【インタビュー】Blue Vintage、新世代のハイブリッドサーフポップの旗手とラップシーンのトップランナーとの出会いが生んだ「アルゴリズム feat.SALU」
■いろんな情報がある中でも自分の大事にしているものを忘れずにいれば
■新しい出会いもきっと素晴らしいものになる
――Blue Vintageとして、「アルゴリズム」はどんなメッセージを打ち出そうとして作った曲ですか。
Taiga:今までのブルビンはオーガニックなサウンドに持って行くことが多かったんですけど、今回は曲のテーマが「インターネットの世界」だったので、インターネットの世界を宇宙に見立てて、あんまり使ったことのないデジタル音だったり、浮遊感のある気持ち良いサウンドを入れてみようというチャレンジをしています。Tasuku Maeda (TinyVoice,Production所属の音楽プロデューサー)くんという、僕らの初期の作品からお世話になってる作家さんがいるんですけど、その人とそういった話をしながら作っていきました。
J.Speaks:今は次のアルバムの構想を練っていて、ある大きなテーマに沿って曲作りをしているんですけど、その中で「アルゴリズム」というワードが出てきたんです。最近はコロナでライブができないぶん、SNSでの活動を活発にやっていたんですけど、SNSでなぜ自分の趣味に合うようなものが「おすすめ」としてバンバン出てくるのか?と思って、人に聞いたら、「それがアルゴリズムだよ」と言われたことが始まりです。そこから「アルゴリズム」という題材を面白く使えないかなと思って、いろいろ模索していた頃に、Taigaとプロデューサーの佑くんから「遊びでこういう曲を作ったんだけど、どう?」と言って送られてきたものがあって。それを聴いて自分もフィールして、自分の中にあった「アルゴリズム」のパズルみたいなものがバチっとハマって、けっこうすぐ返したよね?
Taiga:そうだね。その日は自分とJUNくんと一緒にプロデューサーの家で作業していたんですけど、JUNくんが帰ったあとにプロデューサーと自分が残って、「何も考えないで作ってみない?」「それ面白いじゃん」ってなって、その場でバーッと作ってJUNくんに送ったんです。そしたらJUNくんも「めちゃくちゃ良いじゃん」と言ってくれて、もうその日の夜にはヴァースを歌っているものが返ってきた。
J.Speaks:その時から、「絶対誰かラッパーを入れたい」と言ってたんだよね。「ここが埋まれば絶対かっこよくなるから。欲を言えばSALUくんがいいな」って。
SALU:あざーっす。
――トラックを聴いて、JUNさんもSALUさんも、すぐにフィールして返してきた。すごいパワーがあるトラックじゃないですか。
SALU:最初に3人の間で起きた化学反応が、そのまま伝わってきた。やっぱり音楽って伝わるんですよね。伝える力がすごく強い楽曲だったということなんですかね。
――SALUさんのリリックには、「君に声を掛ける」「遠くの君まで届く」というふうに、つながりを求めるワードがいくつも出てきます。
SALU:それも、意識したわけではないんですね。普段はそんなにそういうことを言うわけでもなくて、どっちかというと自分の世界のことを書いているんです。でも、この楽曲の持つ力だったり、JUNさんの最初の歌詞に引っ張ってもらって、僕の中にあるものが自然に出ていって、一つになって流れて行ったという感覚ですね。
――「大事なのは自分の頭で考えることさ」というフレーズは、SALUさんらしいなと思いました。
SALU:それも、この楽曲の絶妙なところだと思うんですけど、「この世はAI(アイ)だらけ」という、人の脳みそと、AIという人工知能と、あとはもっと大いなる力というか、神様のようなものと、その三つが重なっているような気がしていて。
JUN:ああー。
SALU:だから、自分で考えているようで、あんまり考えていないというか。「魂」というとスピリチュアルになっちゃうけど、自然に反応している部分があるので。その三つがうまい具合に仲良くやっていけたらいいよね、という感じです。
――この曲、構成が面白いんですよね。JUNさんのヴァース、フック、ヴァースと続いて、そこからSALUさんにバトンタッチして、そのあとのSALUさんのヴァースがかなり長いんですね。トラックもどんどん展開していくし。
SALU:そうなんですよ。僕も最初にデモを聴かせてもらった時に、感覚でしかわかんなくて、構成をちゃんと書き出した時に、「こんな感じなんだ。珍しいな」とは思っていました。面白いですよね。
J.Speaks:これは、実は裏話があるんです(笑)。
――えっ?
