【インタビュー】竹内唯人、さまざまな感情や込められた意志がダイレクトに響く歌声
竹内唯人の真っ直ぐな歌声に何度もハッとさせられた。彼の飾らないリアルな思いが、デジタルシングル「LIFULL(feat.asmi)」とメジャー1stデジタルEP『00』で、そのまま音楽化されていたからだ。昨年リリースした彼の1stミニアルバム『XX』は彼の多彩な魅力が詰まったバラエティに富んだ作品だった。その『XX』からさらに先に進んでいることを示しているのがデジタルシングル「LIFULL(feat.asmi)」とデジタルEP『00』(読み:ゼロゼロ)だろう。彼と同世代のasmiや韻マンとコラボレーションすることで、歌声も歌詞もさらにリアルになっている。これまでは見えなかった彼の素顔がうかがえる曲もある。音楽活動を行っていくうえでの決意表明、彼の兄である竹内涼真への思い、家族や友達への思い、こんな彼女がいたらという想像上の日常などなど、さまざまな感情や意志が込められた歌声がダイレクトに、そしてストレートに届いてくる。このデジタルシングル「LIFULL(feat.asmi)」とメジャー1stデジタルEP『00』について、竹内唯人に聞いた。
■僕が「LIFULL」な状態はゲームをやっている時です
■「LIFULL(feat.asmi)」に出てくるのはマジで今の自分そのものです(笑)
――デジタルシングル「LIFULL(feat.asmi)」をasmiさんと一緒に製作した経緯を教えてください。
竹内唯人:「MIRAI (feat. $HOR1 WINBOY)」を一緒に作った$HOR1とのつながりもインスタがきっかけだったんです。asmiちゃんとのコラボもインスタがきっかけでした。もともとasmiちゃんの曲って、すごくかわいいなあと思っていたんです。それで、こんなかわいい曲を彼女と一緒に作って歌いたいと思い、「次のEPに参加してくれませんか」というメッセージを送ったんです。
――asmiさんの曲のどんなところがかわいいと思ったんですか?
竹内:彼氏っぽい人に向けて歌っている曲があって、リアルなんですが歌詞も彼女の歌声もとてもかわいいんですよ。こういうかわいい感じの曲で、カップルが会話するスタイルにしたら、おもしろいんじゃないかなって思い付きました。
――インスタから直接本人に依頼するオープンなところが唯人さんらしいですね。asmiさんからはどんな反応が返ってきたのですか?
竹内:「ぜひ」とOKしていただきました。asmiちゃんは僕が出演していた『オオカミちゃんには騙されない』を観ていてくれたみたいで、僕のことも知ってくれていたんですよ。asmiちゃんとは友達も知り合いもかぶっていないし、生きている世界が違うから、僕のことを知らないだろうなと思っていたので、うれしかったです。
――曲作りにあたって、リクエストしたことは?
竹内:ほとんどないです。「かわいい曲にしましょう」と言ったくらい。お願いしてからすぐに、asmiちゃんのヴァースがあがってきて、こんな日常会話的なことが歌詞になるのかと驚きました。それで彼女のヴァースに寄せていくという感じで書きました。とはいうものの、僕が書くと、なかなかかわいい感じ、ポップな感じにならなくて苦戦しました。結局、3回くらい書き直して、レコーディングの前日にやっと歌詞を書き終えたんです。
――歌詞を書く際にイメージしたことはありますか?
竹内:自分のヴァースで書いたのは、ゲームばっかりしているそのままの自分のことですね(笑)。もし今の自分に彼女がいたら、こんな感じになるだろうなと想像しながら書きました。Taro Ishidaさんとasmiちゃんがチームとしてやっていて、Taro Ishidaさんが早めにトラックを投げてくれたので、そのトラックとasmiちゃんのヴァースに乗っかりつつ書きました。ただし、内容的にこれまで自分が書いたことのないタイプだったので難しかったです。
――唯人さんはこれまで自分でラブソングの作詞をすることはなかったですものね。
竹内:最初に書いた時、「ちょっと口調が強すぎる」ということを言われました。どうやったら優しい口調になるんだろうって煮詰まっている時に、asmiちゃんが「自分が思っていることを好きに書いてください」と言ってくれたんです。それでちょっと気が楽になって、書き直したのがこの歌詞です。asmiちゃんの力を借りたおかげで、自分にしてはかわいらしい歌詞になりました(笑)。
――書き直したポイントは?
竹内:最初はasmiちゃんと誰かをイメージして書いていたんですが、これは自分とasmiちゃんがもし付き合っていたとしら、ということを想像して書くほうがいいなと判断して書き直しました。
――2コーラス後の大サビの「でも嘘偽りにない」というところからの歌詞は唯人さんらしさが出ていると感じました。
竹内:ここはレコーディングの8、9時間前に書きました。最後の大サビに行くまで、声を出しにくいキーが続く展開だったので、最後はメリハリを付けてグッといきたいと思い、asmiちゃんにお願いしてこの形になりました。最後でやっと竹内唯人っぽい要素が出たという感じですね(笑)。
――ポイントポイントで唯人さんらしさが出てくる展開がいいですよね。かけあいの部分も新鮮でした。asmiさんとのやり取りで印象に残ったことはありますか?
