【速レポ】<京都大作戦2022>10-FEET、4DAYS無事終幕「日本中のライブハウスのシーンが戻ると信じている」
2週にわたって行われた<京都大作戦2022〜今年こそ全フェス開祭!〜>が、次の10-FEETのステージで終了する。天候やコロナ禍で開催延期や一部中止になるなど、完走することができなかった悔しいというだけでは言い切れない2年間を経て、いま完走を目前に、喜びともう終わってしまうのかという思いが複雑に入り混じる。
◆10-FEET ライブ写真
おなじみにSEとともに太陽が丘一面、丘の上の方までびっしりと掲げられたタオルを、たくさんのカメラがゆっくりと捉えていく。もうこのシーンだけでも、グッとこみ上げるものがある。KOUICHI、NAOKI、TAKUMAがステージに登場して楽器を手にかき鳴らすと、「ありがとう。ありがとうしかないよ」と、のっけから何度も何度も感謝を口にするTAKUMA。そしてよっしゃいこうぜ、を合図に1曲目に選んだのは「RIVER」だ。
今年の<京都大作戦>を締めくくるステージ。そのエモい気持ちがオーディエンスの心を繋いでいるのだろう、手拍子やコブシが熱っぽく振るわれる。ステージから放たれる3人のアンサンブルも同様で、サウンドとオーディエンスの熱が思い切りぶつかり合っているのが最高だ。間奏のパートでは、TAKUMAがスマホの光でウェーブを作ろうと、最初は最前列から丘の上にむかてウェーブをするが、何しろ時刻は夏の18時半でまだまだ明るい時間帯。
「あんまきれいちゃうな……絶対曲順まちがえてる」(TAKUMA)とつぶやきながらも、今度は丘の上から最前列に向かって、ドラムのKOUICHIのところまで届くようにとウェーブをすると、こちらはキラキラと光の絨毯が波打っていく。「きた、めっちゃきれいやん。これ完全に、王蟲の群れや。ナウシカのやつや」(TAKUMA)という光がKOUICHIの元に届くと、その光に当たってKOUICHIがドラムのビートを止め「ヒヒーン!」と、ポーズする。2週にわたって出演してくれた四星球の新曲「ヒヒーン」でのポーズである。感情たっぷりにはじまりながら、こんなネタをも挟み込んで、頭からうるっときたり笑ったりと忙しい。
続いてギターをつまびきながらゆっくりと、“何年も先からやってきた香る風 僕らは幸せでいますか?”と「風」を歌い出すTAKUMA。そして、「来年ここでみんなで集まって、みんなで今度は大合唱できてるか、来年まで見に行こうぜ」とアドリブ的に歌うと、「風」に突入。その歌詞は、この数年の思いや、刻々と変化する状況のなかで正解はわからないながらも試行錯誤して歩んできたことと重なる。バンドだけでない、オーディエンスもまたそうやって過ごしてきた時間だろう。心の機微やまだ形にさえならない思いにまで、音楽は優しく沁みわたる。「来年、またよろしく」歌の終わりに添えられたこの言葉に、大きな拍手が起こった。
「俺、根暗で。根が暗いから明るくいきたいと思って、いつもイエーイ!とか言ってます。根暗、悪いことやと思ってません。明るい性格になりたいと思わへんし。そういうやつのほうが多いと勝手に思ってます。あと、朝が怖いです。夜型です。ああもうすぐ次の日の朝やと思ったら、怖くなります」ギターを奏でながらオーディエンスにそう語りかけたTAKUMAは、「夜明けまでにはあと少しだけ 夢のほとりでまどろんで、あと少しだけ“お前らと”こうやっていたくてさ、目が覚めないように」と「Fin」をアレンジしながら歌い出す。
バンドが加わって、NAOKIのハイトーンコーラスが哀愁を誘い、焦燥感もにじませたアンサンブルで聴かせる「Fin」もまたいい。泣きの余韻を堪能する間もなく、鋼鉄のリフとヘヴィなドラム&ベース、そしてデスボイスを炸裂させる「aRIVAL」が続いて、オーディエンスの感情はもはやジェットコースターだ。
NAOKIとKOUICHIに「なんかしゃべる?」と促したTAKUMA。「やっとこの日が迎えられたから──」とNAOKIの言葉を受けて、「聞いてください。“やっとこの日を迎えれた”」とTAKUMA。そしてメロウなアルペジオにスロウなビートに乗せて、「やっとこの日が迎えられた。なかなか完走できなかった京都大作戦、今年もどうなんだろうと不安でいっぱいだった。今この瞬間、このライブが終われば、京都大作戦数年ぶりの完走になります。ただただ、感無量でしかない。来年からは、1週間開催だ!」と語るNAOKI。
これに続いてKOUICHIもまたギターアルペジオに乗せ語る。「4日間、大変なことあったけど、やっぱり京都大作戦が、大好きやわ。(アルペジオが終わると思いきやまだ続いていく)…いまので終わったと思ったけど。みんなもうあとちょっと、もうわかってると思うけど、力残さず精一杯! 楽しめよ!!(アルペジオ、終わらず)楽しめの先や、俺が言いたいのは……もうええやろ、散々喋ってる、時間ないよ? もう力果てるまで──(ここでギターが突如マイナー調に)動き散らかせ、コラ! TAKUMA、その音やめて、すごい恐い。あったかいこと、言えへん」とオチたところで、あったかい曲やろうかと「シエラのように」へとつなげていく。「いつまでたっても分かり合えへんな」……そんなことをつぶやきながら歌いだし、語りかけるように歌う。
