【対談】ANCIENT MYTH × ILLUSION FORCE、初カップリングツアー開幕「<Wacken>に出たいと思ってる同士じゃないと」
■ANCIENT ILLUSIONとして
■将来的には1曲作るというアイデアも
──今回のカップリングツアー『ANCIENT ILLUSION』を行うことになったのは、どのような経緯があったんですか?
Yuya:ILLUSION FORCEは今年はツアーをしたいと思っていて、Halさんに「どっか行かないですか?」って言ったのが始まりです。
Hal:そう。最初は、ILLUSION FORCEのツアーで、すでに決まってるどこかに呼んでくれる気持ちでいたらしいんだけど、「ツアーに行きませんか?」って言われたから、「こんな感じでやるのはどう?」って提案したら、「そんなにやれるんですか!?」みたいな。
Yuya:そうそう、そんなに一緒に廻ってくれるとは思ってなかったんですよ。
Hal:そこで、すでに決まっていたライヴとは別で、ちゃんとタイトルをつけた完全に2バンドのカップリングツアーとしてやることになったんですね。
▲ANCIENT MYTH『ArcheoNyx』
──数あるバンドの中で、なぜANCIENT MYTHに話を持ちかけたんですか?
Yuya:現実的に一緒にやってくれる可能性のあるバンドということもあるし、話しやすいし……。
Michal:私も666歳なので、キャリアはそこそこ長いんですけど、先輩後輩とか関係なく、気軽に話してくれる人は、仮に我々より若いバンドだったら、面倒を見られるところは面倒を見たいなと思うし、たとえば、男性ヴォーカルしか聴かない人、女性ヴォーカルしか聴かない人も存在すると思うんですよ。そこは上手く混じっていけばいいなっていうのは私の中にはありましたね。Jinnくんが超スーパーヴォーカリストだからどうしようってドキドキもありつつなんですけど(笑)。それから何よりも思い描いている将来像が近い。たとえば、<Wacken Open Air>(ドイツで開催されている世界開催大規模のメタルフェスティヴァル)に出たいと思ってたりする同士じゃないと、なかなか一緒にツアーって組めないと思うんですよ。現状は置いといてね。そこで協力して、やっていけたらいいなと思ったんで、お声がかかったときは、ありがたかったです。
──国内のヘヴィメタルシーンで言えば、2020年以降はコロナ禍も考慮しなければなりませんが、近年はこういったケースはほとんどありませんでしたよね。仮にあっても東名阪ぐらいの規模ですし。その意味で、今回の話はとても頼もしいですよ。
Yuya:今回はできるだけ初めての土地に行きたい思いもあったんですよ。
Michal:コロナによって、たとえば近県でも出かけづらいという人は絶対にいると思うんですね。アルバムを出したことで、音そのものはいろんなところに届いていても、やっぱりファンのいるところに行きたいですからね。そんな中で、まずこの辺に行きたいっていうアバウトなところをYuyaくんから聞いてて、移動距離とか会場の空き状況とか、現実的な兼ね合いを考えつつ、会場を押さえていったんですね。当初は九州や四国も廻ろうと考えてたんですけど、なかなかスケジュールなどで折り合いがつかなかったんですよ。
Yuya:この土地だったら、あのバンドと一緒にできるかなみたいなイメージもあったんですよね。
Michal:「東日本編もあるんですか?」っていう声もちょいちょいあるんですけどね。
Yuya:確かに東京から北には行かないですもんね。本当は47都道府県ツアーとかをしたいんですよ。
Jinn:個人的には神戸が楽しみですね、大阪に近いから(笑)。大阪って、どのジャンルでも昔からノリが基本的にいいじゃないですか。実際に観に来てくれる方も多いし、神戸もその流れでいい形になるんじゃないかなと思ってて。勝手なイメージですけどね(笑)。でも、福岡とか札幌とかでもやってみて思うのは、土地柄って言ったらちょっと失礼なのかもしれないですけど、実際に各地でお客さんの盛り上がり方の違いもあるじゃないですか。そこは興味深いですね。
Hal:神戸はBLOOD STAIN CHILDも出てくれますしね。
Michal:私とBLOOD STAIN CHILDの交流が始まったのって、彼らが1stアルバムを出す前ぐらいからかな。だから、関西(のゲストアクト)はもうBLOOD STAIN CHILDしか考えられなかったですね。
▲ILLUSION FORCE『ILLUSION PARADISE』
Shibuki:ANCIENT MYTHにとっての話なんですけど、Koheiくん(G)が入ってからは、遠征って初めてなんですよね。