竹内:asmiちゃんが思った以上にasmiちゃんでした(笑)。しゃべり方も雰囲気もそうだし、歌声から想像できるそのままの子だったなって。ふわふわしていて、こんな女の子っているんだなと思いました(笑)。レコーディングも一発で決めるし、素晴らしかったです。
――唯人さんの歌声も優しい感じですよね。
竹内:asmiちゃんの歌声がああいう感じなので、声の出し方でも自然に寄っていくところはあったかもしれないです。
――「LIFULL」というタイトルはどんなところから?
竹内:これもasmiちゃんにお任せして、候補をいろいろ書いてもらいました。この曲で「LIFULL」というタイトルを付けるところがかわいいなと。ロゴも響きもかわいかったので、速攻でこれに決めました。asmiちゃんも「LIFULL」がいいと思っていたようです。
――「LIFULL」って、ライフがフルな状態、満ち足りている状態ということですよね。唯人さんにとって、「LIFULL」な状態というと?
竹内:ゲームをやっている時ですね(笑)。「LIFUL(feat.asmi)L」に出てくるのはマジで今の自分そのものです(笑)。
――「LIFULL(feat.asmi)」に出てくるカップルが、これから先どうなるのかも気になるところです。
竹内:多分、自分の同年代の子たちって、こういう恋愛ばっかりしているんですよ。男がダメで、ゲームばっかりやっていたり、遊んでばっかりだったりで、彼女のことをほったらかしにしているんです。で、彼女は怒るんですが、結局は許しちゃう、みたいな(笑)。
――asmiさんとのコラボレーションをやって感じたことは?
竹内:とても楽しかったですが、緊張しました(笑)。
――「LIFULL(feat.asmi)」を収録したメジャー1stデジタルEP『OO』もリリースになりました。このEPはどんな意識で作った作品ですか?
竹内:「LIFULL(feat.asmi)」と『OO』の製作は同時にやっていたんです。『OO』に「LIFULL(feat.asmi)」を入れたいということを考えていました。それと同時に、韻マンというラッパーと新曲を作ろうという話をしていました。asmiちゃんも韻マンも同い年なんですよ。EPのタイトルの『OO』は、同世代(2000年~2001年生まれ)を表しています。同い年と一緒に作ると、ヴァースで違うことを描いても、最終的には似たことを言っているなってことは感じました。
――同い年だと同じ時期に似た体験をしているでしょうし、人生でも同じような時期に差しかかっている同士ですものね。
竹内:韻マンと一緒に作った「I GOTTA SAY」も、結局は同じようなことを歌っているんですよ。アーティストになったきっかけは違いますが、意識として似たところがあると感じていました。
――それは仲間に対する意識みたいなことですか?
竹内:そうですね。韻マンと昔の話をしていると、家族との関係や友達との関係が似ているんです。だから曲を書いていて、お互いに「その歌詞、わかる」「すごくいいね」って言い合っていました。韻マンとはプライベートでも頻繁に会っていますし、「I GOTTA SAY」を作るのもメチャクチャ早かったです。
――「I GOTTA SAY」を作る時、韻マンさんと何か話し合ったのですか?
竹内:最初にGRPさんにトラックを作ってもらって、お互いにそのトラックを聴いて、韻マンが「泥臭さを出そうよ」と提案してきたんです。それで、これまでの人生で思っていたことと今思っていることをそれぞれ書きました。フックを一緒に作って、それぞれのヴォースは各自作るという流れですね。フック→韻マンのヴァース→フックという構成になっていて、フックは一緒なんですが、韻マンのヴァースの後だと、フックが違った意味に聞こえてくるんですよ。そこもすごく良いなあと思いました。ストレートだし、韻の踏み方もきれいだし、最後の落とし方も良いので、聴いていて、すーっと入ってきました。
――冒頭の歌詞で、“正直になれない夜”“変えてくれた様に”というフレーズがあります。これは唯人さん自身のことですか。
竹内:そうです。韻マンと会って一緒に曲を作るようになってから、自分の中で歌詞の書き方が変わったんです。
――どのように変わったのですか?
竹内:歌詞をストレートに書くようになりました。韻マンは、歌詞をとてもストレートに書くんです。僕の家に宅録の機材があるので、韻マンがよく遊びにきてレコーディングしているんですね。そういう時にいろいろ話をして、自分自身の音楽の考え方が変わりました。自分の思っていることや感じていることをストレートに表現すべきだなと思うようになったんです。
――1stミニアルバム『XX』でも「Roar」や「XX」など、思いがストレートに届いてくる曲が収録されていました。
竹内:韻マンと会ってから作った曲なんですよ。なので、僕の音楽にとって韻マンはキーマンですね。
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