【インタビュー】The choppers revolution、鳴瀬喜博×IKUO×村田隆行からなる豪華ベースユニットの10周年記念アルバム完成「ファンク!ファンク!ファンク!」
■より整理されているように聴こえるのは
■10年やってきているということが大きい
──ベースのアプローチの話も出ましたので、ここからは『FAN×K』のベースプレイ面についてうかがいます。まず、今作を録るにあたって、それぞれがプレイ面でこだわったことは?
IKUO:僕は全編にわたってトリプルプルを駆使してます。これは3連続でプル(プリング)するという新しいピッキングテクニックなので、聴いてほしいですね。ダブルプルの速いものとトリプルプルを組み合わせたりもしているので。
──すごいことになっていますよね。
IKUO:“ダッタラタン ダッタラタン”という場面で使ったり。たまたまそれをマスターしたんですけど、新しいテクニックは常に作品に残したいので、今回多用したんです。
──IKUOさんのプレイは超絶的な速弾きも1音1音がクリアに聴こえて、そこは本当にすごいです。タッピングなどもされていますが。
IKUO:いや、今回タッピングはしていないです。
──えっ!? 本当に?
IKUO:タッピングっぽく聴こえるところも、全部ロータリーピッキングで弾ききりました。
鳴瀬:IKUOは本当にすごいよな。
IKUO:ありがとうございます(笑)。
──鳴瀬さんはいかがでしたか?
鳴瀬:今回は全部宅録のライン録りだったんだ。ところが俺は、そういう設備を持ってないのよ。広いスタジオは5つ持っているんだけどさ…(笑)。
村田:おおおっ(笑)。
IKUO:すごい(笑)。
鳴瀬:ははは。IKUOとTakaは1stアルバムから宅録しているけど、俺はそういうことをあまりしたことがなかったんだよね。そうしたらTakaが「僕がパソコンを持って行くので、鳴瀬さんの家で録りましょう」と言ってくれて。「こういう曲です」とか「ここはこういうふうに弾いてください」みたいな説明をTakaから聞きながら録っていったんだ。その後、今度はIKUOの曲を録るためにIKUOがパソコン持って俺の家に来てくれたんだけど、部屋の様子を見て「物が多過ぎるな」とか言いやがったと思ったら、次はベランダに行って「ここは坪単価幾らくらいですかね?」とか俺に聞くんだよ(笑)。「なんだお前は!なんなんだ!!」と。そうしたら「僕、不動産マニアなんです」とか言うんだからもう(笑)。
IKUO:はい(笑)。僕、不動産が大好きなんです。
鳴瀬:そんなこと知らなかったからさ、ビックリしたよ(笑)。でもさ、考えてみてよ。作曲者が家に来て録音してくれるのはありがたいけど、そうなると俺は、自分の家とはいえ自分のペースでゆったり弾けないじゃん。途中で間違ったとしても「ここトチッてるんだけど」なんて言えないよ、一応先輩格だから見栄もあるしさ(笑)。っていう意味では、俺のペースを無視してレコーディング作業を進めたわけで、ふたりはちょっとズルいと思う(笑)。
村田:いやいや。鳴瀬さんはとにかく録りが早いんですよ。ほとんど一発か二発でOK。やっぱりアナログレコーディングを経験してきた人は本当にすごいなと思いました。
IKUO:レベルが違うことは、僕も痛感しました。
鳴瀬:でもやっぱりやりづらいよ、作曲者自身が俺のベースを録るって。いろいろ言われちゃうしね。
村田:いろいろ言ってないですから(笑)!