J.Speaks:サビが終わったあとに、ギターが遊ぶパートを作ったり、「遊びと余白」の部分を置いていたんですけど、(SALUのラップが)返ってきた時に、全部埋まっていたんですよ。
SALU:あ、そういうことだったんですね。あそこは僕が入れるところじゃなかったんだ(笑)。すみません。
J.Speaks:いや、逆にそれで、より良くなったんですよ。
Taiga:そうそう。
J.Speaks:ずーっと平坦なところにラップを入れてもらうより、トラックが動いてる中でドラマを作ってもらったほうがいいから、「こっちが確実に正解だったんだな」というふうに聴いた瞬間に思ったんで。逆に感心しちゃったよね。「SALUくん、言いたいことがいっぱいあるんだ」って。
SALU:すごい恥ずかしいな(笑)。
――ちょっとした勘違いから生まれた名曲。最高に面白いエピソードです。
J.Speaks:ああいう構成になることで、僕らとSALUくんがより対等になったというか、フィフティ・フィフティで、ブルビンとSALUくんでコラボしてるんだなという形に見えたので、よりうれしいですね。
Taiga:うちら的には、少しでも長くやってほしいからね。
SALU:いくらでもやりますけど、まさかTaigaくんのパートをつぶしてラップしちゃったとは思わなかったんで(笑)。
Taiga:いやいや(笑)。構成のことはSALUくんに言ってなかったし、そのあとに付け加えることも全然できたんだけど、聴いていて「このまま行こう」となったんで、全然OKです。
SALU:それなら良かったです。だから今度、「もし良かったら」なんですけど、もっと前のギターのメロディとか、そういうところから3人で作るということを今度やらせてもらってもいいですか。そうすると、もっといろいろできるんじゃないかなと思うので。
Taiga:もちろん。それこそ、SUNNY BOYくんと一緒にやるとかね。
J.Speaks:やりましょう。
――ちゃんと文字に残しておきますので。お願いします。
SALU:SUNNYさんちに集合!という感じで(笑)。
――今日は、興味深い話が聞けてありがとうございました、最後に、Blue Vintageからファンのみなさんへメッセージをもらえますか。
J.Speaks:今年はBlue Vintageとしていろんな方とコラボをさせていただいたんですけども、今回の「アルゴリズム feat.SALU」で最高の出会いを迎えて、今年を締めくくれるのがうれしいです。聴いてくれるみなさんにも、「アルゴリズム」のように日ごろの積み重ねだったり、そういったものの答えがポッと出てくる日があるかと思うんですけど、この曲を聴いて、いろんな情報がある中でも自分の大事にしているものを忘れずにいれば、新しい出会いもきっと素晴らしいものになるだろうし、前向きな気持ちで来年を迎えてほしいなと思います。そして来年はぜひライブをどこかで、SALUくんとやりたいです。
SALU:そうですね。ぜひお願いします。
取材・文:宮本英夫
リリース情報
ライブ・イベント情報
■2021年11月23日(火・祝) / 会場:ビルボード大阪 [GUEST:bird]
※特別営業時間となります。
[1st] 開場14:30 開演15:30 [2nd] 開場17:30 開演18:30
■2021年12月3日(金) / 会場:ビルボード横浜 [GUEST:鈴木愛理]
※特別営業時間となります。
[1st] 開場14:30 開演15:30 [2nd] 開場17:30 開演18:30
ビルボードライブ公式HP(http://www.billboard-live.com)
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