【ライブレポート】ZARD、30周年記念公演<軌跡>で大黒摩季や池森秀一など豪華ゲストと全28曲
ZARDデビュー30周年のアニバーサリーイヤーを締めくくる記念ライブ<ZARD “What a beautiful memory ~軌跡~”>が2月4日(金)に大阪国際会議場(グランキューブ大阪)、2月10日(木)に東京ガーデンシアターで開催された。坂井泉水の歌声と映像、バンドによる生演奏がシンクロし、特別な空間を生み出した同公演は30周年イヤーの集大成にふさわしく、ZARDゆかりの豪華アーティストたちが多数ゲスト出演。同公演よりデビュー記念日に行われた東京ガーデンシアターのレポートをお届けしたい。
◆ZARD 画像 / 動画
ZARD のデビュー日にあたる2月10日、およそ6年振りとなる有観客ライブ<ZARD “What a beautiful memory ~軌跡~”>を観た。ZARDが残した映像と生演奏をシンクロさせたライブは、過去に何度も開催されてきたが、年月を経てファンの熱気は衰えるどころかむしろ増している。広い東京ガーデンシアターをいっぱいに埋めた観客と共に、思い出と現実が交錯する奇跡のライブ。いよいよ開幕。
「ZARDのライブへようこそ。今日は楽しんでいってください」──坂井泉水
ステージ中央のマイクスタンドにスポットライトが当たり、総勢11名のバンドが勢いよく演奏を始めると、坂井泉水の声がライブの始まりを告げる。曲は「きっと忘れない」。巨大な三面スクリーンに映し出される彼女の姿と歌は時を超えてみずみずしいままだ。「もう少し あと少し…」「雨に濡れて」の2曲にシンクロする映像は初公開映像で、ベージュのスカート、ブルージーンズ、白のハーフコートなど、美しくファッショナブルな姿から目を離せない。「世界はきっと未来の中」までノンストップで4曲、スタートダッシュは完璧だ。
司会者の中田有紀(アナウンサー)がこの日の最初のゲストを告げる。ここからは、ZARDにゆかりの深いゲストアーティストが続々登場するショータイム。ギタリスト、編曲家の葉山たけしが、万感の思いを込めて「君に逢いたくなったら…」の華麗なソロを決める。二人目のゲスト、FIELD OF VIEWのボーカル浅岡雄也が、坂井泉水が作詞提供した「突然」「DAN DAN 心魅かれてく」の2曲で、スクリーンの中で歌う坂井泉水とデュエットしてみせる。過去と現在の境目がなくなり、二つの歌声がシンクロする。とても素敵なシーン。
続いては大野愛果、そして徳永暁人。ZARD後期の作品に欠かせない二人の存在は、今日のライブにも欠かせない。大野が「かけがえのないもの」「瞳閉じて」の2曲でコーラスを重ね、徳永は「瞳閉じて」「遠い星を数えて」「永遠」の3曲で、情感豊かなアコースティックギターの音色を添える。「瞳閉じて」は、ZARDのライブにおいてフルバンドで披露されるのは初めてとのこと。大野、徳永、坂井泉水の三声のハーモニーが力強く響き渡る、それもまた忘れがたい名シーン。
DEENのボーカル池森秀一も、言うまでもなくZARDの歴史の中では重要な存在だ。坂井泉水が作詞提供した「瞳そらさないで」「翼を広げて」の、ZARDバージョンとDEENバージョンをマッシュアップさせる、複雑な演奏をさらっとやってのけるバンドがいい。「瞳そらさないで」は、ZARDがセルフカバーした際のボサノババージョンで、しっとりとゆったりと。あの頃の透明感に円熟味を加えた池森のボーカルは、力強く、そして優しい。
ライブは折り返し地点を超え、ZARDの世界はさらに深まってゆく。一人一人に見せ場を設け、メンバー紹介を兼ねた「こんなにそばに居るのに」は、どこまでもパワフルに情熱的に。観客全員に配られたサイリウムの白い光が、広い会場を美しく染め上げた「My Baby Grand~ぬくもりが欲しくて~」は、ただひたすらに純粋で荘厳に。スクリーンに、この日のためにファンから寄せられた花の写真とメッセージが、次々と映し出される。“いつまでもそばにいてね” “出会ってくれてありがとう” “<What a beautiful memory ~軌跡~>、楽しまれていますか”──どれも、今はもういない人へのメッセージには見えない。ZARDは確かにここにいる。
