【楽器人インタビュー】小鳩ミク(BAND-MAID)「演奏中にカワイイは要らないっぽ」
小鳩ミク。今では世界中のロックファンから注目を集める、言わずとしれたツインボーカル・ツインギターを擁するBAND-MAIDのギタリスト/ボーカリストである。バンド初期はリッケンバッカーModel 620でコードバッキングをかき鳴らしていたが、現在はゼマイティスのシグネチュアモデルA24MF-FP“Flappy Pigeon”を武器に、図太いリフを轟かせている。
◆小鳩ミク 楽器画像
しかし、だ。日本はおろか世界を見渡しても、BAND-MAIDの小鳩ミクほど稀有なキャリアを築いてきたギタリストは見たことがない。バンドがやりたいと思いBAND-MAIDを結成し、活動をスタートさせたあとからギターを手にしているのだ。普通の感覚で言えば順番が逆だが、音楽をやりたい・バンドをやりたいという衝動が先に立ち、ステージでパフォーマンスを繰り広げながら現場でギターを習得していくというのは、音楽に没頭する姿としては、むしろ自然な運気にも見えてくる。
ギターという楽器にどのように対峙し、何を求め何を感じながらここまでの道程を刻んできたのか。ギタリスト小鳩ミクに、直球のインタビューを申し込んだ。
◆ ◆ ◆
■最初はギターは別に好きではなかったですっぽ。
■嫌いまではいかないけど、好きではないなあ…みたいな(笑)
──さて、今回はギターの話です。ギタリストとしてのインタビューになります。
小鳩ミク:少し緊張しますっぽ(笑)。お願いしますっぽ!
──あの…BAND-MAIDを始めたときにギターも始めたんですね?
小鳩ミク:正確に言えば「BAND-MAIDを始めたときに」っていうよりは「BAND-MAIDを始めた後からギターを始めた」っていうのが正しいですっぽ。
──どういうこと?おかしくないですか?
小鳩ミク:バンドを組むときに各パートを決めることが多いと考えると、確かに順番がおかしいですっぽね(笑)。
──でもギターがやりたかった?
小鳩ミク:いや、そんなことはないですっぽ。
──え?
小鳩ミク:ギターがやりたい・やりたくないではなく、その…まず私がきっかけでバンドを作ったんですけど、ツインボーカルのほうが楽曲の幅も確実に広がるのでツインボーカルになりましたっぽ。始めた当初はハードロックというジャンルの楽曲ではなかったんですけど、カッコいい楽曲をやるにあたって、ギターがもう1本あったほうがバンドサウンドとしてよりいいよねってなったんですっぽ。メンバーはもう5人で固まっていたし「もうひとり入れるのは違うね」ってことで、「(小鳩ミクかSAIKIの)どっちかが楽器をやったほうがいい」ってなったときに、SAIKIは「私は演らないよ」ってなったんで、「じゃあ小鳩が持ちますっぽ」となりました。そこからですっぽね。
──SAIKIが「私は演らないよ」って言ったときは、「あ、やっぱり」って感じ?
小鳩ミク:そうですっぽ。みんなで「ま、でしょうね」って。私がバンドを作ったっていうのもあったので「わかりましたっぽ。ギターは小鳩が持ちますっぽ」って。
──(笑)そこからは猛練習ですか?
小鳩ミク:そうですっぽね(笑)。音の厚みとして欲しかったけど、最初はそんなに小鳩のギターは重要視されてなかったというか形として持っていた方がいいねくらいの役割でしたっぽ。ツインボーカルだったけどツインギターとは言ってない感じだったから曲によってはギターを降ろすし、曲によっては白玉でジャーンって鳴らすだけだったり。
──リッケンバッカーの620を使っていた頃ですよね。
小鳩ミク:そうですっぽ。初めて触るギターだったので練習はものすごくしましたけど、その、なんだろ、今ほどたくさん弾いている感じでもないので、ほんとに「鳴らせればいい」「持っていてさまになる感じに早くなるといいね」という感じで。
──いざ始めると、指が痛かったりうまく動かなかったりと、大変でしょう?
