【インタビュー】健康、悠介(lynch.) × 松本明人(真空ホロウ)が語る新ユニットの行方「ここからは発展しか見えない」
■作った音をライブで再現するためには
■これだけの機材が要るんだ!?って
──9月19日に実施される初配信ライブ<1st Live Streaming『健診 chapter #0』>のチケットは、配信ライブ限定オリジナルCD付という形で販売されます。『健音#0』と題されたその音源には、「健康 (chapter #0 ver.)」、「除獣 (chapter #0 ver.)」、「未来 (chapter #0 ver.)」といった3曲が収録されるわけですが、曲タイトルが漢字2文字だったりという共通点もあって。BARKSはこれらのデモ音源も聴かせていただいているんですが、先ほど悠介さんが「最初、英語詞が入ってたりもした」とおっしゃってたように英語だった歌詞部分が日本語に置き換えられたりもしてますよね。そこにもこのユニットのコンセプトが感じられたのですが。
松本:そうですね。先ほどお話ししたような変化の中で生まれたコンセプトでもあります。再デビューって機会はなかなかないので、スタッフさんを含め、めちゃくちゃみんなの意見を採り入れているんですよ(笑)。だから自由にやっているようで、それだけではないというか。
──と言いますと?
松本:「自由にやってもらいたい」と言っていただいてるんですけど、自由だから健康、みたいなものではないんです。このふたりでやる意味とか、だからこそ高められる音楽性とか、今、このタイミングでしっかり作り上げておいたほうがいいなと思ったので。
▲悠介
──ユニットの誕生であり、成長期であり、発展途上期である現在が刻み込まれているという。
松本:そうです。だから、次の作品やアルバムにはもっといろんな変化が生まれると思う。
悠介:今回は1本の邦画がもとになっているというのもあるし、今後、洋画からインスパイアされて音楽を作るようなことがあれば、また全く違うものになることも考えられますよね。そういう可能性があっていいと僕は思っているんです。
──今まさにスタイルを確立しつつ、変化を楽しんでいる瞬間だと思うんですが、とはいえ、例えば悠介さんのギターで言えば、たった一音で世界観を作り出すことのできるサウンド&プレイをはじめ、おふたりそれぞれのキャラクターが活かされているという。
悠介:でもね、この3曲を含めて今のところ7曲があるんですけど、僕はほぼギターを捨ててるんで。
──どういうことですか!?
悠介:当初のデモからギターの割合をだいぶ減らしているんですよ。ほとんどの曲を鍵盤で作ったりしているし。ガッツリと弾いているのは「未来 (chapter #0 ver.)」くらいじゃないかな。
松本:それも敢えて入れたみたいなところはあるかな。最初はふたりともギターを弾かないっていうテーマもあったくらいで。
──たしかに、どの曲もギターのコードバッキングで繋いでいくような曲構成ではないですね。
悠介:その通りです。ギタリストとしての主張というよりは、楽曲をトータルで聴かせるということに重きを置いていたので。今回の3曲以外では、まったくギターを弾いてない、鍵盤だけの曲も存在しているんですよ。……だから、メンバークレジットのパートに“ギター”って表記しないほうがいいと思う(笑)。
▲松本明人
──はははは! パートを限定しない自由度の高さがあるという。衣装が白衣っていうアイデアは悠介さんから?
悠介:健康だから、安直に白衣でいいんじゃないのって(笑)。でも、なるべくちゃんとした白衣がいいなと思ったので、刺繍もやってもらえるお店を調べて、作ってもらいました。
松本:ふたりで白衣屋さんに行って。始めてだっただろうね、白衣に健康って刺繍を入れたの(笑)。店員さんびっくりしてたと思います。
悠介:真っ黒なふたりが、真っ白な服がかかってるお店に行ったんですよ(笑)。お店でイチから説明しましたね。
──本物にこだわるところがらしいですね。活動としては、まずはライブの配信があって、チケット購入者にCDが届くという形態なわけですが、最初はライブからというイメージだったんですか?
悠介:すぐに配信リリースができる時代ですけど、それとは逆行したことをやりたいっていうのがあって。それに今、配信ライブがひとつの形になってる中で、そもそも音を聴いたこともない新ユニットの配信ライブってどうだろうと。だいぶ賭けだよね。
松本:うん。ライブ前に曲が聴けないっていう状態で、さらにCDが届くまで焦らすっていう。
悠介:昭和の人間って……明人くんも昭和だよね?
松本:ギリ(笑)。
悠介:ネットがまだ普及してなかった時って、テレビとかラジオで偶然情報を知ったり、レコードショップに行ったら新譜が出てた、みたいなことがあったじゃないですか。でも、今はそういう驚きみたいなものがないんですよね、ネットが発達してるので。だから、どんな曲かわからずに見てもらおうという。もちろんプレッシャーはあるんですけど、それ以上の価値があるものを見せられる自信はあったので。
▲健康
──この記事が公開されるのは配信終了直後になるわけで、ライブ収録はすでに終了していると聞きました。まずどんなライブにしようというイメージで臨んだんですか?
悠介:やっぱり、「ライブのほうでも一個の映画を見てるように、いろいろなテイストを入れたいね」っていう話はしていました。普通にライブをするんじゃなくて、配信だからできるようなことをやりたくて。でも、蓋をあけてみたらだいぶゴチャゴチャだったよね。
松本:機材量がハンパなかった(笑)。
悠介:作った音をライブで再現するためには、これだけの機材が要るんだ!?って驚きました。
松本:僕なんて、ギター&ボーカルってクレジットされてますけど、もはやギター弾かないし、ベースとシンセとパッドとか、いろいろやって。悠介くんもギター以外の楽器も弾くし。
悠介:僕はシンセとか鍵盤も弾いてます。そこに自分が行き着くとは思ってなかったので、楽しかったですよ。でも、収録のとき、手がめっちゃ震えた(笑)。緊張してるんだなって。
松本:震えてたね!
悠介:もう新人の気持ちでした。あと、フル尺で完成しているのはまだこの3曲だけなんですけど、未完成の曲も、あえてワンコーラスのまま演奏したんですよ。それも、聴いてもらった人に、“この曲は次どういう感じになっていくんだろう”っていうのを想像してもらったり、一緒にわくわくを共有したかったんです。
──なるほど。これから生音を入れてもいいですし、いろいろ発展していきそうなわくわく感はおふたりも感じてるんじゃないですか?
悠介:そうですね。また変わるかもしれないし。
松本:ふたりで完結するものっていうところまで戻したから、今の音源は逆にかなり削いだ状態なわけですよ。だから、ここからは発展しか見えない。未来しか見えないです。
取材・文◎後藤寛子
撮影◎西角郁哉 (interview cut)
■初配信ライブ<1st Live Streaming『健診 chapter #0』>アーカイブ情報
アーカイブ:2021年9月26日(日)23:59まで
▼通常視聴チケット:2,300円(TAX IN)
販売期間:8月20日(金)18:00~9月25日(土)23:59
▼CD付チケット:3,500円(TAX IN) ※販売終了
内容:CD『健音#0』、オリジナルクリアファイル(A5サイズ)、ピクチャーチケット
販売期間:8月20日(金)18:00~9月10日(金)16:59
※CDは9/20以降のお届けとなります
イープラス:https://eplus.jp/kenkou0919st/
楽天チケット:http://r-t.jp/kenko_st (国内配信)/http://r-t.jp/kenko_en (国外配信)
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