【インタビュー】オールモスト・マンデー「僕は充分にクールかな?きみに愛されるに相応しいかな?」
8月20日(金)、オールモスト・マンデーの新曲「cool enough」がリリースとなった。「僕は充分にクールかな?きみに愛されるに相応しいかな?」と、夏の恋に悩む全Z世代の若者に贈るサマー・ラブ・ソングだ。
ドーソン・ドハティー(Vo)、ルーク・ファブリー(B)、コール・クリスビー(G)という1998年生まれの幼馴染3人で結成されたオールモスト・マンデーは、全員がプロ級のサーフィンの腕前を持ち、放つ音楽もカルフォルニアのチルなエネルギーを存分に吸収したものだ。ファンキーなベース・ライン、恍惚とした歌声、踊りたくなるようなグルーヴを持ち、1度聞いたら頭から離れないクセになるオルタナ・ポップである。
そんなオールモスト・マンデーを紐解くべくインタビューを決行、3人から話を聞いた。
──グループ名のオールモスト・マンデーというのはどういう意味ですか?
ルーク:けっこう以前の話になるけど「どんなグループ名がいいかな」という相談をしていたときに、ある友達から「マンデーはどうだい?」って言われて「ああ、いいね」って感じで僕たちも気に入っていたんだ。けど、調べてみたらもうその名前は使われていたから、「じゃ、もう少しでマンデー」っていう名にしようってことで落ち着いたんだよ。マンデーにはなりきれなかったんだよね(笑)。
──日曜日の夕方、月曜日のことを考えて憂鬱になっているような感じを想像していました。
ルーク:確かにそんな感じもあるよね。そういう解釈が自由にできるところも気に入っているんだ。
──実際オールモスト・マンデーのサウンドに憂鬱な要素はゼロですが、南カリフォルニアのサンディエゴ出身であることは、自分たちの性格や音楽性にどう影響していると思いますか?
ドーソン:僕たち全員がサーフィン大好きだからね。サーフィン関係の映画でもすごく音楽がいいでしょ?そういう影響が大きいと思うんだ。サンディエゴ出身だから、そういう音楽をいっぱい聴いてきたよ。学生時代からクールなサーフ・ミュージックが常に周りにあったし、僕たちがバンドを始めたのも、そういう下地があったからだと思う。そのうえで、次第に自分たちらしいサウンドを創造していったという感じかな。
──なるほど。
ドーソン:そこで育った自分たちとしては、環境的な影響をどれくらい受けてきたかは、なかなか自覚できないものだし、音楽を作るときに「地元ルーケディアな感じをどう出そうか?」とは考えたりしないよね。でも、すごく興味深いと思う。育った環境の影響は、必ず僕たちの音楽のどこかに自然と聴こえてくるものと思うから。
──音楽活動のためにLAに移住するバンドは多いですが、サンディエゴはLAからも近くて便利ですよね。逆にサンディエゴらしさを実感することはありますか?
コール:僕たちはサンディエゴをとても愛しているよ。もちろん住んでる人も最高だし、サーフィンやスケートボードなどをやるのが大好きだし。LAまで通える距離なのは嬉しいけど、LAに行くとちょっとよそ者になった気分があるかな。街の感じも違っているし。
ドーソン:うんうん、全然違うよね。
コール:だからサンディエゴに戻ってくると、ホッとするよ(笑)。
──メンバー全員が共通して好きな音楽というと?
ドーソン:すごくいろいろあるよ。
コール:好きなアーティストはいっぱいいるれど、なかでも超好きなのを挙げるとすれば、MGMT、フェニックス、ザ・ストロークス、デヴィッド・ボウイ、ゴリラズなどなど。
ドーソン:僕たちのサウンドを言い表すときに、いま挙げたようなアーティストたちがよく引き合いに出されるんだ。
──逆に、他のメンバーとは違って自分だけが好きなアーティストというのは?
