【レポート・インタビュー】BUZZ-ER.、『Lantana』の“七変化”を生み出した新天地での挑戦

■音源を聴いてたら涙が溢れてきちゃって。
■“BUZZ-ER.で良かった”としみじみ思った

──CHIBAさんが作詞作曲編曲に携わっている「Say-hey-key」は展開が多く、バンドサウンドとプログラミングで構築されたアレンジなので、VOCALOIDクリエイター的なアプローチのトラックだと思いました。

CHIBA：ああ、僕としてはキャッチーなロックに、僕らがもともとやってきたEDM要素を入れたつもりだったんですよ。それでボカロっぽいと思ってもらったのかな。

──ああ、なるほど。リリースパーティーのMCでも“ライヴ感のある曲”とMCで話してらっしゃいましたね。

CHIBA：お客さんに気に入ってもらえるポップな曲を目指しました。歌詞はお上品にお下品なことを歌うというコンセプトです（笑）。僕、ファンの人のツイートやInstagramストーリーズをよく見るんですけど、そこでよく“性癖に刺さった”という言葉を見掛けるんですよ。世間で“性癖”がポップなワードになってきているなら、曲のテーマに使っても受け入れてもらえるんじゃないかなって。……でもそのままだと品が良くないなと（笑）。自分なりに可能な限り上品に書きました。

SAKU：タイトルを発表した時は“またおふざけ曲でしょ？”みたいなリアクションがたくさんあったよね（笑）。

CHIBA：あったね～（笑）。でも尖ったワードを使っているだけに、おふざけ曲には絶対にしたくなかったんです。友達のマサと協力して、かっこいい曲にすることを心がけましたね。かっこいいを土台に、遊び心を入れられたと思います。

HAU：かっこいい曲だからチーム内で“Say-hey-keyという名前で出していいのか問題”も勃発しました（笑）。歌詞にある“2push”案もあったんですけど、最終的にはインパクト重視でここに落ち着きましたね。



──CHIBAさんが作詞を担当した「Life is da show」はCHIBAさんのゴリ推しで収録が決まったそうですが。

CHIBA：トラックを聴いた瞬間にみんなに“これやりたい！！　やらせてください！！”と頼みました（笑）。BUZZ-ER.はライヴの現場を大事に活動してきたグループなんですけど、僕は岩手出身だからライヴ文化があまりなくて、10代の頃はイヤホン越しに音楽を楽しんできたタイプなんです。ライヴではない環境でも聴いていて“いいな”と思えるものを作りたくて、メッセージ性が強いものになったというか。普段の生活で聴いて心に染みるものになっていたら、作詞した自分としてもうれしいですね。

HAU：俺、「Life is da show」には夢があって。いつか生バンドと一緒に披露したいんだよね。

全員：あ～！　めっちゃいい！！

HAU：本当におしゃれな曲だから、生演奏だったら絶対にかっこいいよ。夢が実現できるように頑張ろうな！（笑）

──SAKUさんとHAUさんは、メンバーのソングライティングをどのように感じていますか？

SAKU：贔屓目ではなく素晴らしいと思います。メンバーだからこそBUZZ-ER.の見せたいところ、やるべきことをよくわかっている。言葉選びも含めて、自分が気に入るものが多いんです。リスペクトだし、ナイスゥ！って感じです（笑）。

HAU：いい曲を作ることへの執着心がすごいんですよ。それが天才的な個性だと思います。メンバーそれぞれ得意分野が違うので、全員リスペクトできるんですよね。

SHUN：僕ら本当に、育ってきた環境や聴いてきた音楽がバラバラで。メインヴォーカルの僕らでも、CHIBAちゃんはアカペラの経験があるから「Life is da show」とか「Burn In Burn Out」みたいな曲もめっちゃ歌いこなせるし、僕はJ-POPやロックを聴いて育っているからそっち系の曲が強い。さっくん（SAKU）はアニメが好きだし、HAUちゃんはベトナム人で最近は海外のEDMが好きだし。

CHIBA：HAUん家行くと、めっちゃすごい低音がズンズン鳴ってるよね（笑）。

HAU：（笑）。だから「S.R.R」のデモ聴いた瞬間に“これめっちゃいい！”ってゴリ推しした！

──“爆裂顔ラン最強グループ”とは銘打っているものの、何よりも大事なのは“全員のセンスやルーツを土台にしたかっこいい音楽”ということですね。

4人：うん。間違いないですね。

──壮大でエモーショナルなスローナンバー「Stay with me」も新機軸ですよね。ファルセットも多用されていて、胸に迫る歌が印象に残りました。歌とどう向き合っていったのでしょう？

SHUN：今回のヴォーカルディレクションはCHIBAちゃんと僕でやっていて、ハモは主にCHIBAちゃんが入れてくれているんです。「Stay with me」とラストの「Will」は歌を聴かせる楽曲なので、ヴォーカルディレクションは“ここはファルセットだけど、ここは地声で！”みたいに細かいところまで気を配りましたね。みんなも頑張ってくれたおかげで、すごくいいテイクが録れました。

HAU：俺、この前夜に自分たちの録音した「Stay with me」の音源を聴いてたら涙が溢れてきちゃって。“BUZZ-ER.で良かった”としみじみ思ったんだよね。

