【インタビュー】Rhythmic Toy World、「青と踊れ」ポジティブなパワーに満ちたスケールの大きなサウンドと心の奥に寄り添う歌詞
■自分たちが作る音楽にさらに胸を張って自信を持って
■自分たちが伝えたいことカッコいいと思うことを作って行こう
――なるほど(笑)。その感覚と、10代の彼らとを繋ぐものって何だったんでしょう。
内田:Rhythmic Toy Worldが新体制になったこともあって、僕も新たなスタートラインに立っているので、その感覚は彼らと一緒だと思ったんです。先がどうなるんだろうとか、すごく魅力的な未来が無限に広がっているだろう、みたいな。でも27、8歳の頃って、未来は無限じゃなかったりするんですよね。ある意味、現実を知ったり感じたりしたときに、すごく自分の未来が狭まる感覚があったんです。でも今、33歳でありながらも、そのときよりもすごく未来が広いんですよ。今の新しい自分たちで何ができるのか、どこまで行けるのかみたいなことが、自分でもまだまだ見えない。それがそのまま、中高生の子たちとそのままリンクしているような気がしたんです。だから、僕が感じていることを書けば、自ずと彼らがリアルタイムで感じていることに繋がるんじゃないかなって。
――それが、サビの〈鮮やかな心象風景が僕らを動かしてる〉という歌詞に表れているわけですね。
内田:そうなんです。これは僕のことであり、でもそれはきっと誰にでも言い換えることができることだなと思って。「ああ、素敵な歌詞」って自分で思いました(笑)。そういう風に、客観的にその言葉と向き合うこともできたし、これはたくさんの人にズバッと刺さってくれる気がするなって思って、そこから歌詞を書いて行きました。
――ダンス部をイメージした曲とはいえ、所謂ダンス・ミュージックではなくて、Rhythmic Toy Worldらしい曲になっていると感じました。メロディやアレンジについては、どんなことを考えて作りましたか?
内田:実は、僕らメンバーの中でも「あ、そうなんや!?」って驚いている部分の一つでもあるんです。例えば今「Rhythmic Toy Worldらしい曲」と言ってくださって本当に嬉しいありがたいお言葉なんですけど、この曲が出てから「これ、最高にリズミックやわ!」みたいな感じで、昔からのバンド仲間とか後輩からすごく連絡が来たんですよ。でもサウンド面とかにしても、今はきっちゃん(ギターの岸明平)がやってくれていますけど、鍵盤の音が入っていたりとかっていう4人で完結しないサウンドアレンジになっているので、そこに関する一抹の不安はあったんですよね。僕らのことをどう受け止めているかによると思うんですけど、僕はやっぱり音楽は常に実験的なものでもありたいし、まず自分が楽しめないと意味がないなと思っているので、「この曲は絶対こんな音が入っていた方が素敵やな」っていうところを作って行くだけなんです。でも、「Rhythmic Toy Worldって4人のサウンドで完結させるのがカッコいいのにな」って思っている人からは、もしかしたらイエローカードを喰らっちゃうのかなって(笑)。「この曲は絶対に届くはずだ」っていう自信の裏に、ある程度そういうことも考えてやっているんです。
――新しいことを取り入れてもRhythmic Toy Worldらしい曲になるということですね。
内田:そう、そういうことが杞憂に終わったというか、昔の僕らのサウンドと全然違うのに「これぞリズミック」って言ってくれる人たちって、結局楽曲に込めた思いだったりとか、そういう本質的な部分で僕たちのことを好いていてくれたんだなっていうことが、すごく嬉しくて。それでメンバーもみんなホッとしつつ、自分たちが作る音楽にさらに胸を張って自信を持って、どんどん自分たちが伝えたいこと、カッコいいと思うことを作って行こうっていう話し合いもしました。アレンジに関しては、コロナ禍になってから自宅での楽曲制作環境を揃えて、家を出なくても曲が作れるようにしたんです。全然流暢に弾けるわけではないんですけど、この2年間でピアノも練習して、鳴らしたい音、入れたい音ぐらいは自分で弾けるようになったので、それをもとに設計図みたいなものを作って、ピアノが弾けるきっちゃんに理解してもらって、彼なりの解釈でアレンジをしてもらったりしています。ベースに関しても、僕が基礎になる部分を表現するぐらいのデモを作っていて。ただ、昔と違うのは、歌詞を先に書いちゃうようにしたんですよね。
――今までは完全に曲先だった?