▲<チョパレボ 10th Anniversary 3rd Album Release Tour 2022>8.18@Billboard Live OSAKA
鳴瀬:いや、なにより酷いのはさ、ふたりが俺の家に来たとき、しまってある10弦ベースを引っ張り出してきてさ、「ちょっとIKUOさん、これ弾いてくださいよ!」とかTakaが言ったと思ったら、「それいいな!」ってIKUOが弾いて録音し出すんだよ。「それ、俺のベースなんだけど…」みたいな(笑)。結局、Takaは俺の8弦ベースを持って帰っちゃうし。だからさ、8弦ベースで弾いてる「Funk On」サビのメロディーは、俺が弾いているんじゃなくてTakaが弾いたものなんだよ。“俺より上手く弾くんじゃねぇよ!”っていう(笑)。そんなふうに、ベースプレイにもいろんなストーリーがありました(一同笑)。
──村田さんにしてみれば、鳴瀬さんのお宅は宝物だらけだったわけですね。
村田:本当にその通りなんですよ。僕は'90年代からずっとカシオペアの鳴瀬さんのファンで。当時、鳴瀬さんが新しい8弦とか、新しいトレモロアームをベースに導入するたびに大騒ぎになったじゃないですか。その歴史的なベースが家に転がっているんですから。
IKUO:見たことのあるベースがいっぱい、しかも無造作に置いてあるんだよね(笑)。
村田:となれば弾きますよね(笑)。僕はベースメーカーのTUNEさんに言いたいんです、「Akaten (TWB-10N/オリジナル10弦ベース)とKeronpachi (TWXT-8N/オリジナル8弦ベース)を弾きましたよ」って(笑)。
──では、8弦と10弦以外に村田さんが今回レコーディングで使用したベースは?
村田:僕はワーウィックをずっと使っていたんですけど、今回はそこから少し離れて、自分のオリジナルブランドのタウラムとフェンダー、ミュージックマンを使いました。つまり、僕がベースのキャリアをスタートした当時から弾いている楽器に戻ったんです。もともとフェンダー製ジャズベースやプレシジョンベースというスタイルだったので、そういうナチュラルサウンドに回帰したところがある。タウラムもジャズベとプレベを元にしたオリジナルブランドですしね。それに、ファンクやディスコとミュージックマン製スティングレイは切り離せないので。もちろんワーウィックがダメなわけじゃないから、実際ワーウィックを使った曲もありますし。
──プレイはいかがでしたか?
村田:今回は僕の得意ジャンルであるファンクとかフュージョンに少し寄ってもらったので、アプローチとかソロで悩むことはあまりなかったですね。どの曲も録るのは早かったです。
▲<チョパレボ 10th Anniversary 3rd Album Release Tour 2022>8.18@Billboard Live OSAKA
──アルバム『FAN×K』を聴かせていただいて、皆さんそれぞれが揃って、抜き差しやメリハリをより大事にされていることを感じました。
鳴瀬:それはありますね。
村田:より整理されているように聴こえるのは、10年やってきているというのが大きい気がします。アレンジ段階で、“それぞれ、これくらいまでいくだろうな”というのが予めわかるから。もうひとつは今回、キーボードの音数を減らしてほしいということは伝えていて。それも大きいと思います。
──そういったことが功を奏して、『FAN×K』は超絶プレイを堪能できると同時に、聴きやすい上質なアルバムに仕上がりました。このアルバムを携えた東名阪ツアー<チョパレボ 10th Anniversary 3rd Album Release Tour 2022>が8月17日の名古屋公演より始まります。そのファイナルは8月31日のBlue Note Tokyoです。
鳴瀬:ツアーはね、早く曲を覚えなきゃっていう。とにかくそこに尽きる(笑)。
村田:あはは。今回のツアーでは新曲を全曲演奏しようと思っていて。この間リハをしたところそこで見えたものがあったんですけど、それを一言でいうと“チョパレボらしくない”なんですよ。なので、IKUOさんから「自分達らしい部分も追加しよう」という提案があったり。あと、トーク&サイン会ではあえてカラオケを使わずに3人の生音だけで「チョパレボ・ショッピングPart3」をやってみたら、「これも面白いね」ってことになったり。この取材のタイミングではまだ構築中ではあるんですが、そういったアイデアを全部踏まえて、“新しいチョパレボ”と“10年間で培ったチョパレボらしさ”の両方を味わってもらえるツアーにしたいと思っています。名古屋と大阪公演で得たものがファイナルのBlue Note TOKYOに反映されることは間違いないと思う。
IKUO:ツアーは、壮大なファンクSHOWになる予感がしますね。個人個人をフィーチュアリングしたものというよりも、チョパレボ全員で盛り上がるライブにしたい。そこは観どころになると思います。チョパレボの良さを残しつつ、セットリストはほぼ新曲ということで新しい顔を見せられる。バランスよくやっていきたいなと思っています。