さあ、ライブは後半だ。川島だりあが、満面の笑みと元気いっぱいのアクションで飛び跳ねている。曲は「あの微笑みを忘れないで」。すぐ隣で歌っているように、スクリーンの坂井泉水を見上げて笑っている。そして、この日最後のゲストアーティスト、大黒摩季。31年前、ZARDの1stシングル「Good-bye My Loneliness」の、まさにそのコーラスを歌った彼女が今ここで歌ってる。かつて叶うことのなかったステージでの二人の共演が、今ここで叶っている。川島だりあと共に「愛は暗闇の中で」をエネルギッシュに歌い切り、「揺れる想い」では、坂井泉水の繊細な歌声を守るようにしっかりと寄り添う。歌い終え、客席に手を振る。その時、ふと目元をぬぐったように見えたのは、気のせいだっただろうか。
ここからは、凄腕揃いのバンドと共にクライマックスご一緒に。Gジャンとショートパンツの坂井泉水の姿がまぶしい「If you gimme smile」は、ライブ初披露曲で初公開映像だ。そして「心を開いて」「Today is another day」「君がいない」へと、ノスタルジーが加速する。さらに「マイフレンド」「Don’t you see!」と、ZARDを代表するナンバーワンヒット曲連発で一気にフィナーレへ。サビのフレーズに合わせ、観客が手を振り上げる、その姿は現代のアーティストのライブとまったく変わらない。いや、それ以上に熱い。
ここまで本編25曲で2時間を優に超えたが、もちろん観客は聴き足りない。アンコールは「Oh my love」から「Forever you」へ、スクリーンでは白いTシャツと黒いスカートの坂井泉水が美しい横顔を見せている。そしてついにこの日のラストチューン、といえばやはりこれしかない。「負けないで」。この日ステージに上がったゲストアーティストが全員登場し、あのイントロが鳴るやいなや観客が総立ちになった。分厚いバンドサウンド、色とりどりのパワフルなボイス、そして永遠に色あせない歌詞のメッセージ。大黒摩季、浅岡雄也がステージ最前線にまで飛び出してはしゃいでる。ZARDに対するそれぞれの深い思いを乗せた、追憶よりも笑顔が似合う素晴らしいフィナーレ。
「今日はありがとうございました。また会いましょう」──坂井泉水
始まりと同じように、坂井泉水の声がライブの終わりを告げる。スタンディングオベーションに応える出演者全員の真ん中に、坂井泉水のポートレイトが置かれる。高鳴る拍手。いつまでも終わらない拍手。そして、メンバーの手に支えられて一緒にステージを降りてゆく坂井泉水。それはとても感情的で、美しいシーン。
ZARDの歌は2022年の今も確かに生きている。2月10日には、デビュー31年を迎えた。初夏には『ZARD MUSEUM』もオープンする。ZARDという名の奇跡はまだまだ続く。その歌を求める人がいる限り。
取材・文◎宮本英夫
■30周年を締めくくる記念ライブ<ZARD “What a beautiful memory ~軌跡~”>2022年2月10日(木)@東京ガーデンシアターSETLIST
02. もう少し あと少し…
03. 雨に濡れて
04. 世界はきっと未来の中
05. 君に逢いたくなったら… (Guest:葉山たけし)
06. 突然 (Guest:浅岡雄也/葉山たけし)
07. DAN DAN 心魅かれてく (Guest:浅岡雄也/葉山たけし)
08. かけがえのないもの (Guest:大野愛果)
09. 瞳閉じて (Guest:徳永暁人/大野愛果)
10. 遠い星を数えて (Guest:徳永暁人)
11. 永遠 (Guest:徳永暁人)
12. 瞳そらさないで (Guest:池森秀一)
13. 翼を広げて (Guest:池森秀一)
14. こんなにそばに居るのに
15. My Baby Grand 〜ぬくもりが欲しくて〜
16. あの微笑みを忘れないで (Guest:川島だりあ)
17. Good-bye My Loneliness (Guest:大黒摩季/川島だりあ)
18. 愛は暗闇の中で (Guest:大黒摩季/川島だりあ)
19. 揺れる想い (Guest:大黒摩季)