続けて、もうちょっとやるわと「ハローフィクサー」をソリッドに聴かせると、時間がないからと「その向こうへ」を倍速でプレイ。オーディエンスのジャンプや手拍子も忙しい上に、最後はみんな座れとその場に座らせておいて、ジャンプもさせずそのまま曲を終わらせる放置プレイ。楽しませる技という技を詰め込んだこのセットリストも、ついにラスト。今年の<京都大作戦>の最後に選んだのは、「ヒトリセカイ」だ。
「帰りたくないよという夜にしような」(TAKUMA)と、“明日にはもうそこには”と歌う「ヒトリセカイ」は、ここに集ったオーディエンスの心情そのままだろう。曲中にはdustboxのSUGA、そしてJOJIも登場してシンガロングし、いつの間にかマキシマム ザ ホルモン、ナヲも登場。全員でシンガロングやハーモニーを響かせて、10-FEETのステージを彩り、大きなジャンプで締めくくった。
やまない拍手のなか迎えたアンコール。「その向こうへ」を急いだので、時間ができましたということで、ここでもスペシャルなセットが続く。「2%」では湘南乃風がタオルを回しながら登場して、グルーヴィなミクスチャーを爆上げ。「back to the sunset」と「蜃気楼」どちらをやるか拍手の数で決めたいと決を取って、「back to the sunset」を久々に演奏してくれたが、やっぱり「蜃気楼」も1コーラスだけやりますと、この時間が少しでも長く続くようにとサービス精神満点にプレイする。
そしてラスト1曲と言ったTAKUMAは、ギターを置いて、バリカンを手に、ホルモンのナヲとダイスケはんを呼び込む。前に登場したマキシマム ザ ホルモンでのくだりを受けて、眉を剃り落とすことに。どよめくオーディエンス。KOUICHIとNAOKIが奏でるドリフのヒゲダンスのテーマに乗せて、がっつり眉を剃り落とすTAKUMA。そして、その流れでNAOKIとKOUICHIも眉を剃り落とすという、前代未聞な展開に。
眉なしの、やけにコワモテになった3人で「CHERRY BLOSSOM」を感動的にプレイする様子はそれはそれはシュール極まりなかったが、こんな先の読めない泣き笑いの展開もまた<京都大作戦>らしいものだろうか。会場には、笑いも混じった大きな拍手が沸き起こった。
ステージを終え、改めて挨拶に立った3人。TAKUMAは今回の<京都大作戦>に向かった思い、そして直後の気持ちを率直に語った。
「無事、2周目終わって正直嬉しいです。昨年は2週目はコロナの関係でできなかったので、ほんま今年の2週目は2日目が始まるまで半信半疑でした。ほんまにできるのかなって。でもなんとかできました。ゴミもみんなに拾ってもらったみたいで、ありがとうばっかりです。いろいろありました。毎年、色々あるんですよ、僕らの見えないところでも。まだ完全じゃないなと思うし、完全にしなくちゃいけないとも思ってなくて。やっぱりみんなが納得するルールを守って、みんなが考えながらね。で、完璧じゃなかったら学んで、お互いに考えていったらいいやんと思ってます。今回、モッシュ、ダイブ禁止とか声出さないとかも、佳境の時期に来ていると思うんです。僕らも試行錯誤していて、ちょっとだったら声を出してもいいルールにするかとかも話したんですよ。でも、ここまでみんなで我慢して来たし、俺らはまた絶対、大声で歌って大暴れしてというライブになるまで、やめないという決心ができているので。そこまで確実に、よりみんなと感動して、ほんまによかったなと抱き合えてベロチューできるところまでたどり着くまで、やるつもりなので。今回はそこをお願いすることになったけれど、ほんまに日本中のライブハウスのシーンが戻ると信じているし、戻ればいいなと思ってます。そうするに当たっての、7月の京都大作戦、これからポルノ超特急、HAZIKETEMAZAREといっぱい友だちのイベントにつながっていきます。バンド主催だけじゃないいろんなフェスがあって、全部の場所が好きやから、戻していきたい。だから、俺らのできることはやるべきことはこういうことかなと思って、今回選びました。それにお付き合いいただいてありがとうございました」(TAKUMA)
「ようやく最後までやり切れた、やっと完走できて。最後このステージで感慨深い気持ちで、この景色やっと見れたなと思ったら眉毛がなくなって。なんか、こんな顔でなんて言っていいかわからへんくて。この4日間、仲間に支えられてやりきることができたし、天気とかいろいろあったけど、無事完走できたのが嬉しくて。やっとやったので。また来年以降も、続けるだけ続けていこうと思うので、これからもみなさんついて来てください」(NAOKI)
ふたりのいい言葉に続いたKOUICHIは、「俺が言いたいことは、TAKUMAとNAOKIが言うとんねん、先週から全部。一本締め行くよ」と見せかけて、今日はB'z「ultra soul」を熱唱。そして、「俺が今いちばん、眉毛剃ってこの先心配してることは、授業参観どうするかや。これで行くのか、眉毛描くのか。悩ませてもらうわ。でも、眉毛なくても生きていけるっていうのを、俺ら3人が証明したるわ!」という宣言から、4日間を締めくくるでっかい一本締めで本当の“終幕”を迎えた。
