【インタビュー】ヤユヨ、彼女たちの今と今後の活躍を予感させてくれる初フルアルバム『日日爛漫』

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2019年1月のバンド結成から間もなくして発表された「さよなら前夜」が話題となり、同曲のMVは170万回に迫る勢いで再生されているヤユヨ。ジャンルに縛られず、何よりもまず音楽を楽しみながら自分たちの愛する音を鳴らし続けている彼女たちが、いよいよ初のフルアルバム『日日爛漫』をリリースする。モノローグのようでありながら、気がつけば自分の日常に重ねながら聴いている歌詞。ライブハウスはもちろん、例えばカラオケや誰かのイヤフォンの中であっても、4人の存在や呼吸感をちゃんと感じられる音。出し惜しみすることなく詰め込んだヤユヨの今と、さらなる活躍を予感させてくれる作品だ。

■自分たちがやって楽しくないと意味がない
■それぞれがやりたい音楽を優先して作っていけたらいい


──3月9日に1stフルアルバム『日日爛漫』がリリースされます。完成した今の気持ちを聞かせてください。

リコ:達成感、ですね。今回は初めてのフルアルバム、しかも15曲入っているんですが、早く皆さんに全部聴いてもらいたいなって、めちゃくちゃウズウズしています。

──コロナ禍での制作だったと思いますが、作業的にはどうでしたか?

ぺっぺ:計画的にやっていました。ベースのはなが実習に入ることもわかっていたので、去年の8月くらいにはもう完成していましたし。

すーちゃん:出来上がった時は(リリースは)まだまだ先だと思っていたんですけど、今となったら早かった(笑)。


──皆さん大阪在住ということですが、レコーディングも大阪で?

リコ:東京です。バンドを結成して間もない頃にレーベルと事務所の方と連絡を取るようになったので、それもあって、ずっと東京でレコーディングしています。

──結成は2019年ということですが、ライブやリリースなども精力的でかなりハイペースな印象を受けます。しかも4人の空気感がすごくよくて、きっと集まるべくして集まったんだろうなと感じているのですが、もともとは高校の同級生だそうですね。

リコ:はい。みんな軽音楽部でした。

ぺっぺ:だからもう、かれこれ7~8年は一緒。地元の子よりもメンバーの方が一緒にいるので、それがこれからも続くと思うと、友達なのか何なのかみたいな気もしますけれど(笑)。

すーちゃん:確かに、もう友達では括れないかな。わざわざプライベートで会って遊ぼうとはならないくらい会っているし(笑)。でも私は最初、他の3人よりもあまり「音楽がしたい!」という感じではなかったからサポートでやらせてもらっていたんです。だからなるべくしてなったって言われると、ちょっと意外な気もする(笑)。

ぺっぺ:他のバンドと違うなって思うのは、音楽をするために集まったわけじゃないんです。最初の出会いっていうのがそもそも学校が一緒でってところだったわけで、別に「音楽をしましょう」って集ったバンドじゃないんですよね。日常として必要な学校というものがあって、そこでまずは出会って、部活っていうところに入ってっていう風に始まっているので、音楽以外の部分がお互い見えているし、音楽をしている以外の姿をたぶん他のバンドの人たちよりは知っているというか。友達との過ごし方とか、どういう子と遊んでいたとか、授業中の態度とか(笑)。そういうところからどんどん構築されて来たから、まとまっているように見えてんのかなって思いますね。


▲リコ (Vo,Gt)

──リコさんはもともと歌が好きで軽音楽部に?

リコ:私、入学当初は帰宅部でバイトをしていたんです。でも小学生の頃から、将来的に音楽活動をしたいな、歌手になりたいなっていう淡い夢みたいなものはあって。小学生の頃はずっとダンスをやっていたし、高校もダンスの強豪校だったからやろうかなとも思っていたけど、何故か自分の中でパッとしなかったんですね。何かやりたいなというのは心のどこかにあったけど、勇気が出なくてひとりで勝手にウズウズしていた(笑)。で、ある日クラスで仲良くなったぺっぺとカラオケに行ったら、私の歌を聴いて「軽音楽部に入ったら?」って言ってくれたんです。

──その時は何を歌っていたのか覚えてます?

リコ:aikoさんの「花火」とかいろいろ。カラオケはすごく好きで、友達とかともよく行っていました。お母さんと行くことも多くて、DREAMS COME TRUEとか、山口百恵さんや(松田)聖子ちゃんのような歌謡曲もすごく好き。一青窈さんの「ハナミズキ」やHYとか、いわゆるカラオケの定番曲みたいなものからバンドの曲まで幅広く歌いますね。

──ぺっぺさんは何を歌ったんですか?

