【鼎談】元ジュディマリ五十嵐公太 × ZIGZOのSakura × 元ジャンヌshuji、Pearlドラマーがイベント直前に語る「人間の違いが一番自由に出る」

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■安定感があるし、どっしり構えてるなって
■一番求められるドラマーかもしれないよね

──プロドラマーとして活動する中で、理想と現実のギャップやプロならではの悩みはありませんか?

公太:ものすごくありますよ。例えば学生時代の友達とバンドを演ると、友達はものすごく楽しそうなんです。俺も楽しいは楽しいんですけど、そこに責任があるからいい加減なことはできないんですね。俺が期待されているのは“最初からお金がとれるドラム”だから。どんな時でも、練習している時でさえそれを期待されているから、そこに応えなければいけないという責任感が“すごい面倒くさいなあ”って思う(笑)。練習しているときも“ああ、こんなもんか”って思われるのもイヤだし。だから酔っ払って誰も聴いてないような自分のためだけのドラムを叩きたいって思うことが時々ありますよね。究極は、誰も聴いてない…でも誰かに聴いて欲しいんだけど(笑)。まあ、でも責任というのはプロとして仕事をしている人は何でもそうなんじゃないですかね。

Sakura:周りから必要とされることってすごいことだなって思うし、それがプロだと思う。ドラムとか音楽を始める時なんか、大学受験したくないとかモテたいだけの些細な衝動だったりするし、デビューした若いときは貧乏も耐えられたりするんだけど、それから解放された後というのは、公太さんの言うとおり誰からも見られるようになる。ちょっと基礎練習しようって演ってもガン見されて、「あいつ大したことねえな」とか言われるんじゃないかってドキドキする。

公太:責任だよね。

Sakura:うん。それもすごくイヤだったけど、年々“俺、これしかできねえし、ま、いっか”って思うようにもなったよ。開き直りに近いところもあるし、仮に誰かに見られて“Sakura、大したことねえよ”って思われたとしても、“俺は必要とされるんだ”って強がってるよ。

shuji:確かに「プロなんだからできるでしょ」みたいに言われることがある。プロでも今までやってきたジャンルやドラムスタイルによって得手不得手はありますよね。僕なんかロックしか叩いてきてないんで、いきなり「ジャズやれ」って言われても絶対無理だし、求められることは全部したいんですけど、そこがプレッシャー。


▲Sakura

──そんなみなさんですが、共通してPearlのドラムを使っていますよね。

shuji:僕は、若い時に好きだったドラマーがみんなPearlドラマーだったんですよ。だから自然とドラム=Pearlでした。中学生くらいの時かな。例外としてYOSHIKIさんはTAMAを使ってましたけど、“この人のドラム、カッコいいな”って思って見るとみんなPearlを使っている。だから“それだけドラマーに信頼されてるメーカーなんだろうな”って思ってました。“じゃ俺もドラムはPearlを使おう”みたいな感じでずっと使ってます。

公太:それ一緒。どこのカタログに自分が載りたいかなって思ったとき、Pearlのカタログに載りたかったな。あそこに並んでいる人の中に入りたいと思ってた。Pearlのドラムってやっぱロックなんだよね。

Sakura:ドラム始めてしばらくすると自分のセットが欲しくなるでしょ。カタログをずっと、ホントに穴が空くくらい見てた。TAMA、YAMAHA、Pearlの3社のカタログをずっと見てたけど、Pearlを選んだのは、打楽器を主とする打楽器専門メーカーってPearlしかないなと思ったから。ティンパニーまで作ってるからね。フルートとかも扱っているけど、日本の中で唯一打楽器を専門としているところにちょっと惚れたな。

公太:Pearlのドラムって自分なりにカスタマイズできるじゃない? 叩き手で音が変わるんですよ。誰が叩いても同じ音がするメーカーもあるからね。Pearlのドラムは皮の選択だったり胴の選択だったり、何よりも叩き手でカラーが出しやすいっていうのがある。

──逆にアマチュアには使いこなしが難しいということ?

公太:そんなことはないですよ。自由度があるから、むしろ優しいと思います。

Sakura:打楽器ってね、初心者に難しいというのは存在しないと思う。だって叩けば鳴るんだから(笑)。ちゃんと鳴らせるかどうかはさておき。


▲shuji

──皆さんそれぞれの目線から、お互いのドラムサウンドをどうとらえていますか?

公太:shujiくんは、俺からすると真逆。

shuji:あはは(笑)。

公太:shujiくんの音は全部太くて、ダン、ダンって安定したどっしりとした太鼓。Sakuraは繊細でもっと攻めて攻めてっていうタイプ。チューニングに関してもものすごく細かく緻密で研究熱心だし、ヘッドの選択から胴からシンバルから全てこだわり通して、もうSakura!みたいな感じですよ(笑)。

shuji:性格が出てますよね。僕、多分だいぶ大雑把なんで(笑)。

公太:でも、shujiくんのドラムにはものすごく安定感があるし、どっしり構えてるなあって。一番求められるタイプかもしれないよね。

Sakura:リズムのベーシックにおいてバンドアンサンブルを成り立たせる。特にロックバンドの場合、shujiくんのドラミングっていうのは、他のパートが自由にさせてくれるボトムを構築しているドラムだなあって思う。音が太く、しかも安定してる。俺みたいな上っ面の主張じゃなくて、“バンドを支えるのが俺”っていう主張。

公太:上っ面の主張(笑)?

Sakura:そう、俺は上っ面(笑)。


▲五十嵐公太

──Sakuraからみて五十嵐公太のドラムは?

Sakura:公太さんは、最初に出逢った時がジャパメタ傾向の人で、その時代を生きていた人だと思ったけど、実はそうじゃなくて、歌ものがほんと好きな人なんだって思った。常に技術やセッティングに関しても目新しいものをいろいろトライしてて。

公太:ははは(笑)。

Sakura:ほんといいことだと思う。だって、落ち着くとそういうのやんないじゃないですか。それでPearlのスタッフを困らせてるんでしょうけど(笑)。

公太:いやいや、Sakuraくんほどではないですよ。

──shujiから見て、Sakuraと五十嵐公太は?

shuji:公太さんとは12月の<EXCITE Drum!!>で初めて共演させていただくことになるんですけど、現段階では公太さんのイメージはJUDY AND MARYになっちゃう(笑)。ロックっぽい曲もたくさんあるけど、ポップスを叩かせると一番なのかなっていう。でも今回一緒にやらせてもらうので、印象が変わってくるのかもしれない。Sakuraさんは、元々はL'Arc-en-Cielのイメージしかなかったけど、ここ何年かは結構一緒にやらせていただいているんで、公太さんがおっしゃったような、細かいドラムを叩く人なんだなってわかった。

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