【ライブレポート】SUPER★DRAGON、アップデートした姿を提示した<-F2F->最終公演
SUPER★DRAGONがワンマンツアー<SUPER★DRAGON LIVE TOUR 2022 -F2F->の最終公演を4月23日に東京・Zepp DiverCity(TOKYO)で開催した。
◆ライブ写真
今回のツアーでは全国4会場8公演を実施。最終公演のレポートをお届けする。
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SUPER★DRAGONのワンマンツアー<SUPER★DRAGON LIVE TOUR 2022 -F2F->の最終公演が、4月23日に東京・Zepp DiverCity(TOKYO)で行われた。新型コロナウイルスの影響を受け宮城・北海道公演は中止となってしまったが、そこへ詰めこもうとしていた想いも全部連れて全国4会場8公演を走り切ったのである。
495日ぶりの有観客ライブとなった<NEO CYBER CITY -ネオサイバーシティ->やライブツアー<SIX DAY>は、ストーリー性の強いドラマ仕立ての内容であったが、今回の<F2F>では楽曲を通して9人の個性とスキルを魅せつけるステージを構築。4thアルバム『Force to Forth』が今までのSUPER★DRAGONをブラッシュアップした名刺代わりとなる作品だったように、同作を引っ提げたライブでも彼らのアップデートした姿をオーディエンスに提示したのだ。
ともすると、「これがメインテーマだ」と言わんばかりに『Force to Forth』の楽曲が冒頭を飾ってもおかしくないだろう。しかし、そんな当たり前を裏切るように、1stアルバム『1st Impact』に収録されている「hide-and-seek」をオープニングに投下。キャリア初期からやっているナンバーをド頭に持ってくることにより、「これが進化を重ねてきた今のSUPER★DRAGONだ」と早々に強烈なインパクトを与える。縦幅が限られた壇上のステージにも関わらず、9人のパフォーマンスはダイナミック。人差し指を唇に当てシーッとする振付では、脳天直撃の色気が観客を射抜いた。
メロコアサウンドの「BADASS」で階段をかけおり、勢いのままラテン調の「La Vida Loca」へ。フラメンコを想起させる情熱的なダンスは、SUPER★DRAGONの新たな魅力を開花させたといってもいいだろう。一体感あるステップとクセの強いトラックが、会場の視線をより一層引きずりこんでいく。「PANDORA」では静と動のメリハリあるモーションで魅了。出だしからノンストップのパフォーマンスを展開していった。
EDMサウンドに乗せ、クルクルとフォーメーションダンスを繰り広げたのは「Pioneer (Keep It Real)」だ。ステージ上のメンバーが2人、3人、9人と増えていくごとに、楽曲もグッと華やかに。池田彪馬の柔らかな高音はエレクトロな音と重なり、異質な響きを魅せていた。
メロコア、ラテン、EDMと駆け抜けるようにパフォーマンスを繰り広げてきたSUPER★DRAGON。自己紹介を挟み一呼吸を置くと、幻想的な雰囲気の「love or like (TOKYO) w/Anatomy Rabbit」を導いた。降り積もるように紡がれる愛の言葉、メンバー同士の絡みが印象的なコレオグラフ、ポップかつノスタルジーなサウンド。海外へ活躍の幅を広げる願いもこめて作られた1曲は、9人の可能性が世にいうミクスチャーだけでないことを舞台上でも色濃く映し出す。
どんなジャンル、どんなエッセンスとも柔軟に混ざりあい、SUPER★DRAGONの色に染め上げてしまうのは間違いなく彼らの強さだ。「Don’t Let Me Down」では後ろ向きで交差する巧みなフォーメーションチェンジも難なくこなし、スキルと高さとチームワークの良さをサラッと見せつけた。
ファイヤードラゴン・サンダードラゴンという年齢的なチームにとどまらず、多彩な魅せ方ができることを誇示したのは次の2曲だろう。古川毅と彪馬がお互いの存在を感じ合いながら歌声を響かせる「Remedy For Love」、UKドリルに乗せて松村和哉・田中洸希・ジャン海渡のエッジなフロウが刻まれる「2U」。さらに、志村玲於・飯島颯・伊藤壮吾・柴崎楽による個性も滲みながら一体感のあるダンスパート。各々の強みを活かしたパフォーマンスは、この7年で個々が確実にパワーアップしたことを強く物語っていた。
再び全員集合すると、SUPER★DRAGONとBLUE(SUPER★DRAGONファンの呼称)を繋ぐナンバーである「Purple Moon」へ。だんだんとメンバーが増えていくサビのコレオグラフは、コロナ禍で離ればなれになっていた9人が一人また一人と集まっていくよう。そして「いつだって届いていた、どこにも置き去りにしない」と声高らかに告げる。真っ赤に燃える激情を煌めかせ、さらなるブーストをかけるべく「LRL-Left Right Left-」を投入。メンバーと共にサイリウムが左右へ揺れる光景は、BLUEもいるからこそライブは作り上げられるのだと謳っていた。
