【インタビュー】SCANDALのRINA、自身初シグネチャースネアを語る「人生の半分をドラマーとして生きてきた」
■やっぱりバンドのイメージって
■ドラムセットの色ひとつで印象が変わる
──新しいドラムセットのカバリングも、マットホワイトマリンパールという日本では発売していない特殊なものを使っているんですよね?
RINA:そうなんです。カバリング自体、デザイン性あるものにしたかったんですよ。ドラムセットはこれまで、ピンク、白、赤のセットを使ってきて、今回は真っ白ではなく柄が入ったデザインで、少しマットな質感。探し求めていたようなすごくオシャレでステキなカバリングだなってピンときました。日本でこの色を使っているのは私だけらしくて、本当にスペシャルなものができたと思います。
──遠目では白いシェルですが、近くで見ると、かなり凝った色合いですよ。
RINA:質感がすごく個性的ですよね。どんな照明にも映えて、光の色によってシェルのニュアンスが変化してくれるのが魅力的だなと思います。それにバスドラのフープは木の色を活かしたものなんですね。それがすごくいいナチュラルさを醸し出してくれていて、自然だけどアクセントになったと思っています。デザイン的にもお気に入りですね。
──以前使っていたドラムセットのシェルは薄いメイプル材のMasters Maple COMPLETEでしたが、今回はMasters Maple GUMです。叩き心地や音の質感もかなり違いますか?
RINA:ビックリするほど違うなって思ったんですよ。“この深みと響き方、めちゃくちゃ好き!”って。今の自分に合っているドラムだと思うんです。あと最近は、打ち込みの同期音を鳴らすペダルやトリガーも付けていて、その音との相性もすごくいいなって。絶妙なサウンドで、叩いていても本当に気持ちいい。私自身は機材の細かいところまで詳しくないんですけど、「こういう感覚になれる音がいいんです」って、ローディーやPearlチームのみなさんに伝えて、種類を選んでくださったり、カスタムしてくださったりしているんです。
──見た目も重視しながら、音にもこだわったという?
RINA:そうですね。見た目は、何かを作るときに一番最初に取りかかる部分でもあるので。やっぱりバンドのイメージって、ドラムセットの色ひとつで印象が変わると思うんですよ。そういう意味では何色にも染まれるようなホワイトをベースとして、ここから数年やっていこうかなと思っています。
──それにスネアにもドラムセットにも、バンド名と名前が刻印されたバッジ(プレート)が装着されているのも、おしゃれさんポイント。
RINA:バッジもオリジナルで作らせていただいて。スネアのシェルのデザインに合わせてお花がモチーフのデザインをバッジにも入れて、統一感を出してみました。細かいところまで、やれるところは全部こだわってみました(笑)。
▲Pearl Masters Maple GUM / RINA DRUM KIT
パール製マスターワークス(フルオーダー)の新素材ガムウッドをマスターズのラインナップに落とし込んだ2020年の新製品“MMG”を採用。シェルはメイプル4プライとガムウッド2プライによる等厚6プライだ。メイプル本来の温かみとガムウッドが持つ強靱さのマッチングによって、サウンド特性は中低音域がより強調されるとのこと。もちもちしたサウンドは歌もの系バンドのドラマーに好まれるなど、SCANDALサウンドとの相性も抜群。
▲セット構成は、バスドラム(22"×18")、タムタム(12"×8")、フロアタム(16"×16")、RinaシグネチャースネアRN1450S/C。シンバル類は全てセイビアン製で、HHXグルーヴハット (14")、AAミディアムシンクラッシュ (18")、AAスプラッシュ (10")、AAミディアムヘヴィライド (20")、AAX V-クラッシュ (18")、AAXチャイナ(18")。
──実際に大阪城ホール公演のリハーサルや本番で叩いてみた感触はいかがでしたか?