さらに、このあと流れでMCを務めたMOBSTYLES・田原氏まで眉毛を剃られことになる、無茶苦茶な展開に。終わり方わからないということで、TAKUMAが「じゃあ、ここにいる2万人で舌打ちして帰ろう」と、せーの で「チッ!」と舌打ちし、1日目のネタをも無事回収して<京都大作戦2022〜今年こそ全フェス開祭!〜>を終了した。
取材・文◎吉羽さおり
撮影◎HayachiN/瀧本 JON...行秀/青木カズロー
セットリスト
2.風
3.Fin
4.aRIVAL
5.シエラのように
6.ハローフィクサー
7.その向こうへ
8.ヒトリセカイ
en1.2%
en2.back to the sunset
en3.CHERRY BLOSSOM
■10-FEET主催<京都大作戦2022 〜今年こそ全フェス開祭!〜>MISSION IMPOSSIBLE-KYOTO 2022 ~Hope for whole day festivals this year!~
2022年7月03日(日) 京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
2022年7月09日(土) 京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
2022年7月10日(日) 京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
open9:30/start11:00
■出演アーティスト ※50音順■
▼7月02日(土)
【源氏ノ舞台】打首獄門同好会 / ウルフルズ / SHISHAMO / 10-FEET / 東京スカパラダイスオーケストラ / HEY-SMITH / ROTTENGRAFFTY
【牛若ノ舞台】Unblock / Suspended 4th / NAMBA69 / HERO COMPLEX / 夜の本気ダンス / LABRET
▼7月03日(日)
【源氏ノ舞台】Creepy Nuts / G-FREAK FACTORY / SiM / 四星球 / 10-FEET / ヤバイTシャツ屋さん / WANIMA
【牛若ノ舞台】Age Factory / THE冠 / SHADOWS / SHANK / Hakubi / LONGMAN
▼7月09日(土)
【源氏ノ舞台】ACIDMAN(出演キャンセル) / The BONEZ / サンボマスター / 10-FEET / Dragon Ash / Vaundy / My Hair is Bad / ROTTENGRAFFTY
【牛若ノ舞台】上江洌.清作&The BK Sounds!! / go!go!vanillas / SHE'll SLEEP / SPARK!!SOUND!!SHOW!! / Dizzy Sunfist / NOISEMAKER
▼7月10日(日)
【源氏ノ舞台】クリープハイプ(出演キャンセル) / Ken Yokoyama / 湘南乃風 / 四星球 / SUPER BEAVER / dustbox / 10-FEET / マキシマム ザ ホルモン
【牛若ノ舞台】KOTORI / Saucy Dog / SHIMA / TETORA / Paledusk / HOTSQUALL
※アーティストは都合により変更になる場合がございます。その際チケット代金の払戻しは行いませんので、予めご了承下さい。
▼チケット料金
1日券 8,778円(税込) /前2日券 17,556円(税込) /後2日券 17,556円(税込)
▼チケットに関するお問い合わせ
(問)インフォメーションセンター(平日のみ)
https://ticket.kyoto-daisakusen.kyoto/contact
▼公演に関するお問い合わせ
(問)サウンドクリエーター https://www.sound-c.co.jp/contact/
電話でのお問い合わせ:06-6357-4400 (月・金12:00~15:00 ※祝日を除く)
【京都大作戦2022 新型コロナウイルス感染症対策について】
「京都大作戦2022」では、新型コロナウイルス感染症の予防と感染拡大防止及び、お客様・出演者・スタッフの安全を確保するべく、感染症対策ガイドラインを定め、対応に最善を尽くして参ります。チケットのご購入ならびにご来場に際しましては、必ずご確認いただき、ご理解・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。(オフィシャルサイト掲載文言抜粋)
京都大作戦2022 新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン:https://kyoto-daisakusen.kyoto/22/guideline/
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