【インタビュー】ラストアイドル、総当たり戦<ラスアイサバイブ>を乗り越えた心に沁みる「Break a leg!」
ラストアイドルが、11thシングル「Break a leg!」をリリースする。今回のシングルの表題曲を歌唱する17名は<ラスアイサバイブ>と銘打たれた全496試合の総当たりバトルによって選出されており、さらに選抜メンバーで立ち位置入れ替えを競う立ち位置バトルも開催されるなど、約2ヶ月弱にわたり個々のパフォーマンスでもって仲間と切磋琢磨をする企画となった。殺陣や団体行動、ボリウッドダンスなど様々な挑戦をしていたラストアイドルの、原点回帰とも言える1対1のパフォーマンスバトル。そのなかで彼女たちはどんな気付きを得て、どんな思いのもと「Break a leg!」をレコーディングしたのだろうか。選抜メンバー17名から、阿部菜々実、鈴木遥夏、下間花梨、大場結女、町田穂花の5名に話を聞いた。
◆ ◆ ◆
■メンバーと毎日顔を合わせていることが救いでもあったんですよね。
■戦う者同士だからこそお互いを励まし合うことができた
──11thシングル「Break a leg!」は、表題曲の歌唱を総当たりバトル<ラスアイサバイブ>の上位17名が担当しています。まず、今回のバトル形式を知った時の心境を教えていただけますか。
鈴木遥夏:総当たり戦は怖い気持ちもあったんですけど、一度きりではなく何度も挑戦できるからチャンスがあるなと思いました。長期間開催されるからこそ自己プロデュースの傾向と対策も練られるし、「愛を知る」で過酷なバトルを経験しているぶんちょっと気がラクだったんですよね。
▲鈴木遥夏
──前回のように共通の課題ではなく、お互いの特技や個性を生かしたうえでのバトルだったことも大きいのかもしれませんね。
大場結女:でも自分に自信がないタイプにとって、総当たり戦は恐怖と不安が大きくて(苦笑)。昔は“はじめまして”の状態から1対1のバトルだったけど、一緒に切磋琢磨してきた仲間と1対1で競わなきゃいけないから、心が苦しかったです。だから総当たり戦と聞いた日は涙が止まらなくなって、おうちに帰るのもつらかった……という思い出がありますね。
町田穂花:わたしは意外とすんなり受け入れられました。でも「愛を知る」からずっと選抜メンバーとして活動させていただいていたので、選抜落ちの恐怖はありましたね。やっぱりラストアイドルとして活動しているからには前に出ていきたくて……その自分の思いに自分の出す結果が追いつけるのかなって。
下間花梨:選抜制だと誰が選ばれる/選ばれないという話になってくるので、わたしとしては前作「君は何キャラット?」の全員選抜がありがたかったんです。だから余計に今回選抜制と聞いて気が重くて。メンバーと戦うのもつらいし、また選ばれる人と選ばれない人が出てくるんだな……という気持ちは大きかったですね。
──バトルへの考え方はメンバーさんそれぞれで異なるんですね。阿部さんはいかがでしょう?
阿部菜々実:496試合と聞いて全然想像がつかなかったし、ご時世的に「本当に全試合無事に開催できるのかな?」という不安があって。だから最初聞いた時は中止になるんじゃないかと思ってました。31回自分のパフォーマンスを観ていただけるのはありがたい反面ハードですし、みんなとの関係性が出来上がったうえでの1対1のバトルなので、1試合終えるごとにメンタルにくることは想像できて。だから最初は不安でした。
▲阿部菜々実
──すごく精神力を使うバトルだったと思うんです。どうやってメンタルをキープなさっていたのでしょう?
鈴木:ごはん食べてても電車に乗っててもサバイブのことばっかり考えていて。面白くて笑っていてもすぐサバイブのことが過るから、心から笑えない生活が続いて……!
一同:あははは!