SHUN：ちなみに俺は昨日の夜、帰り道でその現象が起こったよ（笑）。「Stay with me」聴きながら歩いてたら泣けてきちゃって！！

SAKU：俺は新曲7曲のなかで、「Stay with me」がいちばん好きなんだよね。本当にいい曲だよね。

CHIBA：サビのラストの《君に触れていたいだけ》という部分は、最初拍にしっかり合わせて歌っていたんですけど、SHUNとエンジニアさんに“もっと心に迫る歌が歌えるんじゃない？”、“もっと自由に歌いたいように歌ってみて”と言われたんです。だから心の赴くままに演歌のごとくすっげえタメにタメて歌ったら、“それだ！！”と言ってもらって。

SHUN：このテイクが出た時、思わず拍手しましたね……。“これこれ～！！”って。


──「Stay with me」のような壮大な空気感で終わらせず、ラストが「Will」のような軽やかな曲なのも、グループの物語がまだまだ続いていくという期待感を煽ってくれるような気がしました。

SHUN：最後の曲は「Stay with me」派と「Will」派で揉めました（笑）。でも「Will」は作詞家のSyowさんがBUZZ-ER.に宛てて書いてくれてるように感じたんですよね。歌っていて前を向けるんです。CHIBAちゃんと俺はデモの時点で“ラストはこれ決まりでしょ！”と即決でしたね。

CHIBA：うん。デモ聴いた瞬間に泣きそうになったもん。もともとは“Stand Up”というタイトルだったんですけど、アルバムの最後の曲だから“これからも続いていく”という“未来”、さらに“意志”という意味も含んだ“Will”に変えたんですよね。……でもさっくんがそのあとにすごい提案をしてきて（笑）。

SAKU：「Will」というタイトルではインパクトが弱いし、タイトルは歌詞から引っ張ってくるのがいいんじゃないかな？と思って、サビ頭の歌詞を使った“Will ～世界中が僕を馬鹿にしようが～”を提案したんですけど、みんなから即却下されました（笑）。

一同：あははは！

SAKU：じゃあ“Will ～セカバカ～”にしよう！　と提案してまた即却下されました（笑）。

CHIBA：波線で挟んだサブタイトルは平成初期の匂いしかしないのよ（笑）。

HAU：でもさっくんの気持ちはわかるんだよ。インパクトのあるものにしたいから（笑）。

SAKU：うん。俺はサブタイトルいいと思うよ？

▲『Lantana』通常盤

──1曲1曲に一人ひとりの並々ならぬ思いが込められていることが深く伝わってくるお話でした。この新曲たちをライヴで披露したら、さらにカラフルなステージになりそうです。

SHUN：新曲が7曲なので、「B LIKE U」はMVからもわかるとおりラップ担当のYUYAくん、「Feel Good」は作詞もさせていただいた僕、「Life is da show」はCHIBAちゃん、「Say-hey-key」はHAU……という感じでダンスパフォーマンス上で1曲ずつ主人公を決めたんです。4年半活動してきたからこそ出来ることだし、一人ひとりが主人公になることでより曲の意味も濃くなった気がしていて。

SAKU：初めての試みだよね。BUZZ-ER.はメンバーそれぞれに良さがあるぶん、飛びぬけて目立つメンバーがいるというグループではないから、そういうパフォーマンスがすごく新鮮で楽しいんです。

SHUN：これまで挑戦したことがない曲調が多いのと比例して、初挑戦するダンスがすごく多くて。それらをうまく表現できるスキルがつけば、さらにお客さんが観ていて楽しいステージになるんじゃないかなあと思うので……頑張ろうね！！（笑）

SAKU：そうだね！　これを乗り越えたらまたひと回り大きくなれると思う。

HAU：うん。七つの蕾を綺麗に咲かせましょう！


──11月20日から1ヶ月間で回る七大都市ツアーで、また新しい景色が見られそうですね。

SAKU：これまでBUZZ-ER.を観てきた子たちにもいい意味で“今まで見たことのない新しいBUZZ-ER.だ”と思ってもらえるステージにしたいですね。『Lantana』含めて、これからのBUZZ-ER.に可能性を感じてもらえたらうれしいです。

CHIBA：この新曲たちを披露するステージは、現時点で未知の部分が多くて。丹精を込めて作った楽曲たちが、ステージの上の7人でどうやってアウトプットされていくのか……。自分たちでステージを観ることはできないけど、それがすごく楽しみなんです。

HAU：僕らは“顔がいいだけのグループでしょ”と思われなくない気持ちがすごく大きいんです。楽曲もダンスパフォーマンスも衣装もセルフプロデュースしていく姿をこれからも見せていきたいし、アーティストとしてもアイドルとしても認めてもらいたい。そんな七変化のBUZZ-ER.が見せられるステージにしたいですね。

SHUN：『Lantana』は僕らの新境地。一つひとつの音と言葉、すべてにこだわった楽曲だし、最初から最後まで聴くと泣いたり笑ったりできる。感情が動くアルバムだと思うんです。その感情が動かされる感覚をぜひ会場で体感してほしいですし、『Lantana』をぜひ愛してほしいです。

取材・文◎沖さやこ
ライブ写真撮影◎TOYO





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