【インタビュー】サンサーラブコールズ、新作『8dayHz』に8人の主人公「どんな人も正しいと思っている」
サンサーラブコールズが8月4日、1stミニアルバム『8dayHz』をリリースした。ボーナストラックを含む収録全8曲は、目まぐるしく表情を変えて表現力豊か。男女ツインボーカル、強靱なツインギター、フレキシブルなリズム隊によるバンドサウンドが、様々なジャンルを飛び交うという意味ではエクストリームなミクスチャーであり、凄まじいファズギターの破壊力はオルタナティヴ/グランジを想起させる。しかし、注目すべきはメンバー各々が放つ、ある意味ではバラバラな個性をひとつにまとめ上げた想像力に逞しい音楽性とメッセージにある。
◆サンサーラブコールズ 画像 / 動画
バンド名は、“サンサーラ(輪廻)”と“ラブコール”を掛け合わせた造語。そしてサンサーラブコールズが鳴り響かせるサウンドは、様々な表情を浮かべる。重低音、爆音、哀愁を帯びたメロディ、クラブミュージック的なエッセンス、サイケデリックな音像……これらを絶妙に融合させながら、独自の表現を探求しているバンドだ。彼らの魅力は最新作となる1stミニアルバム『8dayHz』を聴けば存分に体感できる。収録8曲各々に異なる登場人物の姿を刻んだ“8day”と、振動数の単位を表す“Hz (ヘルツ)”。この“異物”と“規律”の狭間を多彩な世界感で映し出す作品について、メンバー5人に語ってもらった。
◆ ◆ ◆
■絶対に必要だと思っていました
■女性の声があったほうがカッコいい
──結成は2017年ですね。
K (Vo):はい。最初にカンタロー(G)と知り合って「バンドやろうぜ」というところからメンバーを探し始めたんです。もともと友だちだったミサキング(G, Vo)にも入ってもらって、Leo (Dr)とも知り合って、今とは別のベースも加わって始まったバンドです。ベースは最近、もともと知り合いだったホボケン(帆保健太郎)になりました。
──ホボケンさんは以前、KさんとThe Mashのリズム隊として活動していましたよね? Kさん、もともとドラマーでしたから。
帆保健太郎:そうです。
K:俺はずっとドラムをやっとって。でも、24歳くらいの頃に“ボーカルやりたいな”って思ったんです。The Mashでは、わりと曲の根幹に関わるアレンジをホボケンと一緒に行うことが多かったんですね。だけど、メロディとか歌詞は基本的にボーカルが決めるので、“自分でやったほうがいいな”って思うようになったんですよ。それがボーカルをやろうと思ったきっかけです。
▲K (Vo)
──ホボケンさんは、Kさんのそういう経緯を同じバンドのメンバーとして間近で見ていたわけですね?
帆保健太郎:経緯を見ていたというか、迷惑だったこともあって。僕がThe Mashに加入して3日後くらいに、「俺、本気でボーカルやるからやめる」って言い出したんです。加入した直後にバンド解散の危機(笑)。そんなこともありましたね。
──Leoさんが、「俺、本気でボーカルやるからサンサーラブコールズをやめる」と言ったらどうします?
K:ま、その時はその時ですね。
カンタロー:時間の問題でしょうね。歌ってみれば?
Leo:背中を押さんでいい(笑)。
──ははは。カンタローさんは、どういう感じでKさんと出会ったんですか?
カンタロー:メロコアバンドのサポートをやっていた時に、The Mashと対バンしたことがあったんです。楽屋で方言で喋っていたら「広島出身?」って広島出身のKくんに声をかけられて。僕は岡山出身なんですけど、広島と方言が似ているんですよ。それが最初のきっかけでしたね。
K:僕、普段はあまり最前列でライブを観ないタイプなんですけど、その時は最前で観ました。そのバンド、あんまり良くなかったんだけど(笑)。でも、その後にカンタローと家で一緒に飲んで、ギターを弾いてもらったら、めちゃくちゃカッコよかったんですよね。だから誘いました。
▲ミサキング (G, Vo)
──ミサキングさん加入の経緯は?
ミサキング:バンドを探していた時期に、たまたまKもメンバーを探していたんです。それで、「だったら、一緒にやらない?」みたいな感じになりました。
K:俺の中で女性ボーカルと一緒にやりたいというのがあって、最初はミサキングの知り合いを紹介してもらうつもりだったんですけど、“そういえばキング (ミサキング)、ギター&ボーカルだな”と思って誘ったんです。
──男女ボーカルでやりたいというビジョンは、最初から明確にあったんですか?
K:はい。絶対に必要だと思っていました。僕はもともと男女混声バンドが好きだったので。シンプルに、女性の声があったほうがカッコいいという。
──バンド全体の方向性に関しては、当時どういうサウンドを目指していました?
K:今もその部分はあるんですけど、イントロとかはガチガチにラウドやけど、Aメロはふわっとしたドリームポップみたいな展開というか。あと、サビは基本的に3コードの曲が当時多かったですね。
▲カンタロー (G)
──ギタリストとして、カンタローさんはどのようなことを大切にしながら曲に取り組んでいます?
カンタロー:サウンドメイクですね。飛び道具的な工夫をすごくしています。みんなが使うような一般的なエフェクターでも、ちょっと工夫したらオリジナリティのある音が出せるんですよ。できるだけ変な音が出せるようにアイディアを練っていて、「この音はサンサーのカンタローだよね?」ってわかってもらえるようになるのが理想です。
ミサキング:同じギターでも、私とカンタローでは全然出す音が違うので、すごいなと思っています。
K:ミサキングはファズ一発。ビッグマフ、ボーン!っていう感じなんです。それに対してカンタローは、年々変態的になっていますね。すごく研究しているんだと思います。
──Leoさんは、サンサーラブコールズのバンドサウンドに関して、どのようなことを感じています?
Leo:ドラマーとしての観点から言うと、Kくんの歌は頭に強拍がくることが多いんです。もともとポップス系が好きだからだと思うんですけど。その一方、バックで弾いているメンバー、特に僕とカンタローは正反対。そういう対照的なニュアンスをブレンドするのが楽しいんですよね。1・3強拍と2・4強拍をブレンドするとごちゃごちゃするんですけど、両方の良さを活かして聴かせる実験が面白いです。
K:「コンクリートユートピア」のBメロとか、その感じだよね?
Leo:そうだね。僕はメロディックパンク系をやっていた時期があって、ずっとバックビートで叩く感じだったんですけど、サンサーを始めてからはメロディやギターと絡めたり、いろんなチャレンジをするのが楽しくて。
──ホボケンさんは今年6月の加入ですから、サンサーラブコールズを客観的に外から見ていた時期も長いですよね? このバンドの魅力とは何だと思います?
帆保健太郎:バラバラな指向性を持つ人たちによって構成されているバンドだということを、もともと感じていたんです。そういう人たちが一緒にやっているのに、なぜかズレている感じがしないのがカッコいいと思っていました。“変な人たちが一緒にやっているからこそ、まとまりが醸し出される”というイビツなチンドン屋みたいな感じがしていて(笑)。僕はそういうバンドに後から入ったので、“そこで自分は何ができるんだろう?”っていうことをよく考えます。
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