【楽器人インタビュー】Non Stop Rabbit、ライブを封印してどこへ行く?
■徹底して楽しませるっていう点ではいろいろ変化してやってきた
──そんな中で、誰もが苦しんだコロナ禍は、Non Stop Rabbitにどんな影響を与えましたか?
田口達也:豊洲PIT公演が中止になったんですけど、僕らはYouTuberとしても活動していたんで、この中止をどうプラスにもっていくかを考えました。グッズも作っちゃっていたし。でもそれを活かしてTwitterでバズらせてニュース番組にも出まくって、いい方向にもっていけたと思うので、受けた影響をどうにかしてうまく利用すれば、マイナスなことばかりではないですよね。
──その対応力は、バンド活動とは違うスキルですよね?
田口達也:音楽は作ってから出すまでに時間がかかるけど、YouTubeって今日撮ったら今日出せるという活動で得た部分だと思います。流行ってるから出す、やっぱこれ伸びた、数字取れる、もう一回こするのか…そういうのは楽曲でできるタイムスパンではないので、それは完全にSNSでの活動が活きてるのかなって思います。
──そもそもYouTubeに活動の場を見出したのは自然な流れだったんですか?
矢野晴人:3人でこれしかない、ってなったんですよ。路上ライブが規制でできなくなったので、YouTubeだなって。
田口達也:「バンドでYouTubeやってるやつ、いなくね?」「その枠、空いてるかも」「いつものまんまのしゃべりでいいんじゃないかな」って、わりと自然に「じゃあやってみよう」と。遅いかもって思ってたけど一秒でもはやく売れなきゃいけなかったんで。
──それによって得るもの/失うものは?
田口達也:路上ライブでファンになってくれた人たちは、一旦失いました。まだYouTuberって今ほどクリエイターとして認知されてなかったので「なんでYouTuberなんてやるの?」「元々路上ライブで好きになったのに」って。
──「いい歌歌ってるのに」って?
田口達也:「なんで音楽だけで行かないの?」ってだいぶ去って行きました。
──へこむなあ。
矢野晴人:でもその先にYouTubeで多くの人がファンになってくれる絵が見えていたんで、目先のファンよりは今後の活動のファンを大事にしようって決めました。
──肉を切って骨を断つ感じ?その勇気と決断と自信がすごいなぁ。
田口達也:自信は多分ないんですよね。無いから常に崖っぷちにしてきたし、崖っぷちになった時しか動いてない。あのまま僕らに規制がかからずに路上ライブを演っていたらYouTubeはやってないですもん。路上でいけるって思ってたんで。でもでかい音を出し過ぎて、各地で二度と演っちゃダメと誓約書を書かされて行き場がなくなった末に「どうする?」と考えたのがYouTubeだし。
──音量を下げれば解決するのに(笑)。
矢野晴人:確かに。
田口達也:思い浮かばなかったですね(笑)。
太我:それじゃ普通の路上ライブになっちゃうっていうのはありましたよね。びっくりさせてあげたいから、小っちゃい音で人も集まってないような駅前のアレにはなりたくなかった。
田口達也:演り切るしかないっていう。ライブハウスを蹴っちゃっているから、もう戻る場所もない。
──で、行き過ぎちゃった。
田口達也:そうです(笑)。
──さて、これからノンラビはどちらへ?
田口達也:それで言うと、コロナでライブができなくなったので、ライブ中止以降僕らはオンラインライブも1本もやってないですし、ライブは演らないって決めました。
──え?
田口達也:いや、ファンが危ないんだったらやらないほうが良くないですか?
──そういう意味か。
田口達也:確かに生きていくためにアーティストにとってライブは必要なんで、音楽専業でやられている方がライブをすることに対しては何の異論もないです。けど、僕らにはYouTubeという発信するものもあって、そこが大好きなファンもいる。こっちでご飯食べれてるのに無理に開演してお客さんが感染しました…なんてなったら、その罪悪感の方が耐えられない。だからコロナが開けてOKが出るまでライブは一切やらない。その代わり、皆さんを楽しませます。YouTubeも毎日投稿して、徹底して楽しませるっていう点ではいろいろ変化してやってきました。
──12月22日に発売となった2ndアルバム『TRINITY』は、そういった流れに乗った作品ですか?
田口達也:全て今年に作った曲で、元々あった曲とか歌詞ではないので、とにかく最近思ったこと・今の状況だけを歌い続ける感じです。昔の感情を引っ張り出してくるのも得意じゃないので、常に書き続けていくタイプ。
──曲作りはどのように進めるんですか?
田口達也:レコーディングもオーディションみたいなものなんですよ。僕が9割仕上げた曲をメンバーに渡して、レコーディングで「このフレーズを叩きたい」「こう弾きたい」「こう歌いたい」「違う、やめて。はい次、それOK」みたいな進め方です。どう思ってどう感じてどうやろうと思ったか、その理由も述べて「こう思うんだけど」「いやでも違うな」とか。その瞬間は厳しい時間でもありますね。
──バンドでのジャムはないんですね。
田口達也:デモができた後、バンドで合わせてからレコーディングするとか、一回もやったことない。
──珍しすぎる。
田口達也:必要ないと思ってるから。もうね「出来上がったものをどうするんですか」みたいな。どこが要らなくてどこが必要でどこが面白いって、脳みそで作るのではなく感覚で作ってる。
──よくわかんない。
田口達也:みんなに言われます。「すごい作り方だね」って。
太我:こっちのほうが全然楽だと思いますよ。
矢野晴人:ずっとこの作り方だからね。事前にやることというのは、デモをもらってそこに仮歌を入れることくらいかな。その段階で固まってるし。
──自分のパートを充実させるためのスキルは、各自勝手に準備しておいてくれって感じ?
