【インタビュー+機材紹介】五味孝氏が語る、T-BOLANサウンドの変わらぬ本質「より血の通った音楽に」
■1990年代のT-BOLANと今のT-BOLAN
■ライブではそこをどう融合させようかな
──続いて、レコーディング使用アンプについて。
五味:アンプは基本的にフェンダーです。ライブでは絶対にマーシャルの1959だけど、レコーディングではコンボアンプのほうがいいんですよ。今回は1966年製のツインリバーブ、プリンストンリバーブ、それにFAT3を使いました。あとはマッチレス。マッチレスはBeingスタジオのアンプで、評価の高い1990年代のマッチレスをスタジオが何台か導入していたんです。そのアンプがいまだにスタジオにあって、“これは使うしかない”という。マッチレスはフェンダーよりもホットでVOX寄りの音がしますよね。
──よりソリッドだったり、オシャレにいきたいときなどはマッチレスは最適ですよね。それに1990年代当時のレコーディングにも使用していたダンカンとマッチレスの組み合わせを今、再び聴くことができるというのもファンには嬉しいと思います。では、エフェクターはどんなものを使われましたか?
五味:まずはフルトーンのOCD (オーバードライブ)、Y.O.S.ギター工房製Smoggy Overdrive (オーバードライブ)ですね。あとは、イデア・サウンド・プロダクトのRTX (ディストーション)。RTXって製品名はRATを表していて、要はRATの現代的解釈モデル。それに、Vemuram Jan Ray (オーバードライブ)をプリアンプ替わりに通して録った曲もありました。
▲BOSS RE-20 SPACE ECHO/strymon FLINT
写真左は1974年にRolandから発表されたRE-201 SPCE ECHOのサウンドを現代に復活させたモデル。デジタルモデリング技術COSMによりエコーサウンドを忠実に再現したほか、新しい機能も追加。「僕はデジタルよりもアナログディレイの音のほうが好きなんですよ。これはタップ機能も備えているんです。エクスプレッションペダルを繋げられるので、エコーのボリュームだけをペダル操作しています」。
写真右はstrymonのトレモロ/リバーブ。ヴィンテージアンプに内蔵されていたトレモロ回路をモチーフに、ハーモニックトレモロ/パワーチューブトレモロ/フォトセルトレモロという3パターンのモードを搭載。2ndファンクションコントロールはトレモロとリバーブのブースト/カット(±3dB)やトレモロリバーブの接続順の入れ替えもできる。「Crazy Me Crazy U」ではマッチレスと本機を組み合わせた音色を聴くことが可能だ。
──歪み系のエフェクターも細やかに使い分けているんですね。空間系エフェクターは?
五味:そんなに多用していないけど、テープエコーの名品コピーキャットを使っている場面がありますね。テープエコーを通していることがはっきりわかるのは「俺たちのストーリー」。“これ、どこかのサンプルを抜いてきたんでしょう?”みたいな音かもしれないけど、ギターソロの終わりで音が発信してピッチが下がっていくのがコピーキャットです。あとは、BOSSのSPACE ECHOとかストライモンのFLINT(トレモロ/リバーブ)。トレモロは基本的にフェンダーアンプに付いているものを使うんですけど、マッチレスはトレモロが付いていないじゃないですか。だから、マッチレスでトレモロサウンドを出したいときは、これを引っ張り出すという。
──普段はアンプの内蔵トレモロを使われているというのはシブいですね。
五味:フェンダーアンプをレコーディングで使っている理由の半分以上がトレモロを使いたいたいから、みたいなところもあるからね(笑)。
▲WATKINS COPICAT/DigiTech Whammy Pedal
写真左は1950年代後半にイギリスで製造されたテープエコーの代表的モデル。ジミ・ヘンドリックスやロバート・フリップ、Charなどが使用していたほか、リッチー・ブラックモアなどは、原音をブーストさせる構造を活かした音作りをしていたことが有名で、五味も同様の使い方をしている。「昔から持っていて、事ある毎に使おうとしていたけど、通すといなたくなるんです。でも、ボリュームを上手く調整すると少し歪みが増えて、いなたくなり過ぎない」。
写真右のワーミーはペダル操作により音程を自由自在に変化させることができるエフェクター。アームレスギターでアーミングのようなプレイが行えることにプラスして、ハーモナイザーとしても使用することができる。五味が所有しているのは1989年に発売された初代ワーミーペダルで、現行モデル以上にファットでウォームなサウンドが特徴。「Re:I」ではストラトキャスターのアーミングとワーミーのピッチベンドの両方を活かした。
──さて、『愛の爆弾=CHERISH ~アインシュタインからの伝言~』は良質な楽曲やギタープレイが詰め込まれていて、T-BOLANの新たな顔にも触れられる必聴の一作になりました。さらに、アルバムのリリースに加えて、4月から全国ツアーを行うこともアナウンスされています。
五味:ツアーは今、森友と構想を話しているくらいの段階なので、全体像は完全には見えていないんです。もちろん『愛の爆弾=CHERISH ~アインシュタインからの伝言~』を携えたツアーなのでアルバムの曲がメインにはなるけど、1990年代のT-BOLANもT-BOLANであることは間違いない。だから、そこをどう上手く融合させようかなというのはありますね。