ドーソン:もちろんいるよ、そうだな…僕はシェリル・クロウが大好きだよ。あとケイティ・ペリーも。隠れファンって感じ(笑)。
──音楽をクリエイトするうえで、大切にしていることは何ですか?
ルーク:自分たちらしくあるってこと。他のアーティストたちとの比較をするのではなくて、自分たちらしくあるように努めることが大切だと思っている。人って変わっていくものだし、成長して経験を積んで、みんな変化していくよね。それが自然と僕たちの音楽にも反映されるから。
──特に若い頃は、怒りや不満、混乱へのはけ口を音楽で表現するアーティストも少なくないですが、オールモスト・マンデーの人柄や音楽性が穏やかなのは何故でしょうね。
ドーソン:ははは(笑)、それはきっと僕たちの育った環境と関係しているんじゃないのかな。ビーチに近くてさ、だからみんな穏やかなのかも…よく分からないけど(笑)。でもそういったライフスタイルを反映させるのが僕たちの目指す音楽…テーマだと思う。与えられた環境を当たり前だと受け止めるのではなく、常に「もっと楽しもう」「最大限に謳歌できないか」と考えてきたんだよ。ひとつひとつの曲のテーマは違っているけれど、全体を通して一貫しているのが、そういうところじゃないかと思うんだ。
──バンドを始めた頃は、サーフ・ショップの裏でライヴをやってたそうですね。
コール:サーフ・ショップの奥に狭い部屋があったんだ。駆け出しの頃、友人とか知り合いを集めてよくライヴをやっていた。それこそ僕たちのスタート地点という感じだよ。
──いまでもそこに戻ったり?
ルーク:悲しいけど、無くなっちゃったんだよ。通りかかったときに閉店してるのを知って、すごく悲しかった。僕たちの思い出がいっぱい詰まっていたけど、全てが消えちゃった。
──2020年は誰しも厳しい1年でしたが、そんな状況下でも作品を発表し続けてきましたね。とはいえ計画通りに進まず、前進できないと感じたことはありますか?
ルーク:確かに酷い1年だった。前途を塞がれたみたいで最悪だったけど、それでも新しいファンが僕たちの音楽を楽しんでくれたり新曲を出すと喜んでサポートしてくれて、すごく励みになったよ。元通りの日常を取り戻せるという希望を抱かせてくれたし、実際に取り戻せそうな状態になりつつある。みんなのサポートのおかげで励まされて、すごく感謝している。
──逆にお家時間が増えたことで、新たに得られたものは?
ドーソン:僕はゲームに時間をいっぱい費やしたかな。外国語の勉強した方がずっと有効的な時間の使い方だったとは思うけど(苦笑)。
コール:僕は外国語を勉強するために、教材のダウンロードはしたんだよ。ポルトガル語と韓国語をちょっとだけやって、でもすぐに諦めちゃった。難しすぎだよ(笑)。でも、そうだね、本気でもう一度トライしてみようかな。これから知らない国にも行くことになるって思うとね。
ドーソン:そういうモチベーションが必要だよね。「日本でのライヴが決まったよ!」とか言われたら、「よし、日本語を勉強するぞ」ってなるもんね(笑)。
──では日本のファンにメッセージをいただけますか?
コール:早く日本に行ってライヴをやりたいな。待ちきれないよ。
ドーソン:みんなからの応援に感謝しています。どうもありがとう。
──ところで3人のうち一番サーフィンが上手いのは?
ルーク&ドーソン:コール(と言って指差す)。
コール:僕は長くやってるしね(笑)。父親がプロのサーファーだから早くからサーフィンしてたんだ。最初に波乗りしたのは6歳くらいだったからサーフ歴は長いんだ(笑)。
──サーファーではなくミュージシャンになったことを、お父さんは残念に思っていたりは?
コール:いやいや、父さんは僕たちの一番のサポーターって感じだよ。いつも一番応援してくれているよ(笑)。
インタビュー◎村上ひさし
編集◎BARKS編集部
◆オールモスト・マンデー・レーベルサイト