【インタビュー】ハイダンシークドロシー、コロナ禍のバンド始動がもたらした功罪と「ヴィジュアル系を歌うということ」

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■この活動の中での楽曲の育て方がある
■続ける価値があると思っているんです

──フルアルバム『夢寐の花』は新たな挑戦とハイダンシークドロシーらしさが詰め込まれた作品になりましたね。

谷:2作目にしてすごく手応えが得られるアルバムができました。ここから先、もっともっと楽しんで、確信めいたものを生み出していける自信も得ることができました。

情次2号:僕自身はミックス作業まで手掛けているので、まだ純粋な気持ちで聴けるほど時間が経ってないんですよ。それにしても、いい曲を揃えることができたという気はしてます。

靖乃:『ヒトリランド』と『夢寐の花』の2作で、ハイダンシークドロシーっていう世界に没頭してもらえると思います。

ジン:『ヒトリランド』の延長線でありながら、よりバラエティに富んだ世界が出せたなと思います。すでに3枚目や4枚目がどんなものになっていくのか、楽しみになってますね。


▲ジン(B)

──まさに、すでに今から次作が楽しみです。そこでうかがいたいのですが、1年前に始動したバンドが2年目に差し掛かったところで、早くも2枚のフルアルバムを完成させているというのは、かなりのハイペースだと思うんです。1stアルバムリリース前に、ライブで培った楽曲が幾つもあって、それを音源化しているというわけではなく、この1年間で真っ新な状態から数十曲を作り上げたわけじゃないですか。

情次2号:たしかに、このリリースペースは通常ではあり得ないと思います。やっぱりコロナ禍が影響しているんですよ。今の時代、コロナ前のようにライブハウスにお客さんを入れて、5〜6バンドの対バンを行うことって難しくて。感染防止対策を考えると、配信でのワンマンとかツーマンが一番安全なんですね。となると1バンドあたりの持ち時間が長くなるので、オリジナルの曲数がある程度必要になってくるんです。

──それは、コロナ禍に始動したバンドならではのミッションなのかもしれませんね。持ち時間1時間として10曲程度が必要で。それもセットリストの起伏やドラマを考えれば曲調も一辺倒というわけにはいかないでしょうし。バリエーションや完成度があらかじめ要求されているという。

情次2号:だから、配信ライブを想定しながら曲作りを進めると、“もっとこういう曲があれば”とかバリエーションを膨らませていくことになるんです。ただ、簡単にライブを行える状況ではない代わりに、時間を制作に充てることができますからね。

──結果、それがスピーディーなアルバム制作に結びついているわけで。

情次2号:現状を考えると、そこに行き着いたという感じです。先ほどレコーディング方法についてお話しましたが、個々の宅録環境が整っているのでコストをかけずに音源制作をすることができる。リリースペースが速いというのも、そこが大きいと思います。

靖乃:長年活動してきた中で、自分たちが培ってきた価値観や基準みたいなものが、このコロナ禍ではまったくハマらないんですよ。去年9月に始動ワンマンライブを行って、それから半年後に2回目のワンマン、ツアーに至っては始動から1年後の今年8月にやっと初めて実施できたんですよ。だから、俺らの知っているバンドの活動ペースとは、まるで逆転しているような状態なんです。


▲靖乃(Dr)

──バンドの下地としてのライブ活動が、ほとんどできないままスタートしているにも関わらず、ここまで軽快に音源リリースができているのは、それこそ個々のキャリアがあってこそ成せる業だと思うのですが。

靖乃:メンバー間の結びつきとか、楽曲に対する理解度、個々のテクニックの賜物かな、というのは手前味噌ながら感じているところではあります。ただ、お客さんの反応を得てそれを活かしていくようなアレンジができないので、そこは手探りなんです。この活動の中での楽曲の育て方というものがあると思うし、今の俺らのアプローチで、キャッチアップしてくれる人がひとりでも増えるのであれば、それは続ける価値があると思っているんです。

──となると、このペースは、コロナの収束が見えない状況下では今後も続いていくんでしょうか?

情次2号:ライブが難しい状況が続くと考えると、一番最初に思い浮かぶ“ミュージシャンが出来ること”は、曲を作って発表することなんですよ。なので、大スランプに陥らない限りは曲を作り続けていければと思っています。ただ、発表の仕方はいろいろあっていいと思っているんです。例えばSNS用に15秒の楽曲を20曲作るっていう企画だっていいし、曲となにかを結びつけてリリースする方法もありますし。


──SNS時代、サブスク時代を考えれば、たしかにそうですね。さて待望のライブですが、9月18日に予定されていた南青山MANDALAでの公演はコロナの影響を考慮して中止となりました。10月2日に内容を変更して配信されるそうですが。

情次2号:9月19日に楽器隊の演奏を収録して、谷くんが別の場所で歌ったライブ映像を合成編集する予定です。その映像作品を10月2日に配信するという形ですね。

靖乃:俺らメンバーとマネージメントの共通認識は、目の前の1本1本のライブに固執すること。我々の未来が閉ざされるようなことになってほしくないですから。

──そのために、音源リリースもライブ活動も出来る限り精力的に続けていくということですね。

靖乃:そうすればメンバーとファンのみんなにとって、より明るい未来を作れるはずなので。有観客のライブはもうちょっと待ってくださいと。

──配信される映像作品はどんなものになりそうですか?

情次2号:本当にやってみないとわからないんですよ(笑)。かなり実験的ではあるので。合成編集の形が成立するのか、お客様にお観せするのに耐えうる作品にできるのか。もちろん大丈夫であろうという目算のもとに進めてます。

ジン:やってみないとわからないことばかりなんですよ、本当に。とはいえ、ベストは尽くしますので、乞うご期待と。

靖乃:そういう意味では、観てくださるみなさんと一緒に作っていく感じかもしれないですね。観た方の声を聞かせてもらって、それを活かす。この先を作っていくための第一歩かもしれないですね。

谷:今の状況を後ろ向きに捉えるのではなく、どうしたら作品として素晴らしいものに仕上げられるかなという意識を持って作りたいと思っています。受け取り方は観てくださった方々にお任せするとして、ひとつの新たな活動方法に繋げていけるよう、全力を尽くします。

取材・文◎牧野りえ


■2ndフルアルバム『夢寐の花 (むびのはな)』

2021年9月18日(土)リリース
HSD-009
【通常盤】¥3,500(tax in)
【デラックスエディションパック】¥9,800(tax in)
※CD/off vocal disc+MV撮影時オフショット映像DVD/新アー写5枚セット/ビッグアクリルスタンド(白衣装版)
【配信盤】¥2,037(all tax in)
アットワークスストア:https://at-works-project.stores.jp
▼CD収録曲
01. 眠り薬のうた
02. エルドラド
03. 百花千紅
04. 飾られた私と棘と事切れの部屋
05. 猫と魔法のドルチェ
06. アコーディオン弾きの男
07. サンザシ
08. 白黑有無
09. オモイデオルゴール
10. 誕生花
11. 蒼い砂時計
12. Aglaophotis
13. 心温

■配信ライヴ<ハイダンシークドロシー1st ANNIVERSARY「百花千紅」>

配信日程:2021年10月02日(土)
時間:open19:45 / start20:00
視聴期限:2021年10月16日(土) 23:59まで
▼チケット
・ツイキャスプレミア:¥3,500
・10/2までの裏側ドキュメントDVD特典付き:¥5,000
https://twitcasting.tv/hsdorothy2020/shopcart/91794


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