20. If you gimme smile
21. 心を開いて
22. Today is another day
23. 君がいない
24. マイ フレンド
25. Don't you see !
encore
en1. Oh my love
en2. Forever you
en3. 負けないで (Guest:全員)
▼バンドメンバー
Guitar:大賀好修(Sensation)
Guitar:森丘直樹(WWEEZZ)
Acoustic Guitar & Chorus:大田紳一郎(doa)
Bass:麻井寛史(Sensation)
Keyboards:大楠雄蔵(Sensation)
Keyboards & Chorus:北川加奈
Drums:車谷啓介(Sensation)
Saxophone:鈴木央紹
Manipulator:大藪拓
Chorus:神野友亜(SARD UNDERGROUND)
Chorus:一条紀希(BARNZ)
▼ゲストアーティスト(五十音順)
浅岡雄也(FIELD OF VIEW)
池森秀一(DEEN)
大黒摩季
大野愛果
川島だりあ
徳永暁人(doa)
葉山たけし
■配信<ZARD “What a beautiful memory ~軌跡~”>
配信日時:2月10日(木)18:30~(21:00終了予定)
▼視聴チケット
一般:4,500円(税込)
※ZARD Mobile FC“WEZARD”有料会員は一般料金より500円値引き
※StreamPass, FanStreamでのお申込みのみとなります
販売期間:1月27日(木)10:00~2月14日(月)21:00
【配信プラットフォーム】
▼StreamPass, FanStream
見逃し配信期間:2月11日(金)18:00~2月14日(月)23:59
https://tixplus.jp/feature/zard_202202/
▼ZAIKO
見逃し配信期間:生配信終了後~2月14日(月)23:59
https://l-tike.com/zard/
※チケット購入にあたり、会員登録(無料)、決済・システム手数料等が必要となります。詳しくは各申し込みページをご覧ください。
■『ZARD MUSEUM』
※レコーディングで使用していた機材や衣装、写真、坂井泉水の私物を始め、今回初めて公開が実現するものなど現在準備中。
※所在地・展示内容などの詳細は後日改めて。
この記事の関連情報
SARD UNDERGROUND、3人体制最後のライブを放送決定
ZARD、17年ぶり“リクエストベストアルバム”収録35曲および詳細発表
ZARD、17年ぶり“リクエストベストアルバム”最終結果とリリース詳細を明日11/10発表
【ライブレポート】SARD UNDERGROUND、全国ツアー<tear drops>に5年間の成長とそれぞれの決意「胸がいっぱいです」
SARD UNDERGROUND、5年間の映像を収めた3時間超えの『Film Collection』を12月リリース
SARD UNDERGROUND、渋谷横丁をジャック
【インタビュー】SARD UNDERGROUNDデビュー5周年、2ndアルバムと『名探偵コナン』エンディングテーマ同時発売の鮮やかなインパクト「私たちらしさが明快に」
SARD UNDERGROUND、『名探偵コナン』エンディング曲が明日8/17よりオンエア+先行配信とMVプレミア公開決定
SARD UNDERGROUND、アルバムよりタイトル曲「涙色で」MV公開+先行配信決定