【コラム】SixTONESの物語は途切れない

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凛とした空気が漂う冬の夜道。ふと見上げると、そこには数えきれないほどの明りが灯っている。そのひとつひとつの明りの数だけ、人がいて、その人が大事な人がいて、その人を大切に思う人がいる。その数だけ、物語が存在するのだ。その人の今日は、とてもきらびやかで、美しい日だったかもしれない。もしかしたら、悲しみに包まれ、立ち上がれなくなるほど、苦しい日だったかもしれない。でも、そのすべての人たちに、明日は来る。その明りの中にいる主人公の数だけ、物語があり、その物語を彩る“歌”があるのだ。

そんな歌が交錯する場所を、SixTONESは“街(CITY)”と呼び、真価の問われる2ndアルバムのタイトルとした。

◆ジャケット

SixTONESは、この1年で、楽曲を発表するたび、驚くほど違う表情を見せてきた。J-POPのヒットメイカー、SAEKI youthKを作詞作曲に迎えた「僕が僕じゃないみたいだ」では、疾走感漂うロックサウンドに乗せ、愛する人を前に自分の心がうまく表現できず嘘をついてしまうもどかしさを歌い、King Gnuの常田大希から楽曲提供を受けた「マスカラ」では、狂おしいほど愛しているのに、別れを選び、後悔をにじませる、ある意味アイドルらしくない楽曲を歌い、リスナーを驚かせた。この2曲が収録されるアルバム『CITY』は、驚くほどカラフルな楽曲が収録されている。

さらに今作は、1日の経過で曲順が構成されている。“Night,Midnight,Sunrise,Sunset”と、それぞれInterludeで区切られ、そのテーマにフィットする楽曲が並べられているのだ。これも、アルバムというパッケージで聴くからこその面白いところ。1曲ずつ聴くのではなく、流れとして聴くことで、よりこの“CITY”の主人公としてリスナーも没入することができるのだ。

▲初回盤A ジャケット

まず、日が昇る“Sunrise”として並べられているのは、全英語詞の「8am」。1日が始まる朝に期待を抱く、爽やかなポップチューンだ。「僕が僕じゃないみたいだ」と繋がり、聴けば自然と身体が動く、軽快なシティポップ「Ordinary Hero」へ。この曲では、小さな頃に憧れた理想のヒーローにはなれないけれど、大切な人を守るヒーローにならなれるという、等身大で、愛に溢れているエールソング。「Your Best Day」ではライブでのアンセムとなりそうなキャッチーなポップチューンを聴かせてくれる。この王道アイドルソングがSixTONESによって色を付けられ、このアルバムに入ると、いい意味で異質に見えるのは、おもしろい。

陽が沈む“Sunset”のシーンは、緊張感漂うワイルドかつスリリングな「Fast Lane」からスタート。80’sサウンドと、彼らの歌声はとても相性が良い。懐かしさを感じさせつつ、どこか胸を締め付けるような焦燥感を感じさせる。一転、「Good Times」では、笑顔に包まれるゴスペル調のハッピーソングを聴かせてくれるのだ。この時点ですでに曲のふり幅に振り回される人も多いはずだ。

“Night”を彩る曲として、「マスカラ」「フィギュア」のほかに、「Rosy」が置かれている。すでに音楽番組などで披露されているこの曲は、メンバーのボーカルリレーがたたみかける高速ロックチューン。あらかじめ決めらえた運命に疑念を持ち、“悪あがきしましょ”と軽やかに歌い上げる姿は、まさに彼らのスタイルをそのまま反映したかのような、“一筋縄ではいかない”だけでなく、そうなることを自らが拒む意思表明のような楽曲に頬が緩む。



“Midnight”には、本能に従い衝動的に誘う、危険な香りを漂わせるディスコナンバー「Odds」に、ライブで披露されたのならば間違いなくその場を絶頂に誘う、ワイルドで中毒性の高い「WHIP THAT」、一転してフィンガークラップと美しいピアノの旋律、田中樹のどこか切なさも孕むラップで始まる「Everlasting」が収められている。どんなときも、どれだけ季節が巡っても、変わらずに永遠に続いていくと歌うこの曲は、多くの人の夢で、生きる力でありながらも、儚く、どこか脆ささえも感じるアイドルグループである彼らから“大丈夫だから”と言ってくれているような、優しく抱きしめてくれるようなバラードとなっている。

