【インタビュー】シキドロップ、「傘」が示した挑戦と現在位置
■今は、その時出したい曲を出したい、という気持ちがすごくある
■アレンジが出来次第に出る、みたいな感じ
──仁ちゃん、どうですか、悠人くんの書く歌詞って。
平牧:僕はすごく好きです。印象派の絵を見るかのような、写実的なようで写実的ではないというか、わかりやすいようで、実は雰囲気を描いているというか。だけど悠人の中にはしっかり軸があるから、どう取られても成立する歌詞になっていて、どちらかと言うとセンチメンタルで、はかなさを感じるんですけど、それがすごくいいんですよね。挑戦の1曲として作ったものなので、この1曲の風穴でさらに変わっていけたらなという、願いみたいなものがあります。
──はい。なるほど。
平牧:今までももちろん、素晴らしい楽曲をみんなで作らせてもらったと思っているんですけど、今回は威力が増しているというか、ポケモンで言うとタイプが違うというか(笑)。この曲だったらもっと遠くまで飛べる気がしていて、そういう挑戦という意味もありますね。僕自身すごい好きな曲ですし、出せてうれしいです。
──「後付けのプロ」を自称していたシキドロップが、今度は先取りするようになったんじゃないですか。あるいは、時代が追い付いてきたのかも。
平牧:そういう意味で、この曲は先取りかもしれない。もともと「育つ暗闇の中で」と同時期に作り始めて、そこから半年、1年経って、すごく意味を増してきた曲なので。後付けなのか先取りなのか、わからないですけど、不思議な縁みたいなものを感じましたね。
宇野:そこに関しては、完全に後付けですね(笑)。そもそも、今まで仁ちゃんが作ってきた世界観を崩したくないので、僕はあんまり歌詞を書きたくないなと思っていたんですよ、ずっと。
──ああー。そういう意識はあった。
宇野:ありました。以前は僕も、曲を作って聴かせたりしていたんですけど、仁ちゃんが作ってくれる世界観があるので、そっちを優先したほうが絶対にいいものができると思っていたので。特に三部作に関しては、一貫した何かが必要じゃないですか。なので、内容について僕はそんなに意見を言わないことが多かったんですけど、三部作が終わって、新しいことを始める時に、聴いてくださってるみんなは前の曲のイメージを持ってくれてると思うんで、そこで「シキドロップっぽいよね」と言われるのか、「微妙だね」と言われるのか、わかんないから。それが「シキドロップっぽいよね」と言われるのであれば、それこそ後付けで、「シキドロップのために作りました」と言える感じ?(笑)
──いい意味で、反応が楽しみです。そして、今後のリリースの展開も。
平牧:今は、その時出したい曲を出したい、という気持ちがすごくあるんですよ。溜めてドン!というよりは、アレンジが出来次第に出る、みたいな感じ。そのほうがいいよね?
宇野:僕は、そっちのほうがいいな。
平牧:変な言い方だけど、アーティストとして健康的に排出するみたいな。便秘にならない感じというか。
宇野:そうそう、それもあったんだよ。思い出しました。最初の話に戻るんですけど、「傘」を作るきっかけは、そういうことでもあった。前は三部作というコンセプトがあったり、ミュージックビデオを作るために、sakiyamaさんにも先に曲を送らなきゃいけなかったり、曲は出来上がってるのにリリースできない時間がめちゃめちゃ空いちゃったんですよね。それも良かったけど、アーティストとしては、今作ったものをポンポン投げて行ったほうがうれしいよね、という話で「傘」を作ったんだった。自分でアレンジもしちゃえば時間もそんなにかからないし、そうやって出そうという話になったんです。そういう流れでした。
──まさに、いろんな意味で新しい始まりの曲。
宇野:そうですね。「青春の光と影」「残響」「傘」の流れも、次に何の曲を出そうか?ということは、ついこの間決まったという感じです。「この曲のあとにこれを出したから、次はこれがいいよね」というものを、その瞬間で話し合えるのが良かったですよね。
平牧:今は、めちゃくちゃ速いじゃないですか。流行もそうだけど、時代もすぐに変わって、世の中のムードもすごい変わってしまう。僕はそれを感じやすいタイプなので、その時作りたい曲、届けたい気持ちもすごい変わっちゃうんですね。今の時代は、2年越しでやるとなると、曲の威力が落ちちゃう気がするので、今こうやって出させてもらえているのは、アーティストとしてすごい健全になって、ありがたいです。
宇野:ともかく、いいものができて良かった。
平牧:本当に気に入ってます。
▲シキドロップ/「傘」
──そして今回の革蝉さんのイラスト。「残響」から進化しましたね。
平牧:気づかれましたか。
──面白いですね。ちょっとずつ、何かが増えて行くのかな?って。
平牧:そこはぜひお楽しみにということで。アートワークも革蝉さんが一緒に考えてくださって、引っ張ってくれたところがあります。絵も大好きですけど、アイディアも素晴らしくて、出会いに感謝ですね。
──そうやって、ゆっくりと確実に進んでいくシキドロップ。
宇野:少しずつですが。
──このところ毎月会っていて、月刊シキドロップになってますが(笑)。次もまたすぐに会えることを期待してます。
平牧:こちらこそ(笑)。
宇野:絶賛作業中です。色々と楽しみにしていてください。
取材・文◎宮本英夫
デジタルシングル「傘」
[収録曲]
1. 傘
2. 傘(Instrumental)
Artist : shikidrop
Lyrics : Yuto Uno
Music : Jin Hiramaki
Arrangement : Yuto Uno
Jacket Illustration : 革蝉
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