鈴木:だからサバイブのことが頭から抜ける日はなかったです。でもメンバーと毎日顔を合わせていることが救いでもあったんですよね。戦う者同士だからこそお互いを励まし合うことができたんです。
阿部:わたしは嘘でも“楽しい!”と言っていないと、すぐ崩れちゃいそうでした。試合が終わるたびにファンの方々とオンラインでミーティングをする機会があって、そこでも毎回“楽しかった”と笑顔で振るまって、なんとか自分の精神を保っていました。ファンの方々がパフォーマンスのたびに“すごく良かったよ”や“感動したよ”とたくさん感想を送ってくださったことで救われました。やっぱり、頑張っているのに観てもらえないことがいちばんつらいから──ファンの方々のおかげで乗り越えられましたね。
下間:わたしは“やるしかない”だけでした。連敗していると自信もなくなるし、そういう時に限って歌唱パフォーマンスで明るい曲を選んでたりして、笑うようなメンタルでもないのに笑わなきゃいけなかったりして(苦笑)。自信がなくなると投げやりになって“どうせわたしなんて”と練習も気が散っちゃって、そんな自分にいらついて……。でも辞退するか続けるかしか選択肢はないから、だから“とにかく意地でもやり続けるしかない”と自分を奮い立たせてましたね。
大場:わたしはサバイブの日と練習時間以外はなるべくサバイブのことを考えないようにしました(笑)。趣味に没頭したり、家族と過ごしたり、メンバーと連絡を取る時もサバイブ以外の話をしましたね。ファンの方々と配信で話す時は“楽しくやってるよ”と言って。阿部さんと同じように、そうしないと心が崩れてしまいそうだったんです。“どんなに結果が悪くても泣かない”というルールを自分に課して、“楽しかったよ”と言い続けてメンタルを保っていました。
──メンタルキープの方法も人それぞれですね。町田さんはいかがですか?
町田:寝てました(笑)。
一同:あははは!
大場:寝るの大事!(笑)
町田:睡眠削ってでも練習時間を作るべきかもしれないんですけど、ストレスなく何も考えずに過ごせる唯一の時間が睡眠だなという考えに行き着いて(笑)。サバイブは週末だったので、平日はとにかく自分が寝たい時間に寝て、起きたい時間に起きて。起きてる時間は頑張ってサバイブに向き合ってましたね。
▲町田穂花
──その結果17人の選抜メンバーが決定し、さらにその選抜メンバーのなかで立ち位置を決めるために、自分より上位のメンバーを指名して立ち位置を入れ替える1対1のバトルも開催されました。わたしも配信を観ましたが、尋常ではない緊張感だったのではないでしょうか。
阿部:全員がすべてのバトルを客席側から観ているんですけど、挑戦する側の子のつらさも、される側の子のつらさもわかるので、“とにかくどっちも頑張れ!”と応援するしかなくて。でもみんなの本気のパフォーマンスに圧倒されてばかりでした。メンバーのそんな姿をこんな間近で見られることはないので、1回1回が感動でした。素敵なメンバーばかりだなと思っていましたね。
鈴木:メンバーが頑張ってる様子に感動して、試合ごとに涙が出てきて……おばあちゃん並に涙腺が弱かったです(笑)。でもいつ指名されるかわからないので、パフォーマンスが終わった瞬間に“次の子に指名されたらどの曲を歌おう、どんなパフォーマンスをしよう……!”と必死に考えて頭がパンクしそうでした。
大場:立ち位置バトルは、サバイブ期間とは全然違う感情なんですよ。
一同:うんうん。
大場:あの日は特別怖かったし、いちばん迎えたくない1日だった。
──そんなシビアな状況を乗り越えたからこそ、得られるものも多かったのでしょうか。
阿部:いろんな楽曲をパフォーマンスしたので、表現の幅やジャンルが広がったと思います。あとは、対戦相手の子に合わせた選曲や服装にしていたので、メンバー一人ひとりのことをじっくり考えることができたんですよね。これまで関わりが薄かったメンバーも含めて、それぞれのメンバーの良さを実感できたというか。サバイブが始まる前は距離が遠くなるんじゃないかと思っていたんです。でも終わってみたら、自分のなかではメンバー一人ひとりへの思いが深くなりました。距離が縮まりましたね。