──それはファンにとっては嬉しいと思います。
五味:ただ一番イヤなのが、お客さんが新曲を普通に聴いてくれてて、古い曲が始まった途端に“イェーッ!”って盛り上がるパターン(笑)。かといって、「ここから新曲をやります」みたいにコーナー分けしてしまうと、ライブトータルとして損してしまう。昔の曲と新曲を、どうやって溶け込ませようかなというのはすごく考えますね。
──大ヒット曲を過去に幾つも持っているアーティストならではの羨ましい悩みかもしれません。
五味:まぁ、ツアーが始まった段階ではそれがあまり上手くいかなかったとしても、ライブを重ねていく中で見えてくるものがあると思うんですよ。ツアーを通してライブ1本1本が変わっていくだろうから、会場に来ることができる人は、ぜひ何度か足を運んでほしいですね。全公演来てもらったとしても、毎回新鮮さを感じてもらえると思います。
取材・文◎村上孝之
撮影◎野村雄治(機材)
■6thオリジナルアルバム『愛の爆弾=CHERISH ~アインシュタインからの伝言~』
【初回生産限定豪華盤(CD+プレミアムアイテム)】T-BOLAN 30th Anniversary SPECIAL EDITION(初回生産限定メモリアルパッケージ) シリアル番号付き JBCZ-9127 ¥16,500(税込)
▼プレミアムアイテム
・シリアルNo.カード(No.メンバー直筆)
・T-BOLAN 30th Anniversary フォトブック(A4サイズ・全40ページ)
・アートデザインポスター(B3サイズ・四つ折り)
・メンバープリントサイン入りフォトカード
・A4サイズ専用BOX仕様
※ファンクラブ会員限定豪華盤には、こちらにプラスして90年代のファンクラブ会報VOL.001(復刻版)付
【通常盤(CD)】JBCZ-9128 ¥3,300(税込)
▼CD収録曲 ※豪華盤/通常盤共通
01 .A BRA CADA BRA ~道標~
作詞:森友嵐士 作曲:森友嵐士/五味孝氏 編曲:五味孝氏
02. NO CONTROL ~警告~
作詞:森友嵐士 作曲:大島こうすけ 編曲:大島こうすけ
03. 愛の爆弾=CHERISH ~アインシュタインからの伝言~
作詞:森友嵐士 作曲:五味孝氏 編曲:五味孝氏
04. ずっと君を
作詞:森友嵐士 作曲:森友嵐士 編曲:葉山たけし/T-BOLAN
05. 祈りの空
作詞:森友嵐士 作曲:森友嵐士 編曲:小島良喜
06. 京恋唄
作詞:森友嵐士 作曲:森友嵐士 編曲:池田大介(倉田信雄[Pf]/四家卯大(Vc))
※石川さゆり提供曲/セルフカバー
07. Re:I
作詞:森友嵐士 作曲:五味孝氏 編曲:T-BOLAN
※石ノ森章太郎生誕80周年記念サイボーグ009コラボソング
08. 俺たちのストーリー
作詞:森友嵐士 作曲:五味孝氏 編曲:T-BOLAN
※Amazon Prime Videoオリジナルドラマ『湘南純愛組!』/関西テレビ『湘南純愛組!鎌倉の狂犬編』オープニング曲
09. ひとつの空 -no rain no rainbow-
作詞:森友嵐士 作曲:五味孝氏/森友嵐士 編曲:T-BOLAN(池田大介[St])
※映画『ひとつの空』主題歌
10. 声なき声がきこえる
作詞:近藤房之助 作曲:森友嵐士 編曲:増崎孝司
※B.B.クィーンズ提供曲/セルフカバー
11. Crazy Me Crazy U
作詞:森友嵐士 作曲:森友嵐士 編曲:T-BOLAN
12. My life is My way 2020
作詞:森友嵐士 作曲:森友嵐士 編曲:T-BOLAN
※Amazon Prime Videoオリジナルドラマ『湘南純愛組!』/ 関西テレビ『湘南純愛組!鎌倉の狂犬編』主題歌)
13. ありがとうのうた ~あいのたね~
作詞:森友嵐士 作曲:森友嵐士 編曲:五味孝氏
※“#ありがとうのうたプロジェクト”/フリー音源
■<『愛の爆弾 PROJECT♡MESSAGE FROM アインシュタイン』LIVE TOUR 2022>
4月23日(土) 京都・舞鶴市総合文化会館 大ホール
5月01日(日) 神奈川・神奈川県民ホール
※ツアースケジュールは今後も随時発表
関連リンク
◆T-BOLAN オフィシャルFacebook
◆T-BOLAN オフィシャルYouTubeチャンネル
◆T-BOLAN オフィシャルFC “TEARS INFORMATION”
◆インタビュー【3】へ戻る
◆インタビュー【1】へ戻る
この記事の関連情報
【ライブレポート】T-BOLAN、シングルベストツアーの千秋楽で「“できるかできないか”ではなく“やりたいかやりたくないか”」
T-BOLANのメンバーと一緒のステージで歌えるチャンス、大好評実施中
T-BOLAN、初のシングルベストツアーが埼玉で開幕
T-BOLANと一緒のステージで歌えるチャンス、DAMコラボ企画がスタート
T-BOLAN、自身初シングルベストツアーを8月より開催「'90年代に愛された曲たちを全て」
T-BOLAN、亀田興毅プロデュース<3150FIGHT>初のハーフタイムショー出演へ
T-BOLAN、全227曲サブスク解禁
T-BOLAN森友嵐士やキズ来夢が初参戦、<VOCAL SUMMIT>9月開催
【ライブレポート】T-BOLAN、全国ツアー開幕「今、こうして30周年を迎えました」