【インタビュー】SCANDALのRINA、自身初シグネチャースネアを語る「人生の半分をドラマーとして生きてきた」
ファッショナブルでエレガント。無骨で屈強なドラムというイメージを軽快に塗り替えてきた第一人者が、SCANDALのRINAだ。時に繊細に、時にラウドに、その表現力豊かなサウンド&プレイ、そして存在感で新たなスタイルを築き上げ、ドラムをより華やかなものに変えてしまった。間もなくリリースされる自身初のシグネチャースネアも、RINAならではのこだわりに溢れたもの。バンド結成15周年に裏打ちされた経験をもとに開発へ誠実に向き合い、アート性の高さを持って、これまでにないスネアを完成させた。今回の取材もそうだ。シグネチャースネアのプロモーションに伴うアートワークはRINA自身の発想によるもので、そのクリエイティヴを自らの手で作り上げたと言って過言でない。
◆RINA [SCANDAL] × Pearl Drums 動画 / 画像
シグネチャースネア『Pearl Signature Snare Drum “RINA” Model ~Limited Edition~』完成秘話、4代目となる新たなドラムセットに求めたサウンド、SCANDALのドラマーであるということ、ドラムを長く愛し続けるコツ、創作意欲の源について、じっくりと訊いたロングインタビューは、ドラマーRINAの本質が浮かび上がると同時に、スタイリッシュに未来を創造してきた彼女の足跡が感じ取れるものとなった。
◆ ◆ ◆
■ファーストドラムがPearlだったので
■私の中でのベーシックもPearlなんです
──結成15周年を記念したライブ<SCANDAL 15th ANNIVERSARY LIVE『INVITATION』at 大阪城ホール>が8月21日に開催されました。コロナ禍の大変な状況下でしたが、まず開催前の気持ちと、成功させたライブの手応えを聞かせてください。
RINA:ライブ前はコロナの感染状況がどんどん悪化していっている最中だったので、ギリギリまで不安もあったんですけど、当然、ライブを開催するつもりでリハーサルに取り組んでいたし、メンタルも作っていたんです。とにかく、“この夏は大阪城ホールのライブに集中して、そこに向けて生きてきたな”って感じがすごくあって。こんな大変な中でも自分たちのライブを求めてくれるお客さんがいるってことが、本当に救いだったし、みんなと一緒にライブをしたいって気持ちがすごく大きかったですね。セットリストもバッチリだなって思えるものができて、今の自分たちをこの4人でしっかり伝えにいこうって気持ちで、あのステージに挑みました。
──バンドとして15年。それだけキャリアを積み重ねるのは簡単なことではないと思います。ステージに立ったとき、これまでの15年間の日々が蘇ってくる瞬間なども?
RINA:デビュー当時からサポートしてくれているスタッフも未だにツアーを一緒に廻ったり、ライブを作ったりしているので、自分たちの人間性やバンドが変化していった中での今のスタイルなどを、丁寧に把握してくれているんです。「今の4人だからこういう演出をしたい」とか、「こんな照明にしたい」とか、それぞれのセクションごとでやりたいアイデアを盛り込んでくれていて。スタッフそれぞれが自分のできることマックスでやってくれている感じもすごく嬉しくて。
──関わっているスタッフ全員が、SCANDALのメンバーだという気持ちを持っていると。
RINA:本当にそう思います。ライブを作っていく中でそれをさらに感じられて、ありがたいな、嬉しいなっていう気分がすごくありましたね。
──その大阪城ホールで初登場させたのが、新たなドラムセットであり、シグネチャースネアです。以前から新しいものに変えようと考えていたんですか?
RINA:振り返れば4〜5年に一度のペースでドラムセットを変えてきていて、今回が4台目のオリジナルドラムになるんですね。
──その4台のドラムセットはすべてPearl製ですよね。最初にPearlを選んだのはどういった理由からですか?
