無いね”、“本当の意味での祭りはこれから”は、メンバーがずっと望んでいる『NHK紅白歌合戦』を見据えているのだろうか。8月の終わりにあえて夏曲をリリースしたことを考えると、合点がいく。

さらに、“類を見ないような手順で スタンバイ さぁ打ち上げろ”。ローカルカンピオーネとタッグを組んだ楽曲の発表の仕方はまさに類を見ない手順であったし、今後の仕掛けにも関わってきそうな歌詞だ。そして、キーフレーズである“一発じゃたりないのかい 二発目をおかわりしたい 三度目の正直なんて無い 四の五の言うなよ ロクデモナイ”。Novel Coreと工藤が対談した『MUSIC FUN!』の中で工藤は「(「CITRUS」が好評をいただいたけど)こっちは全部のシングルを打ち上げるつもりで出してるっていう意思表示がしたかった」、「(「CITRUS」の)2発目をおかわりさせようとする大人がめっちゃ増えたんですよ。それがすごい嫌だった」と語っている。この反骨精神が歌詞に詰め込まれて言えるのも、Da-iCEらしい。その上でダブルミーニングを取り入れるなど考察の余地を残してくれているのも、同曲を繰り返し聴きたくなる要因の1つなのではないだろうか。

キャッチーでありながらも、深く噛み締められる「スターマイン」は、“歌うのもよし、踊るのもよし、考察するのもよし”という最高のエンターテイメント楽曲ではないだろうか。まだ聴いていない方はもちろん、すでに耳にしたことがある方も今一度聴いて、Da-iCEのエンターテインメントを楽しんでみてほしい。

文◎高橋梓
■「イマ」
配信リンク:https://da-ice.lnk.to/IMA_DLSTR

◆Da-iCE オフィシャルサイト
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