和哉はMCで「9人がいてBLUEのみんながいてくれたらSUPER★DRAGONはなくならないんだろうね。変わるのは、変わらないため」と口にすると、覚悟と決意の歌である「X」を導いた。“いろんなものが混ざり合う”をテーマとした1曲は、彼らがずっと向き合ってきたミクスチャーを再解釈した「Burning in the nights」のアフターソング。ノリのいいアップテンポなイントロに、怪しげな雰囲気の漂うラップパート、すべてをまとめ上げるアウトロのアカペラ。複雑に要素は絡み合い、今の9人だからこそ生み出せた情景を魅せる。7年という月日は、ミクスチャーという型に自分をはめるのではなく、SUPER★DRAGONという媒体を通してニューミクスチャーを生み出す地点までたどりつかせていた。
続く「Welcome to my hell」でも、培ってきた経験やスキルを遺憾なく発揮し、妖しくも艶やかな世界観を演出。たった1曲でミュージカルを見ているような満足感を与えた。
サイケデリックなサウンドの「Set It Off」をきっかけに、いよいよライブもラストスパートだ。中間部のブレイクでは少人数ごとに迫力あるダンスを繰り広げ、玲於にいたってはアクロバットも披露。スーツからスエットに衣装チェンジしたメンバーは、どこにそんなパワーを隠していたのかと不思議になるほど超身軽である。リズミカルにステップを踏み、“踊れるスパドラ”を魅せつけた。
洸希のシャウトが炸裂する「Shut Up, Shout Out」、タオルがクルクルと天を舞う「Dragonfly」、ショットガンのような振りに撃ち抜かれる「Untouchable MAX」と、一時だって熱を絶やさぬステージが続く。このまま最後まで全速力で駆け抜けるのかと思われたが、そこは楽曲の幅が広くメリハリで魅せるSUPER★DRAGON。気だるいヒップホップナンバーの「Bad Day」により、留まることなくぶちあがっていた熱気をフッとほどいた。ダンスメンバー主導で作り上げたコレオグラフは、パントマイムも取り入れたポップな振付もあり、緩さのなかにかっこよさが宿りキメすぎないセンスの良さが光る。
様々なジャンルを横断し、SUPER★DRAGONのニューミクスチャーを魅せてきたステージもとうとうラストナンバー。本編最後の曲として選ばれたのは、彼らにとって初となるバラードの「-Tweedia-」だ。横一列に並びフォーメーションチェンジを一度もすることなく手振りだけで魅せる演出は、シンプルだからこそ、とてつもなく情報量が多い。言葉ひとつひとつに想いを乗せバトンを渡すように丁寧に歌いつぎ、些細なモーションにも願いや祈りを宿す。どれだけ大切にこの曲を届けているかということは、瞳を潤ませた9人の表情を見れば一目瞭然。スキルを魅せるだけでなく、まっすぐな心までも包み隠さず見せ、<F2F>の幕を下ろした。
ほぼ休む間もなくパフォーマンスをしてきたメンバーだが、彼らの勢いはまだまだ止まらない。新たなSUPER★DRAGONの可能性を提示するきっかけとなった「君は1000%(Vantage Remix)」をきっかけにアンコールを展開していく。本編が終わって緊張の糸が切れたのか、笑顔なシーンが多く終始リラックスムードな9人。壮吾とジャンは踊りながらも楽しそうにアイコンタクトを取っていた。
MCでも穏やかで柔らかな時間は続く。電車のアナウンスをやるように振られた壮吾が「僕といえば、聞いてください」と曲紹介のような発言をして笑いを誘ったり、前日に公開されたセルフライナーノーツの裏話を毅が話したり、玲於が髪のカラーが顔について真っ赤になっているといじられたり。毅は「こんな仲良しのグループは他にない」と自称していたが、その言葉が心から出ていたことを想像させるには十分すぎる時間だった。
「Distance」ではオーディエンスと一体感ある空気を作りだし、「BROTHERHOOD」では残りのパワーを使い切り全身全霊ではっちゃける。どんな楽曲もSUPER★DRAGON色に染め上げ、全22曲を完走したのだった。
インパクトで勝負し、感情に訴えかけ、個性を磨き上げてきたSUPER★DRAGON。今の彼らは、さらに前へ進むべく自らを通してニューミクスチャーの新たな可能性を探っているといえるだろう。色を集める時期を超え黒に染まり、赤い炎を心に灯しながらBLUEとともに夢を追いかけるのだ。
5月11日には新曲「Brand New Music」のリリースが決まっている。9人がどんな可能性を魅せてくれるのか、今から楽しみでならない。
文◎坂井彩花
写真◎米山三郎
■公演情報
2022年4月23日(土)東京・Zepp DiverCity(TOKYO)
[セットリスト]
M1 hide-and-seek
M2 BADASS
M3 La Vida Loca
M4 PANDORA
M5 Pioneer
M6 love or like (TOKYO) w/Anatomy Rabbit
M7 1部:Bring Back
2部:Don’t Let Me Down
M8 Remedy For Love
M9 2U
M10 Purple Moon
M11 LRL -Left Right Left-
M12 X
M13 Welcome to my hell
M14 Set It Off
M15 Shut up,Shout out
M16 Dragonfly
M17 Untouchable Max
M18 Bad Day
M19 -Tweedia-
ENC1 君は1000%(Vantage Remix)
ENC2 1部:SOUL FLAG
2部:Distance
ENC3 2部のみ:BROTHERHOOD
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