RINA:ときどきスタジオに一緒に入って、私にアドバイスしてくれる山下政人さんというドラマーがいらっしゃるんです。絢香さんのツアーや様々なアーティストのレコーディングでも活躍されているプロドラマーで。その山下さんが「RINAちゃんにはPearlが合うと思う」って言ってくれて(笑)、実際にPearlさんとつなげてくれたんです。尊敬するドラマーでありミュージシャンの一人なので、私も山下さんと同じメーカーのドラムがいいなと思って。
──最初にPearlのドラムを鳴らしたとき、どんなところが気に入りました?
RINA:ファーストドラムがPearlだったので、私の中でのベーシックもPearlなんです。世界中のドラマーさんが使っているメーカーで、ドラムといえばPearlというイメージが自分の中にあって、そのセットを叩けるのが嬉しいって感じでした。
──過去にドラムセットを一新した際は、気持ちの変化やサウンド指向の変化などが関係しているんですか?
RINA:どっちもあったかなと思います。1年に1枚ぐらいのペースでアルバムを作ってきたんですけど、音楽性も少しずつ変化したり、「こういうドラムの音があったらいいな」「だったら次のドラムはこういうサイズにしてみよう」ってローディーと話す機会も多くて。それがさっきお話したように4〜5年のスパンで切り替わってきているんです。だから音楽の変化もありながら、バンドの5周年や10周年のイベントに合わせて、セットをチェンジしてきた感じですね。
──今回のドラムセットは、まさに15周年記念ライブに合わせて登場したわけですね。9月中旬よりシグネチャースネアの受注がスタートしましたが、そもそも自分のシグネチャースネアを作りたいと思っていたのはいつぐらいからですか?
RINA:以前、Pearl製スネアドラムのポスター撮影をしたことがあって。そのときに、“自分のシグネチャーで、ビジュアルを作り込んでみたい。いつかオリジナルのスネアが作れたらいいな”って、なんとなく思っていたんです。
──いざシグネチャースネアの制作を開始するとなったとき、最初にこだわったポイントは?
RINA:まずは目で見てわかりやすいカバリングです。これまで見たことのないデザインにしたかったですし、一目見て、“あ、RINAオリジナルだな”ってわかる自分好みのものを作りたいという気持ちがありました。カバリングが決まってからは、どういうパーツを付けると一番しっくりきて、新しく感じるかなってところで選んでいった感じですね。
▲Pearl Signature Snare Drum “RINA” Model ~Limited Edition~
パール製リファレンスメタル“RFB1450”がベースとなるシグネチャースネア。サイズは14”×5”。3mm厚のブラスシェルがパワーとキレのあるサウンドを実現した。余計な倍音を程良くまとめるファットトーンフープ、 繊細にして音の立ち上がりに優れたウルトラサウンドスナッピーなど、RINAセレクトによるスペックがあらゆるシーンで真価を発揮する。なお、エレガントでシックな薄いパープルのカラーに加え、蔦が描かれたオリジナルデザインのカバリングはデザイン性が高い。
──数々の作品レコーディングで、様々な種類のスネアを叩いてきたと思いますが、自分のシグネチャースネアに求めたサウンドとは?
RINA:私のプレイスタイルについては、ローディーやPearlチームさんが把握してくださってるので、今まで使ってきたスネアも「こういうのはどうですか?」って提案をしていただいているんですね。そういう中で、ベストなサウンドをみんなで作ってきたと思っていて。私は特にブラスシェルの音が好きなので、材はブラスがいいなってのは最初からあったんです。そのシェルも厚すぎず薄すぎず、いろいろな曲調にフィットするものが使いやすいかなと思っているので、今回もそういうものを選んでいます。それに、パワフルだけど、繊細な音も鳴らすことができるものが自分の好みの音でもあるので、スナッピーにもこだわってカスタムしたり。
──それらが実際に形になるまでには試行錯誤もあったと思うんですが、試作品が出来上がったときの感触はどうでしたか?
RINA:最初に仕上がってきたサンプルから、“もう最高!”という感じだったんですよ。めっちゃ嬉しかったですね。色のトーンは淡い紫にしたんですけど、自分が好きな色に自分が好きなお花のツタみたいなデザインを乗せて、本当に自分らしいスネアができたなと。
◆インタビュー【2】へ
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