【レポート】「COREMANIA(R)」第3弾、奥田民生×BiSH「他者に大きく訴える力を秘めた音楽を生み出している点こそが、両者の共通点ではないだろうか」
過去2回、いずれも興味深い“対バン”を実現してきた“対バン型ミュージックリアリティショー”「COREMANIA(R)」。第3弾は奥田民生とBiSHという、世代も性別も音楽性も異なる意外性抜群の組み合わせとなった。ある意味、最も興味深い対バンと言えるかもしれない。観ている側が“いったいなぜ?”と戸惑っている以上に、両者……特に奥田には戸惑いがあるようで、その様子はオープニングトークでも明らかだった。
◆「COREMANIA(R)」第3弾、奥田民生×BiSH 関連動画&画像
■仲間だと思ってください■バンドメンバーだと思って(BiSH)
オープニング映像が終わると、BiSHの6人がテーブルにつき、まずは奥田について語り合っている。モモコグミカンパニーが「大人の落ち着いた男性というイメージ」と語ると、セントチヒロ・チッチが「自由なイメージがある」と付け加える。その意見に全員が共感していると、奥田が現れた。そしてチッチに「何か飲まれますか?」と尋ねられ、奥田は「いつものやつ」と、ジョークで返すが、お互い探り探りといった雰囲気なので、大きな盛り上がりにはつながらず……。奥田は「今日、本当にビビっているんですよ」と正直に告白。本心を聴いたBiSHの面々は、自分たちが盛り上げなくてはと感じたようで、「(私たちが)一緒にいます!」「仲間だと思ってください。バンドメンバーだと思って」と励ましモードに。そんな不器用な距離の詰め方が、なんだか微笑ましかった。そして、モモコグミカンパニーが「今日は共通点を見つけ出したいよね」と話をまとめる。果たして、演奏が終わった時には、両者は共通点を見出しているのだろうか?
などと考えていると、BiSHがテーブル席を離れてフロアへ。6人が所定の位置へつくと「オーケストラ」が始まり、いよいよ彼女たちのパフォーマンスが始まった。これまでの「COREMANIA(R)」では、通常のステージとは異なり、イスに座って演奏していた。それが新鮮でもあったのだが、彼女たちはフロアで振付を交えて、普段同様にフォーメーションを変えながら華やかなパフォーマンスを見せてくれた。違いと言えば、やはり奥田の存在だろう。奥田はバーカウンターに陣取り、飲みながらパフォーマンスを眺めている。メンバーがチラチラと奥田に視線を向けると、奥田、照れくさそうにうつむいていたが、最後のBiSHポーズは、6人が目で訴えていたこともあり、奥田も一緒になってポーズ。やはり照れくさそうではあったが、彼女たちの思いに一生懸命応えていた。
奥田に「この角度で観られるの、やり辛いでしょ(笑)」と聞かれると、6人は口々に「チラチラみちゃいました」「みんなちょっとニヤニヤしてました」「保護者会みたいだった」「リハーサルでもこの距離に誰かがいることってないです」と感想を吐露。BiSHにしても、たった1人に間近で見つめられるという状況はやはり特殊だったようだ。しかしながら、いつもとは違う状況でパフォーマンスするというのも、「COREMANIA(R)」も見どころの1つだろう。
■メンバーはこういう風に
■間近では見ないです(笑)(奥田)
続いて、フロアにある大きなソファに座った奥田の演奏へ。BiSHのメンバーはそれぞれにイスに座り、今度は間近で奥田の演奏を見つけることに。「メンバーだと思って!」とBiSHから改めて声がかかると、「メンバーはこういう風に(間近で)は見ないです(笑)」と苦笑い。「みなさん、見学していてください」と前置きして、まずは「イージュー☆ライダー」へ。ここまで終始所在なさげな奥田だったが、アコースティック・ギターをかき鳴らすと一変。堂々と力強く歌い上げる姿には、さすがと唸らされた。
中盤ではBiSHがユニコーンの「大迷惑」をオマージュしたという「社会のルール」を披露。すると、奥田がの返礼の意を込めて、「大迷惑」を演奏。「いつもはハンドマイクで歌っている」というこの曲をビンテージと思われるリズムボックスのビートに乗せて、エレクトリック・ギターで弾き語るという、他では見られない名場面が生まれ、さらには両者のコラボレートも実現。「女子の曲も作ったことがあるので」ということで奥田がパフィーに提供した「アジアの純真」を一緒に歌うことに。奥田のギター(とリズムボックス)に合わせて、6人が歌い紡ぐ。最後は奥田が引き継ぎ、サビでは7人の声が重なっていく。ここにきて大きな一体感が生まれ、両者の距離もグッと縮まっていったように見えた。
さらに、「もしBiSHに加入したら、どんな名前に?」という話から、「カレーたみゅたみゅ」という奥田のBiSHネームが決定し、さらに和やかな雰囲気が生まれる中、BiSHが「BiSH -星が瞬く夜に-」を、今度は6人それぞれが思い思いの場所で歌い踊る。奥田のそばに寄ってきたり、マラカスを振るように促したりと、6人はフロアを自由に動きながら楽しそうにパフォーマンスを繰り広げていく。さらには、奥田を強引に振付に参加させ、最後は6人で奥田を取り囲むようにして歌い上げて締めくくった。
BiSHはすごく楽しそうだったが、奥田民生はまたもや困惑気味。経験豊富なベテランも天真爛漫な彼女たちの前では、ドギマギしっぱなし……こんな姿も、他では見られない貴重な場面だろう。「もう帰りたい」などと愚痴り気味であったが、最後は奥田がアコースティック・ギターで「愛のために」を大熱唱。「この後に歌うなんて……」とミュージシャンモードには戻りづらそうな様子だったのに、ギターをかき鳴らすと一瞬でミュージシャンの顔を取り戻す。やはり、その歌声は圧巻であった。ほぼ接点がなく、世代も違う両者であったが、奥田の歌が持つ力は、そんなことは一切関係なくしてしまうような、説得力に溢れていた。同様にBiSHのパフォーマンスも、奥田を巻き込むほどの力に溢れており、そんな他者に大きく訴える力を秘めた音楽を生み出している点こそが、両者の共通点ではないだろうか。
終演後は、恒例のアフタートークも。奥田にBiSHの6人が質問する形で話が進み、奥田は、作曲の方法から恋愛観についてまでを語った。こちらも、普段はあまり聞けない話が飛び出しているので、今回も最後まで必見である。
文・竹内伸一
■『COREMANIA EPISODE #03「奥田民生×BiSH」』
視聴チケット販売:2022年4月16日(土)23:00まで
(視聴チケット購入時から7日間見放題。)
視聴チケット価格:¥1,980(税込)
URL:https://coremania.tokyo/events/deTYEydZWjzUBJd
※「チケットぴあ」で予約して、全国のセブンイレブンで決済可能
URL:https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2299609
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