太我:そうですね。ある程度ここにはまりそうなフレーズっていうのは、自分の持ち物の中から入れていくって感じですね。
田口達也:それで言うと僕が一番シビアで、作るたびに似てくるのがイヤなのでどんどん新しいことしないと自分に飽きてくる。引き出しを増やす作業が細かく精密なところにいってるから、結構大変ですよ。まあ、楽しくやってますけど。
──ライブのときは、どういう心理状態なんですか?
田口達也:ライブはまったく別物なんですよね。楽曲を作るモードはオーディションだけど、その曲がライブでどう化けるかっていうのは別の作業だから、ライブアレンジはよーいどんで合わせてどんどん変わっていく。ドラムフレーズなんてライブのたびに違いますよ。だから、バンドはよりバンドしてますよね。作品作りはしっかり良い物を作って完璧なものを届ける仕事だけど、ライブはバンドマンとしてどう聴かせた方がいいか、自由に感性で動いてる感じ。
太我:ライブではシーケンスもガンガン出して、他がやらない固定観念をぶっ壊すみたいなそういうことばっかやってたな。
──そのマインドはミュージシャンに必須なのかな。
田口達也:それはコロナになってより感じましたよね。「自分たちはミュージシャンになんだから」ってYouTuberになることを散々否定していた人たちがYouTubeに参入してきたときにすごい感じました。「お前らが俺らに言ってたことはなんやったん。ブレブレやないか」って。俺らは最初っからブレてないですよ。好きなことをやっているかもしれないですけど、今後はプレイヤーも自分の命や家庭を守る仕事として考えないと。
──こういう話は3人でよくする?
田口達也:全然しないです。
──でも通じ合ってるってのがバンドなのかな。
田口達也:まあ…始まりが「逆行しよう」とか「やってないことやろう」っていうのだったんで、別に会議云々じゃなくていいアイディアあったらもってきてやってみようっていうのだったんで、だから熱く語り合うこともないですね。
──2022年はどんな年になりそうですか?
田口達也:ライブができたらいいなとは思いますけど、もしできないのであれば、メジャーデビュー以降ライブをしなかったバンドの最長記録でギネスに申し込もうかなと。
──は?
田口達也:メジャーデビュー後に一回もライブをしてないバンドっていないでしょ?それを逆手にとってギネスに載ろうと思ってます。
──メジャーデビューしたバンド限定で?
田口達也:そうです。
矢野晴人:それでもダメだったら「メジャーデビューした3ピースバンド」とかって条件を絞れば、いつかはギネスがとれる(笑)。てか、面白いことしたいすね、来年も。
取材・文◎烏丸哲也(JMN統括編集長)
撮影◎野村雄治
2nd Album『TRINITY』
■初回限定盤
CD+DVD/4,070円(税込)
■通常盤
CD only/2,750円(税込)
[CD収録内容]
01.優等生
02.上向くライオン
03.Needle return
04.BAKEMONO
05.dress
06.大丈夫じゃない
07.全部ブロック
08.三大欲求
09.あなたが眠るその瞬間まで
10.未来へ
〜bonus track~ (初回限定盤のみに収録)
全部いい -独唱-
[DVD収録内容]※初回限定盤のみ
■『5周年ということで、3人の中で誰が1番強いのかを確かめる卓球大会を開催!けど仲間だから
この5年を振り返る特別トークも、気付いたらイルカをバックにアコースティックライブしてたDVD』
[CDショップ 予約購入先着特典]
■TOWER RECORDS全店(オンライン含む):マスクストラップ
■Loppi・HMV全店(HMV&BOOKS online含む):缶バッチ
■TSUTAYA RECORDS(TSUTAYAオンライン予約分含む):缶ミラー
■Amazon:メガジャケ
■楽天ブックス:アクリルキーホルダー
■セブンネットショッピング:三つ折り卓上カレンダー
■その他法人:ミニステッカー
※全国のCDショップにて2021年12月22日(水)発売『TRINITY』をご予約・ご購入のお客様に、先着で上記オリジナル特典をプレゼント。各店舗でご用意している特典数量には限りがございますので、お早目のご予約をおすすめいたします。
※特典は数に限りがございますので、発売前でも特典プレゼントを終了する可能性がございます。
※一部取り扱いの無い店舗やウェブサイトがございます。ご予約・ご購入の際には、各店舗の店頭または各サイトの告知にて、特典の有無をご確認ください。
■楽天ブックス限定
Non Stop Rabbitオリジナル配送パック
楽天ブックスにて対象の2021年12月22日(水)発売『TRINITY』を2021年12月17日(金)5:59までにご予約いただいた方には、“Non Stop Rabbitオリジナル配送パック”に商品を梱包してポスト投函します。尚、“Non Stop Rabbitオリジナル配送パック”はなくなり次第終了となりますので予めご了承ください。
※「オリジナル配送パック」は、パック資材の外装をビニールで梱包し、配送伝票はビニールに直接貼付された形態でのポスト投函となります。
InterFM presents『Non Stop Rabbit × TOWER RECORDS CAFE』コラボカフェ
2021年12月21日(火)~ 12月30日(木)
▼開催店舗
東京・TOWER RECORDS CAFE 渋谷店(東京都渋谷区神南1-22-14 タワーレコード渋谷店2F)
愛知・TOWER RECORDS CAFE 名古屋栄スカイル店(愛知県名古屋市中区栄3-4-5 SKYLE 9F)
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