ぺっぺ:私、その時歌った覚えがないんです(笑)。行こうってなったから行っただけで、別に歌いたいとかじゃなかったから。だからこそ、歌えるリコにその瞬間惹かれたというか。普段はただのクラスの中の1人なのに、その瞬間だけ別人に見えたみたいな。その声にも惹かれたし、一瞬で絶対軽音楽部に引き込んだろと思った(笑)。


▲すーちゃん (Dr,Cho)

──すごいドラマチックな瞬間じゃないですか!ちなみにすーちゃん、カラオケは?

すーちゃん:歌うのは好きだけど、そんなに行かないので。

リコ:すーちゃん、めっちゃ歌うまい。何度か2人でカラオケに行ったことがあるんですけど、RADWIMPSや米津玄師さん、あとは速い曲とかも普通に歌える人です。一番上手いのは、鬼束ちひろさんの「月光」。

すーちゃん:え、歌ったことある(笑)?

リコ:歌ってた、歌ってた(笑)。

──(笑)。その後、じゃあバンドをやろうって決めたのはどういう経緯で?

ぺっぺ:大学に入って、私はサークルには入ってなかったから、すーちゃんとはなを呼んで、暇な時間にスタジオに入って趣味みたいな感じでやっていたんです。そしたらある日リコが「音楽したい」って来たんで、じゃあ本格的にやるならやろうやってことで、4人でやることになりました。

リコ:私は私で学生生活送りながら、サークルにちょっと入ってみたりしていたけど、なんか足りないな、バンドしたいな、音楽活動したいなっていうのがあったから、思い切って電話して会いに行ったんです。


▲ぺっぺ (Gt,Cho)

──バンド名の「ヤユヨ」って、海外の方もすごく興味を示しそうな日本語ですよね。

ぺっぺ:私の中では逆に日本人向けのイメージがすごく強いんです。日本で活動していることに誇りを持ちたかったというのが私の意図で。日本人にしか考えられない語感ってなにかなって考えた時に、やっぱり五十音だと。オリジナリティーもあるし、日本らしさも出るから、五十音の中で目に止まった「ヤユヨ」とかどうかなって言ったら、リコ以外は反応が良かった(笑)。

リコ:ちょっと思っていたのと違うなって(笑)。今は、ヤユヨ以外考えられないけど。

ぺっぺ:最初は、とりあえず1年やってみて嫌やったらやめよって言っていた(笑)。気に喰わなかったら変えようみたいな感じで言われてたけど、まぁそんなことならんやろと思いながら(笑)。私の中ではさっき言った理由もそうだし、フェスとかでいろいろなアーティスト名が並んだ時にどう考えても日本人が一番覚えられる言葉じゃないですか。どんな言葉よりも覚えやすいし、しかもカタカナ、ひらがな、ローマ字、どれにしても可愛い。まぁ、リコが何か言って来ても全部ひっくり返せるやろなと思っていました(笑)。

リコ:こわ(笑)!

ぺっぺ:だって最初、“パンティーズ”は?とか言っていたんですよ(笑)。(破裂音/半濁音の)「パピプペポ」を使いたいっていう意図は分かったんですけど、それはないでしょと(笑)。

リコ:ちょっとガールズバンドっぽいかなと思って。

ぺっぺ:グッズとか、全部パンツのモチーフになりそうじゃないですか(笑)。

──バンド名って大事(笑)。では、このバンドでどんな曲でやっていくかとかそういうところについては?

リコ:こういう方向性で、みたいなのはあまり考えてなかったよね?

ぺっぺ:バンドを組んだ時から<音楽は楽しくてやるもんだよね>っていうのが4人の共通の意識としてあって。じゃあ自分たちがやる音楽も、自分たちがやって楽しくないと意味ないよねっていうのがあったんで、何かテーマを決めて、モチーフを決めて、こういう感じにしていこう!というよりは、それぞれがそれぞれのやりたい音楽をその時その時優先して作っていけたらいいねみたいな話をしました。統一されたものというよりは、自分たちが楽しいというのが前提。自分たちがやりたい音楽というのを、話しながら作って来たっていう感じです。

──だから曲に関しては作り手の思いを優先しつつ、アレンジは4人全員でやると。

ぺっぺ:そうですね。アレンジはそれぞれ一度家で考えて、スタジオで集まった時に考えて来たものを合わせます。そこで合わせる音って、自分たちそれぞれが一番やりたい音じゃないですか。でも、そこでもし違っていたら言い合う。私はこういうイメージがある、私はこう、じゃあすり合わせてお互いが生きるような方向に持って行こうっていう感じです。徐々になんとなく合わせるというよりは、それぞれがちゃんと自分がやりたいことを持った上ですり合わせていくというやり方ですね。

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