鈴木:うん、たしかに。
──なるほど。バトルを通してメンバーのことを深く知ることができたんですね。
▲大場結女
大場:メンバーのこともたくさん知ることができたし、自分のことも見つめ直しました。わたしは自己分析が苦手だったんですけど、今回のバトルの期間で“どういう楽曲でパフォーマンスをしたら自分らしさが出て、投票したいと思ってもらえるかな”といっぱい考えたんです。そしたら自分の強み、自分の弱み、メンバーの強みが見えてきて。そしたら“この子のこういうところすごいな”とあらためて尊敬する気持ちが生まれたんです。いろんなことに気付けた期間でした。
町田:自己プロデュース力はみんな上がったんじゃないかなと思います。仲間のことも自分のことも知ったぶん、ラストアイドルへの思いはみんな強くなったんじゃないかな。
下間:うん。この約2ヶ月間で自分ひとりではなく、ファンの方々と一緒に自分の強みは何なのかを考えたので、ファンの方々とも絆が深まって。バトルを重ねていくうちに自分の強みや弱みも見えてきて──結女も言っていたけど、いろんなことに気付けた期間でした。
▲下間花梨
──「君は何キャラット?」やボリウッドダンスとは異なる観点で、メンバーさんの個性をより磨くきっかけになったのが今回のバトルだったんですね。シングルのタイトルになっている“break a leg”は主にステージに立つ人への激励の言葉なので、ソロパフォーマンスバトルを乗り越えたみなさんにぴったりだと思います。楽曲にはどんな印象を抱いていますか?
町田:すごく爽やかな曲なので、今までのラストアイドルにない感じだと思いました。あと、キーがいつもより低くて歌いやすい!(笑)。
一同:あははは!
鈴木:「何人も」はかっこいい系、「君は何キャラット?」はパンチのある曲だったので、王道寄りのアイドルソングは最近のラストアイドルにありそうでなかったというか。歌詞も“投げやりになってもいいから自分を信じて頑張ってね”というニュアンスが強い気がして、サバイブを終えたからこそ余計に心に響いてきました。
大場:これだけたくさんのバトルをしてきたので、次のシングルはバトル要素の強いかっこいい曲だと思っていたんです。そしたら爽やかなメロディと英語のフレーズが飛び込んできて──ここまで歌詞に英語が入ってるのが初めてだったので、英語のインパクトがありました。“何て言ってるんだろう?”って、聴いた瞬間から気になっちゃいましたね。あとは《やるしかない》みたいながむしゃらな感じのワードも印象的でした。
下間:今までのラストアイドルは“雨”や“曇り”のイメージが多かったんです。でもこの曲はすごく爽やかで、真っ青な空のイメージがありました。歌詞もシビアなことを歌っている箇所もあるけどすごく前向きで。これだけのバトルを勝ち抜いて、みんなサバイブが始まる前よりも自信をつけているから、今のわたしたちにすごくぴったりの曲なんじゃないかなと思っていますね。
阿部:わたしも“これから戦いに行くぞ! 戦闘力100%!”みたいな強い曲が来ると思ってたんです(笑)。でも蓋を開けてみると正統派の応援ソングでびっくりしました。これまでのラストアイドルは反骨精神やネガティブからの底力を感じる曲が多かったし、ラストアイドルはそういうグループだとも思っていたんです。だからイメージがガラッと変わると同時に、いろんな経験をしてきたわたしたちがこういう前向きな歌詞を歌うからこその説得力や伝わるものがあるんじゃないかなって。わたしたちの背景を知っている方々には、なおさら響く曲なんじゃないかなと思っていますね。
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