RINA:リハーサル初日に一打叩いただけで、“今までで一番いいやつができた!”って思ったんですよね。サウンドもビジュアルも、過去最高。大満足のドラムセットが完成しました。
──ほかのメンバーからの感想も気になるところです。
RINA:リハーサルのときに、嬉しくて自分から言っちゃいました、「新しいドラムになったんよ!」って(笑)。そうしたら、「今回は白にしたんやね、いいね!」って言ってくれました。サウンド面で特に細かく話したということはないんですけど、それは逆に言えば、自然とバンドサウンドに馴染むくらい最初からフィットしていたということかなと思います。
──叩く本人の気持ち的な高ぶりが、そのまま音に表れたということでしょうし、それこそがドラムという楽器の醍醐味でもありますよね。
RINA:まさにそうなんですよね。プレイヤーの気分がそのまま音色になる楽器。それがドラムの特徴だと思います。だから、嬉しくてワクワクした気分でイスに座って。新しい気持ちでプレイできたことが、今のハッピーな音色に変わって、それがメンバーにもお客さんにも伝わっていると思います。
▲最大の特徴はカバリングのデザイン&カラーにある。国内外の様々なカバリングからRINAが選んだのは、USAにて発売されている“マットホワイトマリンパール”だ。マットな質感の白いパール柄と、前モデル同様にニッケルフィニッシュが施されたパーツ類が、大人の風格を演出する。また、シグネチャースネア同様、RINAモデルを示すバッチもシェルに。ヘッドにはレモのコーテッドアンバサダーを採用。
──ドラムセットをリニューアルしたことで、ご自身の気持ちに影響を与えるということもありますか?
RINA:結成15周年記念日の大阪城ホールワンマンから、また新たなスタート!みたいな気持ちもあったので、その日から新しいドラムセットが使えたというのは、気分を新鮮にしてくれましたし、ワクワクして気持ちよかったですね。
──完成まで時間は掛かりましたけど、楽しい工程でしたか?
RINA:すっごい楽しかったですね。私がニュアンスで伝えたことに対して、Pearlチームさんがたくさんサンプルを集めてくださって嬉しかったですし、みんなでいいものが作れたなって思います。
──ドラムのセッティングも、表から見えないところで凝っていますが?
RINA:今、ペダルがトータルで4つある状態なんです。ハイハット、ツインペダル、電子音の出るキックと、足元にたっぷり機材が並んでる感じで(笑)。バンドサウンドが前面に出る曲もありつつ、トラックベースの曲も増えてきたので、現在の音楽性に対してプラスしたりマイナスしていくのが、セットを組むときに楽しくて。今、打ち込みの音を出るものをセットしているドラマーがあまりいないから、いろんなミュージシャンからビックリされますけど(笑)。ライブではトリガーとセカンドスネアもセットしているので、スネアだけでも3種類の音を使い分けてます。一見、ミニマムなセットにも見えるんですけど、少ない機材数でいろんな音が出せるセットにまとまっています。
▲ペダルはパール製エリミネーターレッドライン P-2052C。ハイハットスタンドはパール製レッドラインH-1050。ライブ等ではこれらに加え、電子音を鳴らすためのROLANDキックトリガーペダルKT-10をペダル類の一番右にセットする。
──それだけの音色を使い分けるのは、今、言われたように、SCANDALの楽曲が求めてきたから?
RINA:そうです。生音だけじゃなくて、打ち込みの音もいい感じで取り込んでいけたらと思っていて。アルバムやシングルの音源では、レコーディングでどんな音色も重ねられるんですけど、それをライブでどう再現するかってことを考えたときに、電子系の機材が増えてきたんです。トリガーもキックとスネアに付けているんですけど、これは本当に導入して良かったなと思いますね。リムショットするときもトリガーを活かしていて、生音にトリガーのハッキリしたリムの音がプラスされるだけで、ハッとさせるような音が加わるし、演奏にもメリハリが出て、叩いていても気持ち良さが増しました。
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