村田:あとは、「追いかけて関東」が受け入れられるのかどうかですよね。仮にファンの皆さんが受け入れてくれたとしても、Blue Note TOKYOで、それをやって許されるのかという(笑)。そこも楽しみにしていてほしいです。
取材・文◎村上孝之
撮影◎佐藤哲郎/小川星奈(ライブ)
撮影協力◎ビルボードライブ大阪
■活動10周年記念3rdアルバム『FAN×K』(ファンク)
【豪華限定ボックス】MZJZ-00003 11,000円(税込)
・70ページを超える撮り下ろし写真&メンバーインタビューなどを含むチョパレボ初の公式本
・通常盤と内容を変えた楽曲を収録
・「チョッパー奏法」をテーマに3人が語る映像などを収録したDVD
・ランダムに封入された特製ポストカードなど
【豪華通常盤】MZJZ-00003 3,300円(税込)
・通常盤といえど公式本と異なるカットを入れた16ページのライナーノーツ
▼収録曲
01. Pop Up Da Funk (村田隆行)
02. チョパレボ・ショッピングPart3 (IKUO)
03. Funk On (鳴瀬喜博&gb[lyric])
04. Trifold in G (村田隆行)
05. So Bad (IKUO)
06. Cat's Power Pileup Effect (村田隆行&坂東慧)
07. The Wind of Heaven (村田隆行)
08. Chop-Chop (村田隆行&マサ小浜[lyric])
09. PINK PUNK FUNK 2022 (鳴瀬喜博)
10. 追いかけて関東 (上岡まこと&ザ・チョッパーズアイレス)
▼限定ボックス特別収録曲
・PINK PUNK FUNK 2022 (オール副弦ベース演奏version)
・追いかけて関東 (カラオケ)ほか
▼チョパレボ are...
鳴瀬喜博 (Bass/Vocal/Programming)
IKUO (Bass/Vocal)
村田隆行 (Bass/Vocal/Guitar/Programming)
▼ゲストミュージシャン
マサ小浜(G)、宮崎裕介(key)、白井アキト(key)、FUYU(Dr)、坂東慧(Dr)、川口千里(Dr)、中沢剛(Per)、NoB(Vo)、gb(Rap)、Chloe(Vo)、吉田仁美(Voice)
■<チョパレボ10th Anniversary 3rd Album Relesase Tour 2022>
・open18:00 / start19:00
8月18日(木) 大阪・ビルボードライブ大阪
・1st:open17:00 / start18:00
・2nd:open20:00 / start21:00
8月31日(水) 東京・Blue Note TOKYO
・1st:open17:00 / start18:00
・2nd:open 19:45 / start 20:30
http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/the-choppers-revolution/
▼サポートメンバー
白井アキト(Key)、坂東慧(Dr)
東京公演ゲスト:NoB(Vo)、河野啓三(Key)
■<チョパレボ『FAN×K』ツアー九州編 〜ナルチョロス・ナイト〜 チョパレボ&I.T.R夢の共演2022>
10月28日(金) 福岡INSA
▼メンバー
IKUO (Vo&B)
村田隆行 (Vo&B)
坂東慧(Dr)ほか
※鳴瀬喜博は今回は参加致しません
※詳細はチョパレボ、各メンバーホームのページでチェックしてください
関連リンク
◆The choppers revolution オフィシャルFacebook
◆The choppers revolution オフィシャルYouTubeチャンネル
◆IKUO オフィシャルTwitter
◆村田隆行 オフィシャルTwitter
◆インタビュー【2】へ戻る
◆インタビュー【1】へ戻る
この記事の関連情報
【インタビュー】村田隆行、楽器ブランド立ち上げ「ベース本来の“鳴り”をローコストで伝えるということ」
【インタビュー】村田隆行、凄腕18名参加の初ソロアルバムに「テクニカルながら、そうとは聴こえないポップなベース」
【インタビュー】I.T.R、結成10年目の1stアルバム完成「テーマは聴きやすくてポップなツインベース」
村田隆行、初ソロアルバムに是永巧一や鳴瀬喜博など凄腕18名が参加
IKUO × TAKAによるツインベースユニット “I.T.R”、結成10周年に1stアルバム発表+MV公開
IKUO、ライヴ映像で構成された「Road to tomorrow」MV公開
IKUO、ツアー追加公演を記念し12月25日にLINE LIVE
IKUO、ツアー追加公演を関東・名阪で開催
【インタビュー】IKUO、超絶テクのマニアックな音楽性ながら爽快感に溢れた聴きやすいロック・アルバム『Easy come,easy core!!』