【インタビュー】NOISEMAKER、EP『AXIS』に覚醒「伝えたかったのは“どう考えてもいい”ってこと」

■当たり障りのない言葉じゃ
■自分が考えるロックバンドとは違う

──「APEX」を含め今回の5曲の歌詞は、「Hunter or Prey」で“ I’ve been a punk and a misfit (ごろつきなり不適合者なり何とでも呼べ)”と歌っていますが、そういう立場の人間としての不屈の闘志、誇りを歌っていると思うのですが、「FREEZE」だけ脆さ、弱さを曝け出しています。それは曲からのインスピレーションというところが大きいのでしょうか？

AG：そうですね。曲に合う歌詞を考えて、いつも書いているんですけど、これまで弱い人に寄り添いながら、背中を押せるものが多かったことを考えると、確かに意外なのかもしれないですね。でも、角度だと思うんですよ。

──角度ですか？

AG：同じことを言ってるんだけど、言い方の角度で、どう捉えるかも変わってくると思うんですよ。強めに言ったら、弱い状況の人には響かないけど、そっちの状況から入ると、そっちの人にも伝わる。「FREEZE」は弱い状況の人の角度から書いたんです。だから、ずっとネガティヴなんだけど、最後のサビだけ、同じメロディと同じフロウ、同じ響きのまま意味だけポジティヴになっている。そういうサビごとにどんどん景色が変わっていくっていう書き方をやってみたかったんです。他の曲はどちらかと言うと、寄り添うと言うよりも、活を入れると言うか、目を覚ませみたいに強い言い方をした歌詞が多いから、よけいに目立つのかもしれないですね。


──今回、いつもよりも強い言い方になったのは、何か理由があったんですか？

AG：今の状況って、話せないトピックだったり、ディスカッションすることさえできないことが増えてきているじゃないですか。お互い勘ぐったり。だから今回、どう考えてもいいよねってことを一番伝えたかったんです。考え方が違ったとしても、みんなが求めているのは楽しいものだったり自分の人生だったり、共通するものがたくさんある。時間を失っても誰も責任はとれないし、誰のせいにもできない。だからこそ今思うのは、行きたい場所に行って、会いたい人に会って、伝えたいことは伝えられるうちに伝える。でも、人それぞれ考え方が違くて当然だし、それによって憎しみ合う必要はない。だってそれぞれに守るものも違えば、大事なものも違うんだからって、そういうことを伝えたかったんですよ。

──「APEX」以外の4曲は、また全編英語に戻りましたね？

AG：そうなんですよ。でも、全曲、日本語のパートを書いて、1回、レコーディングもしたんです。その上で、どちらか選ぶってことにしたんですけど、なんか、ハマってるようでハマっていないような気がしたんで、全編、英語にしました。

──「CROWN」だけ、歌詞カードには載っていませんが、冒頭に日本語のスポークンワードが加えられていますね。

AG：語りが入ってますね。もしも自分が明日、死ぬとしたらどこに行くっていう、さっき歌詞について話したようなことを語ってるんですけど、その「もしも」ってことをみんな忘れていて、明日かもしれないじゃないですか。そうなったとき、今、自分が迷っていることとか、がまんしていることとかって死ぬことよりも大事なことかっていう。失われた時間は誰も取り戻してくれないんだから、何かのせいにするのはやめたほうがいいし、どっちの方向に行っても誰かに何か言われるだろうから、自分が信じているものは大事にしたほうがいい。今回のEPを聴いて、そういう一歩を踏み出してもらえたらいいなと思って。だから歌詞もオブラートに包むんじゃなくて、強い言葉で書いたんです。当たり障りのない言葉じゃ、自分が考えるロックバンドとはちょっと違うと言うか、もっと嫌われてもいいし、「何言ってんだ、あいつら」って思われてもいいし、だけど刺さる人に刺さればいいかな。そういうEPになったと思います。

──最後に、2月23日から始まる＜NOISEMAKER presents AXIS TOUR＞は、対バンツアーになるのでしょうか？

AG：対バンです。＜KITAKAZE ROCK FES＞には出ないバンドや、あまりやったことがない人たちとやろうと思いながら組みつつ、やったことがあるバンドも何組かいますけど、ほぼ今回初めてというバンドが多いです。ほとんどのバンドが直接、電話して、「一緒にやりたいから出てください」って直談判したんですよ。けっこう意外なバンドもいるから楽しみにしててほしいですね。

取材・文◎山口智男





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