【インタビュー】サンサーラブコールズ、新作『8dayHz』に8人の主人公「どんな人も正しいと思っている」

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■コンセプトは“ひとりひとりみんな違う”
■曲毎に主人公がいて、全て違う人物像

──キャラがすごく立っているメンバー揃いですよね。『8dayHz』のアーティスト写真も個々の威圧感が半端ではないですし。

帆保健太郎:うちのばあちゃん、Kちゃんの写真見て、「キレてるねえ」って言っていました(笑)。

K:そうなの(笑)? でも、本当にメンバーそれぞれ、好きな音楽もバラバラなんですよ。わりと共通してるのはレイジ(アゲインスト・ザ・マシーン)ですね。


▲『8dayHz』アーティスト写真

──カンタローさん、トム・モレロは好きですか?

カンタロー:大好きです。あんまり真似するとトム・モレロになっちゃうので、最近はやらないようにしています。あと、みんなに共通するのってニルヴァーナ?

Leo:そうだね。

帆保健太郎:洋楽が好きっていうのは、みんな一緒なんですよ。

K:俺はあんまり洋楽洋楽してないけどね。

──ミサキングさんは、どういう音楽が好きなんですか?

ミサキング:2000年代のガレージロックリバイバル、ブリットポップ周辺、1990年代のグランジ、エレクトロとかですね。

K:メンバーが好きな要素を意識的に取り入れている感じでもないんですよ。

カンタロー:でも、自然とそういうのが出ている気がする。

K:そうだね。


▲帆保健太郎 (B)

──では、今回のミニアルバム『8dayHz』に関しては、どういう1枚にしたいと思っていました?

K:制作に入る前から既にあった「Who I Am」と「AnsYour-z」をメインに置きたいと思っていました。「Who I Am」に対するアンサーソングが「AnsYour-z」なんですけど。主軸のこの2曲は激しいので、そこからバランスを考えるというのは漠然とありましたね。コンセプトは、“ひとりひとり、みんな違うよね?”みたいなこと。僕はどんな人も正しいと思っているので、それを曲にしたかったんです。だから今回の曲、それぞれに主人公がいて、1人1人が違う人物像なんです。

──多様性を肯定する表現がしたかったということですか?

K:そういうことです。

──「Who I Am」と「ストロベリキャンディー(Acoustic Ver.)」と「第3惑星」は、昨年5月にリリースしたシングルにも収録された3曲。今作に収録されたバージョンの「ストロベリキャンディー」のギターソロ、すごく良いじゃないですか。

カンタロー:ありがとうございます! そうなんです(笑)。

K:最初にこの曲のメロディとコードを持って行った時の僕のイメージは、ELLEGARDENとかNUMBER GIRLの曲みたいなイメージ。でも、「遅くしてみようぜ」ってやってみたら、ありだった。

──「Who I Am」はKさんとミサキングさんのボーカルのコンビネーションも活かされていますが、男女ボーカルならではの醍醐味として何か感じていることはあります?

K:歌詞を書く楽しみもあるんですよ。俺が歌ってもキュンとこないんですけど、 ミサキングが歌うことでキュンとくるものになったりするので。

──歌い手が2人いると、異なる視点や2人の主人公を1曲の中に盛り込むことも自然にできますよね?

K:そうなんです。この編成はやれることがめっちゃ広がります。


▲Leo (Dr)

──サウンド面に関しても、幅広い可能性を追求していることを感じます。例えば「コンクリートユートピア」はラウドの要素もありつつ、トランス状態で踊れるダンスミュージック的なニュアンスも醸し出されているじゃないですか。

Leo:このメンバーはみんなジャンルレスなので、それを全部まとめたみたいな曲ですね。電子ドラム(打ち込み)を使っている部分もあれば、生ドラムだけで横ノリ感を出している部分もあるんです。デジタルとアナログのハイブリッドになっています。

帆保健太郎:「どこを切り取っても映えるような曲」っていうことをKちゃんはよく言っていましたね。

K:何パターンも作ってみて、この形になりました。さっきもお話したみたいに、“イントロがラウドで、Aメロがふわっとして、サビでスカッと抜ける曲”を今までいろいろ作ってきたんですけど、それって“無機物と有機物の繰り返し”みたいなことをやりたいってことなんですよ。「コンクリートユートピア」はイントロからAメロまでが無機物で、あんまり気持ちを表現していない。Bメロからは歌詞で気持ちを描いて、サビは生々しいバンドサウンドにしています。正反対のものを交互にやるみたいなことが好きなんですよ。

──この曲、“まるでコンクリート泳ぐみたい”という表現が印象的です。

帆保健太郎:そこの歌詞、よく「印象的」って言われるよね。

Leo:まさに“無機物と有機物”が歌詞にも表れていると思う。


──「AnsYour-z」のドラマチックな展開も刺激的です。サイバーなテイスト、重低音、メロディの哀愁が絶妙に融合しているじゃないですか。

K:この曲の根幹はLeoと、以前のメンバー(F.KIYOSHI [Key / Sampler])が作ったんです。そこから広げていきました。

Leo:ガチガチのアッパーというか、始まった瞬間に激しく盛り上がれるようなタイプの曲がサンサーになかったんですよ。そういうものにしたいというところから作り始めました。

帆保健太郎:「AnsYour-z」は、このバンドに入る前から好きでした。ライブで聴くのが好きな曲のひとつでしたし。

──スラップベースが楽しそうですね。

帆保健太郎:楽しいです。“弾きたいなあ、あのベース”って思っていた曲です。気持ち悪い発言ですけど(笑)。

Leo:レコーディングで大変だった箇所があったよね?

帆保健太郎:途中のスラップは人間じゃ再現できない、レコーディングだからできることをやっているんです。「まだ行けるっしょ?」っていろんな人が言ってきて大変でした。

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