内田:ある程度、サビの歌詞はできてたりというのはあったんですけど、レコーディングの歌録り1時間前に書き終えるということもざらだったんですけど、それをやめました(笑)。
――それはどうしてですか。
内田:みんなでちゃんと曲を理解した上で作りたいと思ったんです。僕がここで何を伝えたいかということを、ギター、ベース、ドラムみんながわかった上で演奏してほしくて。それは別に完全な意思統一じゃなくて、そのメロディ、言葉から、各々が感じる何かを表現してほしいというか。それでぶつかってみて、あまりにも僕が意図していた絶対譲れない部分があれば相談します。それもちゃんと受け入れてくれる仲間なんで。「青と踊れ」もそうやって作って行ったんですけど、ダンスということに関しては、ダンスミュージックと言われる音楽を専門的にやっているバンドではないので、どっちかというと、「ええ曲作ったらええダンス入れてくれるやろ!」みたいな(笑)。
――そこは、矢下先生への信頼があるというか(笑)。
内田:そうそう(笑)。あとは、BPMぐらいですね。世の中のダンスしやすいBPMを自分なりにリサーチして、そういう楽曲のBPMの平均値を出して作りました。
――ドキュメンタリーでは、オーディションにあたって、歌詞の解釈を細かく書き出してダンスを考えている生徒さんの姿もありました。
内田:歌詞を書き出して、「ここの言葉の意味はこうなんじゃないか」とか赤ペンで抜き出したり、まるで受験勉強かのようにやっていてくれていて。そんな必修科目のように僕の歌詞をみんなが復唱していくっていう経験は、ちょっと恥ずかしいですよね(笑)。「この歌詞良いな」と思ってくれてたらいいなあとか。「そんなジロジロ見んといてくれ~!」って思いました(笑)。矛盾なんですけどね。
――MVが完成して、生徒さんたちもSNSで盛り上がってますね。
内田:MVが公開された夜に矢下に電話して、改めて一緒にこういうことができて、俺らとしても良い作品を世に出せたことをすごく感謝していることを伝えました。矢下先生や生徒さんたちは、この曲やダンス部の子たちの輝きに対して、いろんな人がSNSで呟いてくれているのを目の当たりにして、「すごいな」と思ったと言っていました。矢下先生によると、Rhythmic Toy Worldがすごくいろいろな人に愛されていることを改めて思ったし、ダンス部の子たちも自分たちがやっていることが人の目に触れることが嬉しくて、めちゃくちゃテンションが上がっているそうです。それはすごく嬉しいですね。
――完成した「青と踊れ」のMVを初めて観たときはいかがでしたか?
内田:撮影現場に立ち会わせてもらったので、どういうシーンがあるかは頭にありましたけど、完成したMVを事務所でメンバーとかと一緒に観たときに、僕は立ったまま涙がツーっと伝ってきました。僕は別に泣き虫じゃないんですけど、素敵な気持ちにさせてくれる出会いがここ最近は多いです。
――Rhythmic Toy Worldも今、改めて青春の中にいる感じですか?
内田:まあ、そうですね(笑)。青春という言葉で形容するのであれば、僕らは今、「青春真っ只中」ということだと思います。
――今回は「青と踊れ」についての取材でしたが、4月6日には新作ミニアルバム『ココロートの種』がリリースされます。こちらの制作は今どんな段階ですか?
内田:ミックスが終わって、マスタリングを残している段階なので、もうすぐ完成です。アルバムには、「青と踊れ」に負けず劣らずな曲たちが並んでいるので、聴いたらみんなビックリしてくれるんじゃないかなって思います。さっき話していた「ああ、リズミックや!」っていうものが、僕らが思っているもので正しいのであれば、たぶん「めっちゃリズミックやなあ」って思って聴いてくれる作品になっていると思います。それと、付属する「青と踊れ」完全版DVDには、未公開映像も収録されます。ドキュメンタリーを楽しく観てくれた人だったら、「ああ、実はこういうこともあったんだ」というところで、またさらに「青と踊れ」の世界に没入できると思います。
――5月からはレコ発ワンマンツアー「ありおりはべりいまそかりツアー」の開催も決定しています。
内田:僕らはそもそも言葉遊びが好きなので、きっとアルバムのどこかに「ありおりはべりいまそかり」が入っているんでしょうね?っていう感じです。あとは、ツアーファイナルはワンマンライブをやったことがない川崎CLUB CITTA'(2022年7月15日(金)神奈川県 CLUB CITTA')でやります。そういったところも、今までに見たことのない景色をこれからもみんなと見ていきたいという気持ちの表れでの会場のセレクトです。こういう状況ではあるんですけど、それぞれが選んだ先に僕らの音楽があるのであれば、それに対して全力で音で、歌で、応えるつもりでいます。
取材・文:岡本貴之
「青と踊れ」
◆https://rhythmictoyworld.lnk.to/Aotoodore
2022.1.31 デジタル配信リリース
テレビ朝日系列全国24局放送『music るTV』
1月度4週連続特集OA & 2 月度OPテーマタイアップ楽曲
5th Mini Album『ココロートの種』
形態:CD+DVD
発売日:2022年4月6日(水)
価格:\2,420(税込)
品番:STR-1061
〔CD〕
M1. 青と踊れ
M2. ゴーストタウン
M3. 残像とエイトビート
M4. バーサーカーステップ
M5. ありったけ
M6. ドラマ
M7. 心音
〔DVD〕
京都文教中学高等学校ダンス部 コラボレーション企画
「青と踊れ」完全版DVD
・ドキュメンタリー作品「青と踊れ」
・「青と踊れ」ミュージックビデオ
・未公開映像
ライブ・イベント情報
5月27日 (金)【茨城】水戸 LIGHTHOUSE
6月18日 (土)【福岡】福岡 Queblick
6月24日(金)【宮城】仙台 enn2nd
7月7日 (木)【愛知】名古屋 CLUB QUATTRO
7月8日 (金)【大阪】梅田 Shangri-La
7月15日 (金)【神奈川】川崎 CLUB CITTA
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