もしかしたら、アイドルという存在に一番言ってもらいたい言葉は、この歌詞にある“この物語は途切れない”という言葉なのかもしれない。永遠なんて、あるのかはわからない。未来なんて、誰にもわからない。そんなことは、彼らも、彼らを愛するファンにもわかっている。「それでも、約束しよう」。そんなメッセージが透けて見える、彼らの誠意を感じる楽曲となっている。

▲初回盤B ジャケット

そのほか、限定盤のみに和ぬかが楽曲提供した松村北斗と髙地優吾による「真っ赤な嘘」、京本大我がギター演奏し、ラップ詞を田中樹が手掛けた「With The Flow」、ジェシーと森本慎太郎によるニュージャックスウィングを取り入れたダンスナンバー「LOUDER」など、充実の内容に仕上がっている。

注目してもらいたいのが、初回盤A、B、通常盤では、各形態ごとに、曲のスタート位置が異なっているところ。初回盤AはSunriseから、初回盤BはSunsetから、そして通常盤はNightからスタートとなっているのだ。その日の気分に合わせ、スタート位置を合わせてからプレイボタンを押せば、素敵な1日を彩ってくれるはずだ。

誰もが身体を置く“街”。様々な主人公が、それぞれの想いを抱き、過ごすその瞬間と共に、これらの楽曲を、そしてこのアルバムを、じっくりと楽しんでもらいたい。

文◎吉田可奈

『CITY』

■初回盤A
CD+Blu-ray SECJ-31~32
CD+DVD SECJ-33~34
価格(税込) : ¥3,960
BOX仕様

[CD] 14曲+Interlude収録
01. [Interlude -Sunrise-]
02. 8am
03. 僕が僕じゃないみたいだ
04. Ordinary Hero
05. Your Best Day
06. [Interlude -Sunset-]
07. Fast Lane
08. Good Times
09. [Interlude -Night-]
10. マスカラ
11. Rosy
12. フィギュア
13. [Interlude -Midnight-]
14. Odds
15. WHIP THAT
16. Everlasting
17. Papercut
18. Takes Two

[Blu-ray/DVD]
Rosy -Music Video-
Rosy -Music Video Making-
Rosy -Music Video Solo Movie-
Everlasting ~ Good Times -Live with Choir ver.
※Blu-rayとDVDは共通内容です。

■初回盤B
CD+Blu-ray SECJ-35~36
CD+DVD SECJ-37~38
価格(税込) : ¥3,960
BOX仕様

[CD] 15曲+Interlude収録
01. [Interlude -Sunset-]
02. Fast Lane
03. Good Times
04. [Interlude -Night-]
05. マスカラ
06. Rosy
07. フィギュア
08. [Interlude -Midnight-]
09. Odds
10. WHIP THAT
11. Everlasting
12. [Interlude -Sunrise-]
13. 8am
14. 僕が僕じゃないみたいだ
15. Ordinary Hero
16. Your Best Day
17. LOUDER (Jesse×Shintaro Morimoto)
18. 真っ赤な嘘 (Hokuto Matsumura×Yugo Kochi)
19. With The Flow (Taiga Kyomoto×Juri Tanaka)

[Blu-ray/DVD]
LOUDER (Jesse×Shintaro Morimoto) -Music Video-
真っ赤な嘘 (Hokuto Matsumura×Yugo Kochi) -Music Video-
With The Flow (Taiga Kyomoto×Juri Tanaka) -Music Video-
※Blu-rayとDVDは共通内容です。

■通常盤
CD SECJ-39
価格(税込) : ¥3,360
BOX仕様
初回仕様:スリーブケース+フォトブック20P

[CD] 15曲+Interlude収録
01. [Interlude -Night-]
02. マスカラ
03. Rosy
04. フィギュア
05. [Interlude -Midnight-]
06. Odds
07. WHIP THAT
08. Everlasting
09. [Interlude -Sunrise-]
10. 8am
11. 僕が僕じゃないみたいだ
12. Ordinary Hero
13. Your Best Day
14. [Interlude -Sunset-]
15. Fast Lane
16. Good Times
17. Cassette Tape
18. Dawn
19. Strawberry Breakfast -CITY ver.-

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