Hal:確かに。彼が加入したのが2019年の終わり頃で、その後にコロナが始まっちゃったからね。実際にこのラインナップでライヴをやれたのは、結局、それから1年以上経ってからだったし。
Shibuki:Koheiくんも僕がドラム叩いているのを初めて観たのは、「Chaos to Infinity」(『ArcheoNyx』収録)のMV撮影のときでしたからね(笑)。
Hal:リハに入ることもなかったぐらい、バンドとして何もできなかったんだよね。
George:ILLUSION FORCEとしては、静岡、神戸、岡山は初めて行くんですけど、今年の僕らのツアーでは、初めてのところが結構あるんだよね。北海道もそうだし、福岡もそう。これから群馬や金沢も予定されてるんですけど、初めての土地では、当然、初めて出会う人ばかりですよね。そこで「実はアルバムをずっと聴いてて、ILLUSION FORCEを観にきました」みたいな声を聞くとめちゃくちゃ嬉しいんですよ。1人でもいい、2人でもいい。僕は各地にいるILLUSION FORCEファンに会いたいです。
Yuya:そうだね。福岡で5月28日に主催ライヴをやったんですけど、マジで大赤字を覚悟していたんですね。ところが、東京と同じぐらいお客さんが来てくれたんですよ。あれは本当にびっくりした。CDの売り上げもそうだし、YouTubeの視聴回数と高評価数、Twitterのリツイートなど、数字を見て増えてきているのはわかるんですけど、ライヴの場のほうが確かな実感がありますよね。だから、たとえば、ちょっとマニアックな曲をやっても盛り上がる。そこで、ちゃんと聴いてくれてることがわかるんですよね。届いてる感がある。
Michal:それはすごくわかる。今までANCIENT MYTHって、国内で言えば、東名阪以外では仙台と浜松ぐらいでしかライヴをやってなくて、大阪より西には行ってないんですよね。だから、今回は本当に初めて観る人が絶対にいらっしゃると思うんですね。むしろ、なぜ今まで行かなかったのかと自分たちでも思ってるんですけど……。
──メンバーが固まっていなかったりもしましたしね。
Michal:そう。元々ANCIENT MYTHに在籍してた人には、広島や山口の人とかもいたから、西のほうにもご縁はあったんですけど、全然行けなかったからやっぱり楽しみですね。
──この2バンドが各地で一緒に曲を演奏するような企画もあったりするんですか?
Michal:今のところ予定はないですね。
Hal:一緒に有名な曲をセッションするというのもありがちですけど、今回はそれぞれの持ち味で魅せる意味でも、とにかく自分たちの曲で全力投球したいんですよ。
Yuya:将来的には“ANCIENT ILLUSION”として、1曲作るというアイディアもあり得ますよね。
Michal:それを産むための今回のツアーでしょみたいな(笑)。
Hal:確かに、お互いのヴォーカルを入れ替えた音源を作ってみたり、そのツアーだけの音源というのもできなくないよね。
Yuya:そうですね。でも、ILLUSION FORCEにとって、ANCIENT MYTHと一緒にやるというのは、たとえばスラッシュメタルバンドとやるのとは違うんですよ。可能性が大きい。それこそ、今の話のように、“ANCIENT ILLUSION”として曲を作るとしたらこんな曲かなって、パッとイメージにした瞬間に浮かんだからね。
Jinn:なかなかいいアイデアだよね。
Michal:お歌の練習、頑張ります。今回のツアーのサブタイトルは、<メロディック勢号泣ツアー>だと私は思ってるんですよね。メロディックメタルが大好きな人たちが、各地で全部のバンドを観て感激する。ゲストアクトもいい感じにメロディック界隈が集合できたんで、メロディックメタル好きな人は、全日程ご参加していただきたいですね。
取材・文◎土屋京輔
■<ANCIENT MYTH × ILLUSION FORCE 2MAN TOUR 2022『ANCIENT ILLUSION』>
Guest Act:天燐
09月11日(日) 愛知・名古屋今池HUCK FINN
Guest Act:Astraea
10月08日(土) 岡山・岡山PEPPER LAND
Guest Act:SCHAU ESSEN
10月09日(日) 兵庫・神戸BLUEPORT
Guest Act:BLOOD STAIN CHILD
11月23日(日) 東京・新宿WILDSIDE TOKYO
Guest Act:Mardelas、Shiver of Frontier
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