小鳩ミク:最初はめちゃくちゃ指も痛かったですっぽ。でも蓋を開けてみたら「もうちょっと弾いた方がいい、もうちょっと弾いた方がいい」ってどんどんなっていったので、最初はギターは別に好きではなかったですっぽ。嫌いまではいかないけど、好きではないなあ…みたいな(笑)。
──元々はボーカリストですもんね。
小鳩ミク:そうですっぽ。別にギタリストになりたいわけではなかったので。そういうところからのスタートではあったんですけど、今ではギターがすごく好きですっぽ。ギタリストの自覚があるのかと言われたら、あんまりないと思いますけど。
──とかいいながら、今ではゼマイティスから小鳩ミク・モデルも登場したわけで。
小鳩ミク:最初は事務所に置いてあったフェンダーを持ってライブし始めたんですけど、その時はただのお飾りみたいな感じでしたっぽ。その後から、もうちょっとちゃんと演ったほうがいいねって、ギターを初めて買いに行ったんですっぽ。それがリッケンバッカー。自分の初めてのギターっていうので、そこはすごく覚えてますっぽね。
──なんでリッケンバッカーだったんですか?
小鳩ミク:何も知らずに、完全に見た目で選びましたっぽ。メンバーは何となくレスポールとかテレキャスとか王道を買ってくると思っていたらしいんですけど、でも私は、よく見る形のギターがいやだったんですっぽ。
──どうして?
小鳩ミク:反骨心じゃないですけど、ちょっと他の人と違う感じを持ちたい…KANAMIが持っているギターとはまた違う感じで持ちたいっていうのがあったんで。
──リッケン620はコンパクトで小さいから、身体にフィットするというのはありますね。
小鳩ミク:サイズ的に、フェンダーを持っているとどっちが持たれてるんだかわかんないって感じだったんですっぽ(笑)。持ち方もあまりサマになっていないし、ギターに持たれてる感じがすごくいやですっぽ。自分のサイズ感にあって見栄えも他のギターとはちょっと違うギターを探して、ほんとに結構な軒数の楽器屋さんに行ったんですけど、そこで見つけたのがリッケンバッカーで。
──ピンときた?
小鳩ミク:形もすごく可愛くて小柄だし、カッコいいっぽって思って。ただ黒白が良かったんですけど、その店には赤白と青白しかなくて。
──黒より赤や青の方が可愛くていいと思うけど。
小鳩ミク:衣裳が黒白だからギターも黒白がいいって、そこだけ決めてたんですっぽ。
──音とか弾き心地は?
小鳩ミク:分からなかったですっぽ。だってまだ初めて2~3ヶ月だったので「音なんて分からないっぽ」みたいな。まだそんなにコードも知らなかったので、ほんとに何も知らない状態からの楽器だったんですっぽね。小学生みたいな感じで、初めてのお使いみたいな(笑)。なんで音よりもまずは見た目で買いましたっぽ。
──それでステージに立ってるんだから面白いなあ。
小鳩ミク:そうですっぽね。だからギタリストさんからしたら「何だコイツは」って(笑)。
──その次のギターは…?
小鳩ミク:次はもうゼマイティスですっぽ。その頃から曲がどんどんハードになっていって、リッケンじゃ足りないって。年月を経ていくにつれて成長に合わせて小鳩の音もちょっとずつ出してきたときに、ふたりの弦楽器の音に負けちゃって何も聞こえてこないし、出しても出ない、出し過ぎたら浮いちゃうし合わないねってなって、そろそろリッケンじゃなくて今の楽曲に合ったギターを…って。
──ちょっとギタリストっぽい発言。
小鳩ミク:もちろんリッケンでも合う曲もあったんですけど、とにかく激しさを求める曲の方が多かったので、これだと刻むにしても厚みが足りないし、もうちょっと重めというか、その刻みに合うギターをもう1本持とうってなったときに、ゼマイティスさんとご縁があって。私はゼマイティスにピンときたっぽ。見た目も音も。
──そこでC24MFを手にしたんですね。
小鳩ミク:メタルフロントのリーフですっぽね。その頃にはちょっとずつ分かるようになってきていた(笑)ので、いろいろ弾かせてもらって、メタルフロントのジャキジャキ感や重みがすごく輝いてるというか、輝きや艶感があって。リーフも好きだったっぽ。
──もう立派なギタリストですね。
小鳩ミク:成長しましたっぽ(笑)。
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