【インタビュー】ReN、3rdアルバム『ReNBRANDT』に最後の試み「この2年間を肯定するために」

■みんなの存在にすごく救われた
■初めてそういう感情になったんです

──これらシングル3曲にも新しい試みを実践していますが、今回のアルバムで意識的にトライしていることもありますか？

ReN：大きなテーマは、既存の自分の世界を壊すことでしたね。冒頭でも話しましたけど、ライブがあるからこそ作れた曲もあるし、ライブがあるからこそ挑戦できなかったものもあった。いい意味で、自分が今まで作ってきた世界とは違うものにもなっていると思います。まだうまく言えないですけど、いい曲がたくさん揃ったので、聴いてくれる人の反応がすごく楽しみだし、不思議な自信があるというか（笑）。前のフルアルバムから4年間の僕自身の成長もしっかりと宿すことができたし。まだまだ中間地点ですけど、きっとこの3rdアルバムを振り返ったときに、“よかったな。いろんな思い出が詰まっているな”と思えるだろう作品になったので。


──アルバムへと至る道のりも一筋縄でいかないものでしたしね。ちょうど一年前、「We’ll be fine」リリース時のBARKSインタビューでは、「いろんな曲作りをしていたけれど、それを中断してでも出したかったのが、そのときの気持ちをリアルに綴った「We’ll be fine」だった」という話をしていただきました。当時作業していた曲たちも、アルバム『ReNBRANDT』に収録されるんですか？

ReN：「We’ll be fine」を書いていたときから取り掛かっていたものも数曲ありますね。そのインタビューの時も話したように、“今の感じで歌っても身が入らない”みたいな。当時は完成させられなかった楽曲もあったんですよ。もっと器用になれればいいんですけど、例えば笑いたくないときに笑うことはできないし、ムリに完成させたとしても愛せないだろうなって。であれば、今はとにかく自分の気持ちを全て出そうと書いたのが、「We’ll be fine」で。それが出せたことで、ある種吹っ切れました。リリースする／しない関係なく、面白い曲を作ってみようと進めていくなかで“案外いいじゃん！”っていうのもたくさんできたんです。



──ライブができない時期もご自身の意識をポジティヴに変えていくことができていたんですね。アニメーションのミュージックビデオや、一発撮りのYouTubeチャンネル“THE FIRST TAKE”への出演など、ReNさんの新たな試みもアルバムへの期待感につながります。

ReN：そういうことができたことも、僕にとっては救いだったんです。有観客ライブができないからインスタライブとかの機会も増えたし、今できることをやりつつ、超えていかなきゃいけない自分自身の課題を克服してきた。ファンとの関係性もそう。ライブができないとか、自分が歌いに行けなくて不安になっていたときでも、ReNの音楽を毎日聴いてくれる人がいて、みんなの声は届いていた。それは本当に感謝しなきゃいけないことだし、みんなの存在にすごく救われたというか。初めてそういう感情になったんですね。もちろん、すごくありがたいことだというのはわかっていたんだけど、自分が本当に弱ったとき、やっぱり仲間なんだなって。“この人たちにとって自分の音楽はただの音楽ではないんだ”と気づかせてくれたことが、嬉しかったんです。そう思ったときに、自分の小さなエゴや細かなこだわりが削ぎ落とされて。そういうことじゃないかもなっていうことにも気付けたんですよね。

──10月からはアルバムを掲げてツアーがスタートします。このツアーではホール公演もあり、これまでと違ったステージが観られそうですね。

ReN：まず新しい楽曲を届けられる機会ができたことが嬉しいので、今はなんとか思い通りの世界でやれればいいなと思っています。今回のアルバムで自分の楽曲に携わってくれた、新しく出会ったミュージシャンの方々もいるので、基本はひとりですけど、そういった人たちとどこかでやりたいなという思いもありますね。この2年間、やりたかったことができなかったから、その分それを作品に変えて、次の世界にやりたかったことを復活させようという感じ。なので、もっとバラエティ豊かなライブをしていきたいなと考えています。

取材・文◎吉羽さおり
撮影◎野村雄治






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